事業部とコーポレートの関係-局地戦で起こっていることを把握し適正なリソース配分を行えるか-

三菱電機の不正問題。メーカーにとって事業部や工場は完全にムラ化しており、そのムラが成功すればよいという意識になっていたのだろう。下記のようにそれは、右肩上がりの時代には強い結束をもたらしたが、その事業のみでの成功が難しい時代には負の回転をし始める。

特に現場の作業員やエンジニアは他の事業本部とほとんど交流がなく、独特の仲間意識が不正を共有し隠蔽する動機をつくりだした。
それは右肩上がりで成長する時代には強い結束を生み、「共通言語」で話が通じる仲間同士が同じ目標に向かう力を生み出した。だが21世紀に入って経済成長が止まり、日本のものづくりが激しい国際競争にさらされるようになるとムラ社会の論理は成長の足かせとなってきた。

また、その要因となる本社と現場の断絶という指摘は、非常に考えさせられる。

三菱電機とトヨタ。本社と現場のパワーバランスという点では正反対の事象だが、両者の断絶に起因するという意味では通底する。日本でいち早く縦割りの事業部制を採り入れたパナソニックが組織改編を繰り返すように、「本社と現場の関係」はものづくり企業がおしなべて直面してきた難題だ。

こういう時に必要なのが強いコーポレートだろう。

コーポレートの一番の役割は「資源の配分」だといわれる。これは言いえて妙で、以下のようなコーポレートの機能はすべて資源の配分だといえるだろう。

・事業のトレンドの把握
事業だけでは把握できない中期トレンドの把握。例えるなら、事業は局地戦での情報には最も詳しいが、中期を見た国家間のパワーバランスや戦略兵器の開発動向には疎くなってしまう

・事業の優先順位の決定
事業の将来性や相手の状況、自社のビジョンを踏まえどこで優先的に戦うか(HowではなくWhere)。例えるなら、南方戦線か中国方面かどちらに兵力を投入するか。

・事業間の資源共有
自社にある資源を事業を超えて共有する。例えるなら、南方戦線で成功した新たな戦い方を中国戦線に伝達する。

欧米に比べてコーポレート(大本営)の力が弱いとされる日本。低成長時代に、新たに領土を拡大するのか?という命題も含めてコーポレートのあり方を考えるときだろう。孤立化したムラに横串を通す必要がある!

https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1

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