『マチネの終わりに』第三章(2)
ホテルの七階のオフィスでは、六人のRFP通信の駐在員が、現地採用の十数名のスタッフと共に仕事をしている。
爆発音に、恐らく何人かは気づかず、気づいた者のまた何人かはパソコンのモニターから顔を上げなかった。そして、誰からともなく数名は、気づいたというより、気が散ったといった様子で窓に目を向けた。違っていたのは、洋子一人が、いつまでも外を見たままだったことだった。
バグダッドに赴任して、洋子は、昔地理の授業で習った〈砂漠気候〉というのを、初めて身を以て知った。事前の想像には