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もしも「1時間以内に似合う服を買わないと死ぬ呪い」に掛かったら

もしもこの世の中に、本当に「呪い」というものがあるのなら、そんな呪いをかけることも100%不可能ではないと思うんです。

アヒルにされたり時々右手が暴走して弓矢がとんでもない威力になったり”かいしんのいちげき”が出やすくなる代わりに時々動けなくなったりするのに比べたら日常生活への影響は少ないと思いますが、命が懸かってるとなったら必死に探しますよね。

血相を変えて試着しまくる客。鬼気迫る形相におののく店員。まさに死の3色ショッピング。

「私似合うコーデを見つけないと死んじゃうんです!協力してください!」なんて説明しようものなら余計怪しまれてアウトなので誰にも言えない。誰だこんなニッチな呪いをかけたやつは。似合ってない服を着ていたがために命を落としたやつがこの呪いをかけたのか。そしてその判定は誰がやるんだ。

 
なんてどうでもいい想像をしてしまいましたが、人が必死になって服を選ぶ瞬間なんて、一生のうちにほぼ無いということです。

よく「自分に似合う服が見つからない」「似合う色が見つからない」なんて相談が来ますが、そりゃ見つからないですよ。必死で探そうとしてないもん。

でもそれが普通。それこそ”1時間以内に似合う服を見つけないと呪いで死ぬ”とかじゃなければ必死で探さなくても生きていけますからね。

 
じゃあ、もしその呪いに掛かった場合何を選べばいいか真面目に考えてみましょう。

まずアイテムで言うと、最優先で選ぶべきは見える面積の大きいものです。コートやジャケット、スーツ、女子ならワンピースやスカートでしょうか。

人はやはり面積の大きい部分に目が行きます。そこが良いものであればそれなりに見えてしまうもの。だからここを安物で済ませるのはNG。肌の白さは七難隠すなんて言いますが、それと同じような効果がある。間違いなく最もお金をかけるべきところです。

同様にお金をかける価値があるのがバッグ。
海外のモデルスナップで全身ZARAでもブランドバッグを持っているだけで成立してしまう例はよくあります。それくらいコーデの「重心」として機能するということなんですよね。説得力が上がる。服と比べてトレンドに流されにくいので投資に見合った期間使えるという理由もあります。

 
正直、ここまでを揃えてしまえばコーデとしてはほぼ完成。

 
もちろんお金に糸目を付けないのであれば全部こだわれますが、インナーはファストファッションのカッティングが綺麗なTシャツでいいし、デニムも一般の人にはヴィンテージかどうかまで分かりません。同様に靴もコレクション要素が強い部分があります。どれも良いものであるに越したことはないけど、こだわり過ぎなくていい。

それよりも大事なのは、サイズ感。
 
どんなに良いもので色やデザインが似合ったとしても、サイズが無駄に大きかったり必要以上ピチピチだったら台無しになってしまう。

今はオーバーサイズで着るものも多いですが、ビジネス用のジャケットのサイズがおかしかったりいくつかのサイズを着比べてみることで適正サイズが分かることもあります。目安としてはジャケットなら前ボタンを留めてもヒップがピッタリ見えないこと、袖は親指の第二関節やや上くらいの丈など。

試着はしつこいくらいしてください。こだわるなら合わせようと思っているアイテムを着ていく、持っていってもいい。ここで面倒になったり適当にすると後悔が待っています。たとえ店員さんが面倒そうにしても負けないで。「安いものじゃないのでね(ニッコリ)」で大抵は解決しますから。

 
で、最終的に「似合う似合わないは誰が決めるのか」という話になるんですが、僕は着ている人が自信を持っているならそれでいいと思ってます。
 

選び抜かれたアイテムを「着せられている」人より、特別高いものでなくても「自信を持って着ている」人の方が素敵に見える。

スタイリスト、というと”着せる側”の人に思われがちですが、本質的にはその人の魅力を引き出しているだけなんです。いくらコーデとして素敵でも着る人の個性と合ってなかったら、それは”似合ってない”。まぁスタイリストが着せたいものを着せてるケースもありますけどね。やめちまえと思うけど。

 
結局は、着る人が自分に自信持ててるかどうかなんです。
極端な話、ホリエモンのファッションがどうこう言う人は居ないでしょう?本人に突き抜けた自信があるならそれだけでいいんです。ご本人は心外だったらすみません。

人の目なんていい加減なものだし、要は「その人の好み」でしょう?

全人類から評価されるコーディネートなんてものは存在しないわけだし、小さな社内や家族の中だって満場一致にするのも難しい。他人を評価基準にして服を選んだって面白くないし、色んなとこで言ってるけど、お金払うのはあなた自身なんです。

私はこれが着たいんだけどなんか文句ある?でもいいし、客観的にどう見えてるのか気になってきたり仕事にこれ着てていいの?と思ったらプロに相談するのもいい。適切なアドバイスをくれるでしょう。

僕のようなスタイリストの仕事は、服を着せることより自信を持たせることの方が大事なんですよね。このコーデなら間違いない!自信持って!と背中をパーンと押す感じ。それで着る人のテンションも上がって自信も深まり、その人自体がさらに輝く。服を着こなすってこういうことなんだと思います。

 
まずは、あなたが自信を持って着てみたいと言える服を買ってみましょう。話はそれからです。

 
これ、深夜帯ドラマで作ってくれないかな。毎週1アイテムずつ揃えていく感じで。THE MOVIEで完結ね。

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