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一番大切なのは農地!当たる壁も農地!

就農を目指している皆さん〜
そうではない皆さん〜
仙台荒浜の農家、平松希望です。

上の写真はこの2日の雨で水が溜まった私の畑です。これでも3年間でわりと良くなっていますが改善途上。

今日は農地の話。必ず誰しも当たる壁。自分の経験や、これまで沢山の先輩農家の方に聞いた内容などをまとめています。

1.契約できる農地が中々ない!

借りられる農地が見つからない。

また、正式な契約を結べない(相続が為されていない。親族の同意が得られない。知らない人に貸すと返してくれないかも。いつか宅地転用したい。そもそも知らない人に貸したくない。などの理由があります。)

 正式な契約がない場合、いわゆる「闇小作」で、自治体の補助対象外となったり、作業場等建築許可が下りなかったりします。人材投資資金の経営開始型(年150万円給付)は、正式な契約を一定面積以上、5年以上が一般的な条件です。

2.生産のための圃場条件が悪い!

その先にも多くの方が悩むのは「圃場条件の悪さ」ではないでしょうか。

付加価値をつけて販売する売り先や営業力ももちろん大切なのは重々承知ですが、

なによりもまずは、売り物を生産できる土壌条件や気候条件は不可欠です。施設栽培や養液栽培でも同様です。

土壌には、物理性、化学性、生物性の3つの要素があるとよく言われます。私も含め色々な声を聞いていて思うのは特に「物理性」です。排水が悪い。石が多い。土が硬い。など。

少し違いますが、大雨や台風で冠水する。井戸水の水質が悪い。ということもあります。

なんかいい感じの土地貸してくれたな〜と思うと、めちゃくちゃ水はけが悪くて、作っても作ってもいいものが作れない。雨が降ると、ぬかるんで機械どころか人も入れない。

猪、猿、ハクビシンなど獣害が多いこともあります。

ゼロから新しく農業を始めようとする人に、一等地を斡旋することはほぼないと言っていいです。(農業委員会や農地中間管理機構や自治体によりますが)

まずは、条件不利地からスタートする場合がとても、とても、多いです。

いいですか…新しい人にいい土地は基本手に入りません。

個人的には①排水性、②獣害、は超要注意です。努力を簡単に超えてくるやつです。

排水が悪いと何をしてもうまくいかない。明渠や暗渠や排水ポンプや天地返しや色々策はありますが、避けられる苦労は避けたい。避けてもやってくるので対策はするけど、とてもとても重要だと思います。1日で全滅した農作物を見るほど苦しいものはないです。

私は、台風でこの冬のちぢみほうれん草を全滅させました。

3.立地が悪い!

「圃場の分散」も問題です。小さい圃場がバラバラとあちこちにあると畑を見回るのに時間がかかったり、トラクター など機械の移動が手間だったりします。

平野部の水田などでは換地によって改善されることもあります。換地とは、耕作者が効率よく圃場管理できる様に集積させることです。地権者と耕作者と土地改良区や農業委員会などが時間をかけて調整します。

上手く集積、集約化が出来ずに、残ってしまった小さな土地が空いていて、斡旋されることもありがちです。

4.使い方に制限がある

よく聞く話です。

ビニールハウスや作業場を建てられない話はとてもよく聞きます。ずっと借りていいと言ってても、何かあると困るとか、後継ぎが使うかもとか、宅地転用するかもとか、信用できないとか、返してくれなくなるとか、色々あるのだとは思います。

また、正式な書面で契約を結んでいても、返してと言われると実際は返す場合があります。投資した後に、返却となると大きな支出になります。

いいですか…よくある話です…。怖…。

5.どんな農地がいいか

どんな経営をしたいか?によって、農地の条件は変わります。

例えば、観光、体験イベント、畑での直売をしたい場合は面積が小さくても交通の便が良いとか住宅地の近くとか。

施設でやりたい場合は、良い井戸水が引けるか水道水が敷けるか。地権者が施設の建設を認めてくれるか。何度も書きますが、施設や作業場を建てても、返却を求められ計画が崩れる話も聞きます。

規模拡大を考える場合は、機械化と省力化が必要になりがちなので、機械と移動は容易か。圃場の形は作業に適しているか。

ざっと考えても、この様に選び方が様々あります。

さらに、リスク分散も考えた方が良いと最近分かりました。異常気象が増えていますので、大雨による土砂災害や冠水浸水、乾燥時の散水、高温時の風通し、など。一箇所に圃場全部を集めすぎると、全滅に繋がる可能性が生まれます。

6.必ずお伝えしたいこと

(1)契約書を交わしてください。

農業委員会、農協、中間管理機構など正式なものがよいですが、市役所、なんなら地域の有力者の方でも間に公的機関や信頼のおける人をおいて、証人になってもらってください。

しかし同時に契約期間や内容に関わらず、返してと言われることはあり得ます。残念ながら。いくら農地法で耕作者権利が守られていても、様々なしがらみや地域内の関係性で、返却を選ぶことになる人が多くいます。賃貸料をあげられることもあります。

なので、何人かの地権者から借受が必要になると思いますし、可能なら、施設や作業場建設の場合は農地購入も視野に入れた方がいいと思います。

(2)災害時の被害を確認。
借りる土地が、台風、大雨、河川氾濫、津波、土砂災害などで被害がどうか事前に確認することをお勧めします。危なくない範囲で、雨が降ったら見に行ってください。機械や作業場、施設は被害を受けませんか?要チェックです。
使える保険があれば入りましょう。

(3)専業で長くやるなら、購入も視野に。

もちろん、できるだけ良い条件の土地を無理のない範囲で。

(私は全て賃貸借、使用貸借なので言えた立場ではございませんが)

7.最後、私の話

私も始めるときに多くの人にお世話になり、幸運にも理解を得られ60aの土地を借りられました。津波被災地なので、大地震で津波浸水する可能性は重々承知です。9年前の震災から復興してきたこれまでの農家や地域の方々の姿を見るに、なんとかしよう、なるとかなろう、と思っています(備えて出来るだけ対策はします)。
これまでは農業委員会を通した、農地法第三条による契約です。

借りている土地の中には、ビニールハウスを建てられないという制限があるものもあります。

返してと言われたら返すことになる土地もあります。

契約が結べずいつまで借りられるか分からない土地もあります。

いつまで使えるか分からず井戸を掘る決断も出来ぬままです。(水はのちに集落水道を使うことになりました)

そのような経営資源の不足は、経営安定に向かえない理由の1つでもありました。ですが、新たに長期間安定して借りられる土地が見つかり、就農5年目でようやく電気のある作業を行えそうです。今は自然光のもとやっております涙 

自分の経営をどんな方向で考えるか、ライフプランで農業をどう位置付けるか、複合的によく考えて余裕を持って取り組むことをお勧めしております。皆さんの努力と熱意が実ることを心より願います…。

非農家出身で考えている方は、周りの非農家出身農家の方に色々アドバイス受けるのがとても為になると思います!地域が同じだと尚良しですが、そうでなくても聞けそうな人に聞いて情報収集を是非。

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