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四季と酒01 : 冬の名残を楽しむ「すぐきと奈良漬のポテトサラダ」

京都の冬を代表する食べ物「すぐき」。

冬に旬を迎えるカブの変種「すぐき菜」を塩漬けし、暖かな室で乳酸発酵させてつくる、コクのつよい酸味が特徴の漬物です。シーズン終わり間近のすぐきと金時人参の奈良漬を刻んで、どっしり旨口のポテトサラダをこさえました。寒の戻りで冷え込む夜など、熱燗をおともに冬の名残を楽しんではいかがでしょうか。

材料

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じゃがいも:中サイズ5個(大きかったら3個くらい)
すぐき:葉と身が手のひらに余裕で乗っかるくらい
奈良漬:すぐきの半量くらい
フライドオニオン:奈良漬と同じくらい(あれば)
レモン:半個

米酢:スプーン2、3杯
お好みの油:スプーン2、3杯(この時は米油使用)
マヨネーズ:にゅーっとチューブから出してボウル3〜4周ぶん
ねりからし:にゅーっとチューブから出して10cmぶん
塩・胡椒:適量

※3日〜4日くらいで食べきれるor複数人の飲み会に便利な量です

作り方

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1:じゃがいもを皮がついたまま、たっぷりの水から茹でます。

旨味が逃げないようにじゃがいもを茹でる時は皮つきで、水から。沸騰したら中弱火でコトコト30分くらいで串がスッと入る柔らかさに茹だります。ベストは蒸し器で蒸すのがいいんですけどねー。

じゃがいもの芽は毒性があるので取り除きましょう。

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2:芋を茹でている間に、すぐきと奈良漬、レモンの皮を刻みます。

すぐきと奈良漬は5mmくらいの角切り、もしくは3mmくらいの千切り。レモンの皮は2mm幅くらいの千切りに。

漬物は刻んだものがお茶碗に軽く1杯くらいの量もあれば十分です。

レモンの皮は白いワタワタの部分がなるべく混ざらないように薄切りにしましょう。ワタワタは苦いので。レモン汁は絞って、お酢と合わせておきます。

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3:茹で上がった芋は皮を取り除き、マッシュ状に潰します。塩、お酢とレモン汁、油を加えてよく混ぜ、下味をつけておきます。

個人的に、ポテトサラダはあまりマヨネーズに頼らない方がおいしいと思うんですよね。味付けのほとんどをマヨネーズにしちゃうと、素材の味よりも前に「我こそマヨです!」と主張が出すぎてしまう。なので、いつも芋を潰した段階で軽く下味をつけてます。

下味は「単体で食べるにはちょっと味が薄いかな〜」くらいでOK。

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4:すぐき、奈良漬、レモンの皮、フライドオニオンを加えて、よく混ぜます。

フライドオニオンはなくてもいいけど、甘みとコクがプラスされるので入れるとよりおいしいです。

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5:マヨネーズ、からしを加え全体が馴染むようにさらに混ぜ、塩胡椒で味を整えてて完成。

からしは固いので、芋の上にそのまま落としてしまうと混ぜムラが起こります。ボウルの側面になすりつけるようにからしを伸ばし、少しずつ混ぜ込んでいくと「この一口だけ辛い!」みたいな悲劇がないです。

相性のいいお酒

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熟成感のある、あんまり削ってないお酒と合わせるのがおすすめです。「竹泉 純米 山田錦 2012BY」を燗にしました。

スコッチのハイボールも合うと思います。濃い×濃いでいくなら、芋焼酎の「山猪」お湯割とかもいけるんじゃないかと。

ちょっとしたコツ

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おいしさのちょっとしたコツは、レモンを加えること。

すぐきや奈良漬って「時間経過」を感じさせる熟成した風味があるんですよね。旨味がどーんと重たい。フレッシュなレモンは、重たくなりすぎないように全体を調整してくれるんです。

例えるなら、60年代のツイードジャケットに、ビビッドカラーのスニーカーを合わせてカジュアルダウンさせるみたいな……なんかそういう感じ。

からしやフライドオニオンも、味に一枚レイヤーを増やして複雑さを足す役割です。ピリリとした辛味の役割と、甘みとコクの役割。

このふたつはなければなくてもいいですし、漬物って同じ商品名でも買うお店やつくる人によって差があるので、味見しながらいい塩梅を探ってみてください。

なお、余ったら一口大に丸めてコロッケにしても美味です。

四季と酒の小話

道端にヒメオドリコソウが咲いていたり、スーパーで春野菜が特売になっていたり。いくつかある、冬が終わるんだなと感じる瞬間。そのうちのひとつに私は【商店街の一角や東寺の朝市などで「すぐき」が売られなくなったら】がある。

「柴漬け」「千枚漬け」と並んで【京都三大漬物】のひとつであるすぐき。本来はどれも長期保存を見越した乳酸発酵系の漬物だったらしいが、市販されている柴漬けと千枚漬けのほとんどは現代の好みに合わせ、発酵させずに調味液に漬け込んだスタイルに変化している。

それに比べ、昔ながらの製法や味わいを保っているすぐき。塩漬けして重石をし、嫌気性環境でゆっくり乳酸発酵させること。農家さんが自ら仕込んで商店街や朝市で販売すること(茎の部分を縛って、ビニール袋に入れて常温下で売られるラフさがいい)。

冬のはじめに仕込まれ、冬のあいだに売られ、冬が終わると終売してしまうこと。

3月上旬に買った今シーズン最後のすぐきも残りわずか。ポリリと齧ると、ミルキーでまったり、クサ旨な酸っぱさに思わず冬の日々が蘇る。「今日めっちゃ寒ない?」「2月が戻ってきたみたいやな」なんて夜に切り出して、去る季節を最後まで味わいつくしたい。





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