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女で農家は無理!?について24歳で独立就農した女が話す

無理か?
結論を言うと無理ではありません。

大変か?
大変なのは男女問わずというか、業種問わず独立(起業)は大変だと思っています。

農業について、女「だけ」で就農の前例は確かに少ないです。

宮城県の場合、
平成26年度〜30年度の5年間で、新規参入者(※注)は合計142名、うち女性32名です。女性は22.5パーセント。法人就農と、親元就農は除きます。独立就農者には、経営主、共同経営者(共同で就農した配偶者等)が含まれる場合があります。
少な目だけど、女性も案外居るじゃん、と私は思いました。

(※宮城県のH26年以降の統計で新規参入者と呼ぶのは、全国統計の新規独立就農者とほぼ同じです。H25年までは出身地で分けてUターン就農とかいたので、比較できません。美しくないです…。)地域ごとの就農者状況を知りたい方は、農業公社や都道府県農業振興課などのHPにデータがあります。農水省からも見れるはずです。

なお、5年間の平均を見てみます。新規就農者全体で172名、うち新規参入者28人(16.5%)、うち女性6.4人(22.5%)です。

宮城県で新規独立就農は、圧倒的に野菜が多く、水稲、果樹、花卉、肉牛などの割合は低いです。就農の状況は、営農部門や地域によっては大きく異なるので、一般論として、かつ、1人の野菜農家の意見として受け取ってもらえればと思います。

では、これまで私自身が、おそらく女だから聞かれてきただろうことをあげてみます。

「子供産んだらどうするんですか」
「結婚したら辞めるんですか」
「彼氏または配偶者は居ますか。」
「彼氏配偶者は農作業を手伝ってくれますか」
「もし結婚出産などで辞めるなら給付金返せますか」「どうやって返すんですか」
「機械使えますか」
「男性の多い社会ですが、女でやれますか」

始めてからは
「旦那さんは?」
「お父さんは?」
「代表者の方は?」

大体は、『本当に現実分かってる?』『前例少ないの分かってる?』『身体差あるから、思ったほど(他の農家ほど)動けないかもよ。』『出産とかライフプラン考えてる?』という確認と助言だと思います。
あとは疑問があって出てくる普通の質問ですよね。

非農家出身、県外出身、20代、というのもあり、周りの関係者の方も農家の方もそれはそれは心配し、本当にやれるのかと懸念されていました。

男とか女とか、そこにこだわるからこそ、そのような意見を、多分、批判と捉えてしまうのだと思います。男でも女でも、農家出身でもそうでなくても、地域外出身でもそうでなくても、得意不得意、向き不向きはあります。

農業をやろうと決めて、大切なのは、自分の得意不得意を知ることなのではと思います。

「男性の方並みにやろう」とか「負けないようにやろう」とかではなく、「自分が今精一杯やれることをやろう」「出来ないことは人に聞いて学んで頑張ろう」「無理なことは頼もう」そう思っています。

できるできないは努力の過渡期で必ずあるし、
得意不得意は個性です。
一生できないこともあるでしょう。

男だろうと女だろうと、

腕力無い人もいる。身長が低い人もいる。細かい作業が下手な人もいる。機械が苦手な人もいる。デザイン得意な人もいる。料理や加工が得意な人もいる。商談が得意な人もいる。清潔感ある人もいる。髪長い人もいるし、化粧してる人もいるでしょう。

性差じゃないんですね。

私は機械を見るのは好きですが、使うのは苦手で、分からなかったので、県農業大学校のトラクター講習やけん引講習に参加しました。免許も取得しました。
普段使う機械は、取り扱い説明書を読んで、YouTubeとかも見て、分からない事は機械屋さんが相談に乗ってくださいます。下手くそなんですけど、周りの農家の方も、「こうすればいいんだぞ〜」って教えてくれるし、代わりにやって見せてもくれるし、そうやって学ばせてもらっています。

体力的に農作業できるのか心配だったので、体験や研修に行き、自分にできるかな、と考えてきました。

細かい作業が嫌いというか得意ではないので、花とか、スナップエンドウとか、繊細で細かな作業が多いものは作付けしていません。
料理提案やポップ作りが得意でないので、珍しい野菜は作りません。
ま、今のところです。今後変わるかもしれませんね。


女性で反対されてる方、躊躇されている方、結構いらっしゃるかと思います。多分、関係機関や農家の方は、本当に大丈夫?現実どこまで分かってるかな?と確認と心配の意味で言ってくださっていることが多いと思います。

周りから見てできないと思われているのかな、と感じるのであれば、
出来ること→出来ますよと伝える
出来ないこと→出来るように調べる。どうしたらいいか相談する。
その繰り返しだと思います。色んな意見は、その気づきをもらってるようなもんですね。
私は最初は否定されている気がして苦しいことや悲しいこともありましたし、伝わらないかなとあきらめることもありました。そのうち、そうだよねー現実ってこうなんだなーと思うようになり気にならなくなりました笑

何度も何度もいろんな方から聞かれるので、何度も何度も説明して、すると、自分でも納得できる形が見えてくると思います。はじめ、無理だよとつっぱねられたと(感じたと)しても、ちゃんと向き合って説明して相手の方と一緒に考えていくと、就農した後には応援してくださる方になるかもしれません。

大変なこともあるとは思いますが、悔しい気持ちもあるかもしれませんが、自分自身と向き合い、地域の農業と向き合い、産業と向き合い、互いに少しずつ成長していく過程なのだと、自分の中に落とし込んでいけたら良いのかなと思います。
華々しい道ではないので、悲観することもなく、楽観視することもなく、地道に考えるしかないな!と私は思っています。


ただ、一応お伝えした方がいいと思っていることがあります。
それは、セクハラです。あまり言いたくないですが、私自身受けて、一時期、年上の男性を受け付けなくなりました。話すのが怖い。見るのも怖い。目が合わせられない。2人きりになれない。2人でご飯を食べるなんて絶対無理。泊まりの研修会?無理です、、怖いんです。

私は、恵まれ、信頼できる方々がいました。ほんとやだよねーと話を聞き怒ってくれる女の先輩農家の方がいました。自分なりに時間をかけてなんとか、受け止めて克服できるくらいにはなりました。なので今は大丈夫です。
悪いのはほんのほんの一部のだめな人間なのですが、トラウマになることがあります。


女性が少ないこと、珍しいこと、それが、農家になりたいと思う人を潰してしまうかもしれない。もしかすると、農村や田舎の排他的環境や男尊女卑な環境が、誰かを苦しめるのかもしれない。

私は大した力にはなれませんが、女でも男でも関係なく農業の現実を知ってもらえる場を作れたらと考えています。

長々ありがとうございました。


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