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かたるひとたち

河野竜平×鈴木大倫対談記録(前編)

はじめまして、東京を中心に活動している演劇のカンパニー、平泳ぎ本店と申します。

この文章は、俳優同士での対談を記録したものです。

この特異な状況下で、著名な俳優、演出家、劇作家の、様々な発言が注目されています。そんな中、お世辞にも有名とは言えない我々が、何を感じ、何を考えたか、考えているか、それを発信していく企画です。


☆新型コロナウイルスの対策として
・常に換気を行う
・スタッフは常にマスクを着用する
・手洗いをする
・出演者は互いに手を伸ばしても届かない距離にいる
・最低限の人数で現場に赴く(小川哲也、河野竜平、鈴木大倫、実施場所の管理者として松本一歩)
・万一の場合のため、保健所の場所を把握する
・必要な絵を撮るとき以外はマスクを着用する
などの対策を行いました。

☆出演者同士の距離感については、
http://www.eiren.org/img/guideline_covid19_200519_2.pdf
の2ページ目のあたりを参考にさせていただきました。演劇団体である平泳ぎ本店ですが、劇場のガイドラインよりも、現地で撮影を行うこともある映画のほうが今回の企画の状況に近いと考え、映画撮影のガイドラインを参考にさせていただきました。

☆この会話は、緊急事態宣言が解かれてから数週間後、六月某日にされたものです。現在の状況、危機意識について、認識が変化している可能性があります。

河野 竜平(かわの りょうへい)

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(撮影:北原美喜男)
身長 175㎝
体重 70㎏
出身地 埼玉県
《主な出演歴》
第1回公演『The Dishwashers』吉原豊司訳 『洗い屋稼業』彩流社より@Theater Poo(演出:藤代修平)
第2回公演『えのえを なれゐて』@早稲田小劇場どらま館
第8回せんがわ劇場演劇コンクール『コインランドリー』@せんがわ劇場
第3回公演『コインランドリー』@十色庵
神奈川かもめ「短編演劇」フェスティバル2019『不意の晩年』@神奈川芸術劇場(作:武重守彦(めがね堂) 演出:松本一歩)
第6回公演『SAKURA no SONO』@下北沢OFF・OFFシアター(作:鈴木美波(PAPALUWA) 演出:松本一歩)
Dzoneフェスティバル2019参加作品『Theatrical Power-POP』@神楽坂セッションハウス
(以上平泳ぎ本店)
〈映像〉
映画『愚行録』(監督:石川慶)
映画『空母いぶき』(監督:若松節郎)
映画『じょりく』
NHK『いだてん』
ナイキCM
ナイキCMナレーション


鈴木 大倫(すずき たいりん)

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(撮影:北原美喜男)
身長 173㎝
体重 53㎏
出身地 東京都
〈主な出演歴〉
第2回公演『えのえを なれゐて』@早稲田小劇場どらま館
第8回せんがわ劇場演劇コンクール『コインランドリー』@せんがわ劇場
第3回公演『コインランドリー』@十色庵
神奈川かもめ短編演劇祭『机上の空論』@神奈川芸術劇場(作:武重守彦(めがね堂) 演出:松本一歩)
神奈川県庁特別公演『机上の空論』@神奈川県庁大会議室(作:武重守彦(めがね堂) 演出:松本一歩)
Dzoneフェスティバル2018参加作品『演劇的な、余りに演劇的な』@神楽坂セッションハウス
第5回公演『この戯曲を演じる者に永遠の呪いあれ』@新宿眼科画廊(作:武重守彦(めがね堂) 演出:松本一歩)
神奈川かもめ「短編演劇」フェスティバル2019『不意の晩年』@神奈川芸術劇場(作:武重守彦(めがね堂) 演出:松本一歩)
第6回公演『SAKURA no SONO』@下北沢OFF・OFFシアター(作:鈴木美波(PAPALUWA) 演出:松本一歩)
Dzoneフェスティバル2019参加作品『Theatrical Power-POP』@神楽坂セッションハウス
(以上平泳ぎ本店)
他TVCM、VPのナレーションなどで活動中

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六月、アジトにて

ーおはようございます。

鈴木・河野  おはようございます。

ー 今回の企画っていうのは、今回のね、コロナウイルスの影響で一人で過ごす時間が増えましたねと、外でも中でも。一人で考える時間も増えました。せっかく考えたり感じたもの、それを発信して、その人自身にも興味を持ってもらいたいっていう考えからはじめました。それをこう、一人で話すんではなく対談っていう形にすることで、一人では届かなかった、考えとか、視点とかね、広がりを得ると、そういう機会になってもらえればいいなと思いましてセッティングしました。

河野  ええ。

ーはい。で今流行ってますzoomとか音声データでの配信だと、我々猫かぶってしまったり、本音っぽくならないと、そう考えたので、こういう文章っていう形でやっていこうかなと思っております。よろしくお願いします。

鈴木  おねがいします。

ー今回話していただくのは、河野竜平です。

河野  河野竜平でーす。よろしくお願いしまーす。

ーと、鈴木大倫です。

鈴木   鈴木大輪ですよろしくお願いしまーす。

ーここにね、まあアジト、と通称呼ばれておりますけども、久しぶりですね、ええ。

鈴木   ええええ。

河野  久しぶりでございますね。

鈴木  うん

河野  ちゃんと、(距離を)とってますね。

ー窓も開けてますね。

鈴木  そうだね。

河野  なんて開放的な。

ー素晴らしい。

河野  庭のようなね。

ーちゃんとしてます。

河野 そうだね。

鈴木 僕らちゃんとしてるから。

河野 ここは、あの、アジトはね、あの、我々の活動の拠点といっても過言ではない。

ーここはもともとどういう場所で?

河野 ドウイウバショデ?

鈴木 これはなんなの?

ーこれはね、あの、主宰のね、松本一歩が大学でお世話になった恩師の私設の図書館のようなものであると、ほんとは。それをご厚意で貸してもらっていると。

河野 ええ、ええ。

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家にいたときのこと、周囲のこと

ーこうやって久しぶりにここ来たんですけど、今回緊急事態宣言でみんな家にいたわけですよね。どういう過ごし方されてましたか。

河野 いかがですか。

鈴木 そうだねーずっと家にいた。基本的にはずっと家にいたんだけど、例にもれず、どうぶつの森やったり、あとあの縄跳びをやったりしてたかな。

河野 ほう。

鈴木 縄跳びがね、たのしくて。縄跳びが楽しいの。俺あんまり縄跳びとか得意じゃなかったんだけど。

河野 家にいなければいけないが故の、縄跳びの楽しさに気づいたと。

鈴木 そうだね。そうだねーあとは…あの…ああプラネテス一気観してた。プラネテスていうアニメがあって。

河野 宇宙の。

鈴木 そうそうそう。

ー平泳ぎ本店でも話に上がることがある。

鈴木 そうだねー、プラネテスいうアニメがすごく素敵で面白くて、それはねホントによかった。久しぶりになんか、あーこんなに、胸を打つ、アニメっていうか、物語があるんだーって思って、凄く感銘を受けた。

河野 俺もおすすめされて即まとめ買いして。あれ四巻なんだよね、全四巻?

鈴木 あーそうそうそう。

河野 四巻だから、あー四巻だけなんだーって思って、まとめ買いして。今ね、三ページ目まで読んだ。

鈴木 え?

河野 あのーユーリがトイレ行くっつって、窓ガラスが、ピシってなるとこまで読んだ。

鈴木 ちょっと待って、そこ…まあまあ、まあね、うん、でもね、凄くあの、てっちゃん(小川)にも聞いてたんだけど、原作とアニメがね、全然違うっていうか、全然違うの。

河野 話の流れがってこと?

鈴木 そうそうそう。だから、それも含めて面白くて。アニメだとここに一緒にいた人が、漫画だとまだいないとか、別の人がその言葉をしゃべってるとか。そのレベルでいろいろ違ってて、それも含めて面白いんだけど。

ー構成っていうかね、だいぶ違うよね。

鈴木 だいぶ違うよね。でもなんかね、どっちも話の持っていきかたが上手だなーって思って。で俺…ごめんね俺ばっかしゃべってるね。

河野 いいよ!

鈴木 谷口悟朗さんって方がアニメのプラネテスの監督さんなんだけど、俺その人が好きで。そのころは全然気づいてなかったんだけど、中学の時にスクライドってアニメやってたの、で、割と硬派な、ハードなアニメなんだけど、それをハードにハードにちゃんと描くみたいな、それがかっこいいなーっていうふうに思った思い出があって。プラネテス観てたら、カット割りとか演出とかが似てるなーって思って、で調べたらその人だったのよ

河野 はえー。

鈴木 で、もうちょい調べてみたら、もともと役者を目指してたらしいよ。

河野 あらそう。

鈴木 そう、それでまあいろいろあって、アニメの監督をやってっていう。だからなんか、あーなるほどなーって思いながらそういうのも観てて、それも含めて面白かった。

ープラネテスはなんで改めて観ようと思ったの?

鈴木 前々から面白そうってのはすごく思ってて、でたまたまこの自粛期間中にU-NEXTっていうやつを見られるようになって。でそれでなんとなくおすすめとか、一覧とかみてたらプラネテスがあって、あ、観られるわ!て思って。ほんとにねなんとなく一話目を見始めたら、すごくよかった、一話目から。

河野 止まんなくなっちゃったんだ。

鈴木 うん。

河野 あれは、なに、宇宙兄弟みたいなものなの?

鈴木 いや、あのねー、スペースデブリっていう、いま現実でも問題になり始めてるんだけど…人工衛星とかいっぱいとばしてるじゃん、気象衛星とか。

河野 あー、それのゴミ。

鈴木 そうそうそうそう、それを廃棄してゴミになったものとかが、プラネテスってちょっと未来の話だから、そういうのがいっぱい漂ってる世界なの、でそういうのって、秒速8キロとかのスピードで、宇宙を飛んでるんだって。

河野 うわ早。

鈴木 飛んでんだって。だから宇宙に進出して、宇宙船とかに乗るようになった世界だと、一本のネジだけで、大事故になるみたいな。だからそれを回収する業者の人とかがいて。それもなんか、現実世界でいうところの下請け会社みたいな、ほんとにこう、エリートと、そうじゃない人たち、みたいな感じで描かれてるんだけど。そのデブリ屋っていって、デブリを回収する人たちの話。

河野 へーええ。

鈴木 でもなんかそこにいっても、こう、宇宙に進出してもやっぱ人は人として生きてて、いろんなことに悩みながら…ていうような話かな。

ーりょうへいはどうですか、この期間中、何か変化とか、何してたとか。

河野 期間中、まー、家にいなさいっていうことでございましたので、これはしめたもんだと。もともとインドア派ですので、もーうゲーム三昧ですね。昼夜、昼夜逆転して、しすぎた先に、また普通の生活リズムになってみたいな、1日が40時間くらいでこう回ってく感じ。眠くなったら寝る、起きてゲームしたかったらする、みたいな。

ー原始的な生活だ。

河野 ほんとに。最近何してるってみんなからたまにLINEが来るんだけど、もう起きて食べて寝るみたいな。みんなに「ハンまたそんなこと言ってー」みたいに言われるけどホントにそれしかしてなかった。

鈴木 でもなんとなく、そうなんじゃあないかなというのは思ってた。

河野 ゲーム大好きだからね。たいりんもね、ゲーム大好きだよね。

鈴木 そう、俺もゲーム大好きだから、たまにゲームつけると、りょうへいの名前が出てくるの。オンラインになりました、10何時間みたいな、みたいのがでてくる。だから「おーりょうへい、りょうへい今日もやっとんなー!」と思いながら。

ーいつ始まったんだっけ緊急事態宣言は。

河野 4月のー、後半かな、後半にちょっと家にいてくださいね宣言がでて、5月から本格的に?

ーみんなであれ聞いたよね、聞いたっていうか見たよね、小池都知事の。

鈴木 小池都知事の、声明というか、

河野 俺いたそんとき?

鈴木 どうだったかな。

河野 俺なんか…俺見てないと思う。

鈴木 そうか、そうかも。

河野 知らないうちに始まってたもん、漂ってきた情報であーそうなんだって思って、引きこもってた。中野区のね、なんだっけな、中野区長…

鈴木 区長さん?

河野 酒井直人さん、かな?中野区って12時と5時、かなんかに音楽が鳴るのよ、テーンテテーテテーテテテテテテーっつって。でそれがね全部変わってて、頑張ってんなー!と、思ったよ!

鈴木 へーえ。

河野 でももう、家からスピーカーが近いもんだから、毎度あの速度感でしゃべられると、ちょっと。

鈴木 ちょっと異様な雰囲気だよね、いろんなところがさ

河野 きんきゅうー、じたいー、せんげんがー、みたいな。もっとああいうのもね、ささっと喋ってくれたらいいのにね、「いや、あのーほんと、もーぼくも辛いですけど、皆さん頑張って、コロナなくしましょう!ね!じゃーおわります!」くらいのほうが、親近感沸いてさ、この例えはおかしいけど。

鈴木 あれだったらしいじゃん、カナダの大統領さん、トルドーさんだったかな、違うかな。カナダの大統領の人がさ、俺あの人良いなーって思ってたんだけど、子供たちが不安がるっていうのをカナダの国民たちは訴えてて、子供たちからすると何が起きてるかよくわかんないじゃん、ウイルスのこととか、そういうのを聞いて、カナダの大統領さんは…首相?大統領?

ーカナダは首相。

鈴木 首相か。そうその人が、子供たちからの質問みたいのを受けて、でそのトルドー首相と、あと医療関係の責任者、代表の人と、二人で子供たちの質問に答える。こういうのは何時まで続くんですかとか、また元通り学校に通えるようになりますかとか。ほんとにこう、子供たちからの質問を、こう一つ一つ答えるっていうのをやってて、あーやっぱなんかそういうのいいなーていう風のを思った。だからね色々伝え方あるんだろうけど、きんきゅうー…

河野 きんきゅうー、じたいー、せんげんがー、じゃなくてね。

鈴木 うん、まあそれはそれで、お年寄りには聞きやすいとかあるんだろうけど、それも表現の一つとして、面白いなーと思った。面白いっていうのも不謹慎かもしれないけど。

ーたいりんは意外と、国際派というか。家族もね。

鈴木 あーそうね。姉は国際関係の仕事で海外とか行ってて。うちの姉もマダガスカル島に、赴任して、ずっと仕事をしてたんだけど。

河野 国際的な、海外でいろいろやってて。でコロナだから日本帰ってきたんだよね。

鈴木 そうそうそうそう、なんか脱出命令みたいなのが出て。世界各国にその派遣されてるような仕事なんだけど、いろんななんかもう、空港から空港へ行くのにも、この空港はもうコロナで遮断されてしまったので、別のルートを探さなきゃいけないとか、この国はもう入国規制がされちゃってるので…ていうので、もう大脱出劇みたいなね。

河野 日本着いた時もすごかったんだよね確か。

鈴木 そう、なんか、家すぐには帰れないので、しばらく隔離、自己隔離して。そっからなんか、うちの父親がね、車で乗り付けてね、「乗れっ!」つって、バっ!バッ!って帰ってきたらしいよ。

河野 自己隔離なんだあれ。

鈴木 うんなんか、うちの姉が所属してるところで、一応そういう風に決めて、ていうことらしい。

河野 ふーむ、そのおかげでたいりんも罹ってないないのかもしれないけどね。

鈴木 ね、フランス通ってきたっつってたからさ、やべえなとは思ったんだよ。りょうへいは家族とかは全然大丈夫だったの。

河野 なんもないね、家族どころか俺の周り…みんなの周りにいる?いた?

鈴木 いや…いないかな。

ーまあ職場がねっていうくらいか。

鈴木 ああそうだよね。

河野 あーそうそうそうそうそうそうそう。

鈴木 それでかいよねやっぱ。

河野 うん、まだSNSとかでは言わないでねって言われてるからあれだけど、バイト先が泣く泣く、コロナでね。

ー補償とかね、どうなんだろ、あったのかな。

河野 みんな、みんなあのアベノマスクきた?

鈴木 キタヨ、でも開けてないなーとってある。

河野 すげえ、あの顕微鏡でアップにして、Twitterにあげてる人がいてさ。もう完全に虫の死骸が、マスクにこう…

鈴木 まあね、まあ、いろいろバタバタしながら作ったんでしょうね。

ー一番初めに打った手が、あれでしたからね。

鈴木 なんか、そうだったよね。なんかマスクを手にしたときにさ、あっ初めてしてもらったことかーと思って、なんかいろいろ複雑な気持ちにはなったよね正直。

ーこれかあ、みたいな。

鈴木 うん。

河野 なんかね、俺もTwitterでも書いたけどさ、なんか、こういうの送るよって言われてさ、別に要らねえよって思うんだけどさ、来ないなら来ないでちょっとイライラするし、来たら来たでまたイライラするし、みたいな。

鈴木 なんとなくさ、マスクはまあ、マスクがなくなったっていうことが大騒ぎになって、それの解決策としてマスクを国は配ってくれたわけだけど。まあ手としてはわかりやすいんだよね、無いっていう不満に対してあるっていう風にするっていう手だからさ。

河野 物事のとらえ方がね、もう短絡的ですよ、話題に乗っかってみたみたいな。

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「やっぱ普段から何かを感じるっていうことを、ちゃんとやっていくっていうことは絶対必要なんだ、ていうのを、今のほうが、なんか自分としてはね、なんか確信をもって言えるような気がする。」


鈴木 なんかそのさ、マスクがなくなったりさ、あとトイレットペーパーが無くなったことでさ、とっても思ったことがあってさ。あのー…何から言ったらいいんだか…

河野 なに深刻な話?

鈴木 なんかちょっとね、そう、そういうことをなんかモヤモヤ考えながら一人で過ごしてたんだけど。なんと言ったらいいか…やっぱ非常事態になってくるとさ、人に余裕がなくなってくると、なんか、正しいか正しくないか、みたいなさ、なんか善か悪か、だけで考えるようになっちゃうなーって思って。

河野 うーん。

鈴木 なんかね、無いから買う!みたいな、無いんだから買うしかないじゃないかって言って、で結果買えない人たちが出てくるみたいなさ、ふうになるしい、それとは逆に、自粛警察とかっていう言葉が流行ったけど、あの、外に出るのは悪だから断罪する、みたいな、風になっていくんだなあ、っていうのが、なんかすごく、あー怖っ、怖いなーって、思ったんですよ。

河野 なんだっけあのー、刑務所で実験するっつって。看守と囚人に分かれてみたいな。

鈴木 実験があったね。で看守のほうがどんどん暴力的になっちゃうっていう。

河野 そうそうそうそう。

鈴木 うん、なんかそう、あのー、そうなんだよね、だからーあのー…今までさ演劇とかさ、芸術系のことって、例えば東日本大震災の時とか、みんな経験してると思うけど、そういう事態が起きた時に、どんどん人が死んでいったあの時に、演劇とか、表現、芸術系のことって、直接的には何もできないっていう風にみんな、思ったと、思ってたじゃんなんか。

河野 うん。

鈴木 で、なんか自粛するみたいなさ、そういうことがあったと思うんだけど。でもなんかこのコロナで、前よりも、やっぱ普段から芸術とかそういう何かを感じるっていうことを、ちゃんとやっていくっていうことは絶対必要なんだ、ていうのを、今のほうが、なんか自分としてはね、なんか確信をもって言えるような気がする。

ーこの期間、なんか不要不急っていう言葉がよく使われたけど。まあ不急、急を要するものではまあない、とは、まあそれは否定できないなとは思うけど、必要ではある、ていうのは思ったかなあ、うん。そう、普段こそ、みたいな。生活の上での積み上げていくもののひとつとして。よくたいりんも想像力っていう言葉を使うけど、そういうものを養うっていうのは。なくなると人に気を使えなくなったりするからね。

鈴木 そうそうそうそう、なんか結局さ、絵を見るとかさ、音楽を聴くとかっていうのもさ、絵だったら描く人だし、音楽だったら演奏する人なんだけど、自分はこういう風に思って感じてこういうことをやってみましたけどどう思いますっていうことじゃん。

河野 うん。

鈴木 ざっくり言えば。

河野 うん。

鈴木 だからなんか、それってなんか、あ、あの人はこういう風に思ってるんだ、それに対して僕はこう思うなあっていうやり取りが、なんか芸術っていうことだと思ってるんだけど。

河野 いいぞお。

鈴木 うん、なんかそういうことを、やるにはうってつけなんだよやっぱり、演劇を観るとかさ、絵を観るとか、なんか自分は全然知らない立場の人たちのことを想像できるとか、その人の気持ちになってみるとか。俺がプラネテスをみてさ、宇宙飛行士の孤独さとか、そういうのに胸を打たれるとか、っていうのは俺は全然宇宙飛行士になったこともないし、宇宙出たことないんだけど、でもなんか想像はできるんだよね、そこに生きる人たちのことを。でそれをさそういうふうに、あー、いろんな人がいるんだなあって、いろんな人がいてえ、俺はそういう風には思えないけど、そういうことを思う人もいるんだなあみたいに想像できるとか。そういうことが結構豊かさっていうことなのかと思ってえ、でえ、そんな風に思いながらドラッグストアに行くとさトイレットペーパーがないわけじゃん。

河野 うんうんうん。

鈴木 アッこれを買っていった人は俺が尻を拭くということを考えては少なくともくれなかったんだあー、みたいに思う、みたいな。

河野 まあねー。

鈴木 でもなんか、今すごくこう、アメリカで人種のことが問題になってるとかさ、あとなんか、男女間での、その差別とかだってさ、やっぱりあるし、なんかそういうのにあたってやっぱりなんか…芸術っていうのは人の心を豊かにするんですよっていうのを漠然と、今まで言ってもいたんだけど、でもそれがなくなるとこうなるんだなあっていうことを、このコロナの期間にすごく思った。だからなんか、あのー、少なくとも芸術を楽しめるだけの余裕みたいなものを、普段の生活から、持っといたほうがいいんじゃないかなっておもった。今はなんか、世の中的にそうじゃない、無くなってきてる、と思うんだけどね。

河野 人それぞれのね、あんまり好きなことばじゃないけど、常識みたいなものがこうあってさ、なんかこう…話変わるけどさ、トイレットペーパーでケツを拭くわけじゃない、一回でどれくらい、使う?

鈴木 どれくらいだろ

河野 俺もう、この机より全然、この半分くらいなんだけど、一回で使うの。いるじゃんたまに、あのー、バイト先でさ。お前そんな音聞いてんのかって言われるかもしんないけどさ。

鈴木 いやいや。

河野 トイレ入ってもう、カラカラカラカラカラカラカラカカラカラ~みたいな、どんだけケツきたねえんだって思うんだけどさ。なんかもう、それも、うん、ましょうがないと思うんだけどさ、なんか、そう教えられたんだろうね。

鈴木 いやでもそういうのってさ、トイレってさ、一番個になる空間じゃん、だから、言われてハッてする人いっぱいいると思うよ。アッおれ常識として違ってたんだあっていう人いると思う。

河野 俺思うんだけどねあれ常識という言葉はね、あれは仲間外れを作るための言葉だよあれは、常識がなってねえとか、みんなこう思ってるのにとか、それはねえ生きてきた環境でいくらでも変わりますよ。そういうのを考えてみようよと。

鈴木 りょうへいのねそういうところが俺はすごいなあっていっつも思ってるのよ。

河野 てへ。

鈴木 そうなのほんとに。

河野 てへ。

鈴木 こんな面と向かって言ったことないけどね。

河野 いやもう、おかしいじゃんね、常識…って何だよ!

鈴木 そうそうさっき言ってような事をさ、俺はなんかくどくどしゃべってさ、自分の頭の中でも考えながらさ、こうだなこうだなって整理をしながら喋るんだけど、でもなんか、りょうへいってさ、そういうのをさぶっ飛ばしてさ、いやなんか変だよ、っていうふうに、いいじゃんみんな、みんながみんなでいいじゃんみたいな、そういうところあって。俺それがすごくいいなと思うの。ほんとに。マジでだよ。

河野 てへ。

鈴木 恥ずかしいから普段言わないんだけど。

河野 俺もはずかしいわ。

鈴木 うん、なんかさ、結構それ平泳ぎ本店全体、みんなにも通ずるところはあるなと思うんだけど、特にりょうへいはねえ、なんか人が、思ってることを、なんていうんだろ、一見あの、興味ないような感じに言ってるんだけどすごく尊重してる部分があるっていうか。

河野 だよねえもっと言ってえ!

鈴木 っていうのをね、すごくねあの、それこそこのコロナの、コロナ禍にあって、あ、りょうへいっていうのは、そういうことをなんか知らず知らずに、自分で意識的じゃないのかもしれないけどお、なんかやってるんだなあっていうのはすごくね、あの、人として尊敬してる。

後編へつづく↓
https://note.com/hiraoyogihonten/n/nbab699af5038


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六月某日、"アジト"にて
企画・編集・写真:小川哲也(平泳ぎ本店)
協力:常盤ライブラリ

普段の生活を取り戻すこと、
そして、浮き彫りになった問題と向き合い、
よりよい生活を手に入れられることを願っています。

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