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平野啓一郎|小説『マチネの終わりに』前編

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平野啓一郎のロングセラー恋愛小説『マチネの終わりに』全編公開!たった三度出会った人が、誰よりも深く愛した人だった―― 天才ギタリスト・蒔野聡史、国際ジャーナリスト・小峰洋子。四十… もっと読む
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2015年7月の記事一覧

『マチネの終わりに』第五章(24)

 主人公であるリルケを愛する若いクロアチア人の詩人は、思いを寄せるセルヴィア人の少女とそ…

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『マチネの終わりに』第五章(25)

 蒔野は、その戦慄的な一節を、雄々しく悲壮に歌い上げるのではなく、やさしく包み込むように…

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『マチネの終わりに』第五章(26)

 ジャリーラは、先ほどの冒頭よりは、まだどうにかイメージできるという風に頷いて聴いていた…

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『マチネの終わりに』第五章(27)

 そこに、第二次大戦後の荒廃したクロアチアの大地と、映画の主人公の乾いた眼差し、そして、…

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『マチネの終わりに』第五章(28)

 元々は、古い建物の隣り合う二戸の壁をぶち抜いて、一戸の二間としている特殊な構造で、リヴ…

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『マチネの終わりに』第五章(29)

 しかも洋子は、彼が求めるならば、更に残酷な犠牲でさえ厭わぬような無防備な気色で、まっす…

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『マチネの終わりに』第五章(30)

 しかし、決心は変わらなかった。何度か涙ぐみそうになったが、その権利があるのは彼の方であり、最後まで堪え通した。  リチャードは、納得せぬまま、来週また来ると言い残して、一旦ニューヨークに戻った。洋子は空港まで見送らず、彼に会うのも、最後にするつもりだった。  自宅で独りになると、さすがに呆然となった。罪悪感に浸ることさえどこか醜悪で、縋るように、ただ蒔野のことを考えようとした。リチャードに非はなかった。それでも確かに、彼女にとっても、傷は傷だった。  蒔野の腕の中で、

『マチネの終わりに』第五章(31)第六章 消失点(1)

 二人は、自然と深まり行くことへの躊躇いから、却って長い、いつ尽きるともしれない口づけに…

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いよいよ、第六章に突入です!

毎日、ジメジメした天気で嫌になりますね。 『マチネの終わりに』を、ご愛読いただきまして、…

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『マチネの終わりに』後編へ

『マチネの終わりに』第六章はこちらから →https://note.mu/hiranok/m/m9987f2e99fee

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