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IPOで行うべきことの整理

直近で、プレイドやヤプリの上場など、SaaS企業の上場もだいぶ増えてくるようになってきており、時代の流れや勢いを感じます。こうした中で、証券会社以外の方にとっては、IPOに際して、具体的にどのようなことを、どのような時間軸で行うか、そのポイントは何かなどについて、イメージが持ち切れないのではないかと思い、実際にIPOを行おうとした場合、どんなことを行うことになるか、自分の整理も含めて書いてみたいと思います。

IPOで行うべきことの整理

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上記の通りですが、主に考えることとしては、

1) 証券会社対応
2) 審査対応
3) マーケティング対応
4) エクイティストーリー
5) バリュエーション

の5つに分かれると考えており、それぞれ、N期(上場申請期)を基準に、N-1期、N-2期で行うべきことがあると考えます。それぞれもう少し検討をしてみます。

証券会社対応

上記の記事でも書きましたが、IPOを検討するにあたって最も重要な一つが、どこに主幹事証券を任せるか、だと考えています。絶対の解答はありませんが、まず、それぞれに合う証券会社を選ぶところがスタートかと思います。

審査対応

・予算管理体制の整備
・コーポレートガバナンス体制の整備
・ディスクロージャー体制の整備
・コンプライアンス管理体制の整備
・労務管理体制の整備
・主要業務の管理体制整備
・経営管理体制の整備
・関係会社管理体制の整備

など、所謂上場会社として必要な各種管理体制を構築することを意味します。これらの整備は、ガバナンスの強化という観点と、業務上の効率性という観点のバランスを見ながら、最も適切な対応をしていくということになると思いますが、詳細はまた機会を見つけて書いてみたいと思います。

マーケティング対応

マーケティング

ものすごくラフに書いた場合の、IPOに向けたマーケティングの流れは、

1) 証券会社主催のカンファレンスに参加
2) Information Meetingと言われる、海外機関投資家中心へのアプローチ
3) IPO実施に際しての投資家の方への本番プレゼンテーション

という3段階に分かれます。後述する、エクイティストーリーや、オファリングストラクチャー、バリュエーションなどを磨き上げる為に、事前に可能な範囲で、投資家の方に我々の名前を知って頂く、あるいは伝わりやすいポイントと伝わりにくいポイントを整理することなどが目的です。

自分達の魅力を最もよく伝える為に、どの時期に、どの地域のどの投資家に会うべきか、どんなストーリーを伝えるべきかなどは、証券会社の方と議論をしながら決めていくこととなります。

エクイティストーリー

こちらの記事でも書きましたが、エクイティストーリーは、なぜ投資家の方が我々に投資するのか、これからどのような経営戦略で成長していくつもりなのかをアピールする上で、極めて重要です。これも、投資家が意識しているポイントは幾つかあるとはいえ、最後は各社の状況に応じたオリジナルのストーリーを作る必要があります。

バリュエーション

バリュエーションも、投資家の方への反応や、証券会社の方の提案を踏まえて最終的に判断するものにはなりますが、自分達として、自分達の適正な価値は幾らであるか、特に、そのロジックは何かを整理しておくことは、とても重要です。例えば、類似上場会社がどのように評価されているか、またそのバリュエーションロジックは何かを、アナリストレポートなどを通じて知っておくことなども有用と思います。

最後に

やるべきことが多いように見えたかもしれませんが、一方で、それぞれの動きがリンクしており、実は考えるべきことは似ている、とも思って頂けたのではないかと思います。

一義的にはIPOはCFOがその中心になることが多いと思いますが、結局は全社の経営戦略をどうしていくべきかであり、経営陣として、どのようなことを行うか / 考えるべきか、理解しておくことは有用と思います。

適切な知見が広がり、良いIPOが一つでも増えると良いなと思っています。



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