「妖怪退治の仕事してるけど、なんか質問ある?」スレまとめに感動した①

今年の2月ごろに喫茶店でスマホを開いて、ぼんやりしたり心にうつりゆく由無し事をそこはかとなく書きつくったりしていたときに、あるオカルトサイトにたまたま辿り着いた。だいぶ以前から、年に一度くらいオカルトサイトの記事を読みふけるマイブームがやってくる(すぐ終わる)。このとき見つけたサイトもそれに当たるのだけれど、近年は巨大掲示板で盛り上がったスレッドから重要な部分だけを抜粋して編集された、いわゆる「まとめサイト」というものが多いらしい。これについて説明の必要な読者も案外少ないのじゃないかと思う。

近年はまとめサイトが多い、と書いたけれど、では過去はどうだったのか?という話を少しする。

つい先日、ジオシティーズのレンタルHPサービスが終了するということを、その期日の前日に知った。ミラーボールズがツイッターで久しぶりに呟いたと思ったら、「明日ウェブサイトが終了します」という内容だったので、なんだと思って調べた。ミラーボールズのサイトはおれが10代の頃に出会った当時からほぼそのままのレイアウトでリンク先に佇んでいた。記念のスクリーンショット。

普段から覗くことはほぼなくなっていたのに、明日なくなると言われてみれば襲ってくる身勝手な郷愁のようなものに満たされる。ジオシティーズのようにサーバを使っているサイトの一斉閉鎖とまでいかずとも、隆盛を極めた当時とは大きく様変わりした魔法のiらんどの、現在の姿を見たら驚く人も多いのではないか。(おれは驚いた)

https://maho.jp/

まとめサイトが台頭してくる以前は個人が趣味でフリーのレンタルサーバに作っていたおかしなウェブサイトがたくさんあって、それらはたくさんの個人の脳内に直接アクセスしているような錯覚すら、ネットサーファーのうちに招いていたような気がする。なんだかインターネットはかつてもっと薄暗く茫洋としていて、油断しているとときどき狂気的な躁状態の人に殴りかかられるような、おれにとってはそういう世界だった。もっと詳しくてサーフ技術の高かった人からしてみればまた違った見え方をしていたんだろうけれども。おれは最近の、スマホで見るのに適したホスピタリティあふれるUIが楽で助かると思っているけれど、20歳くらいの頃、高揚のうちにPCでx51.org(だっけな?)を見ていたらいつの間にか夜が明けていて翌日に大きな後悔を残していた、あの思い出を大切に感じる気持ちもまあ、なくはない。ギリギリある。なし寄りのあり。

そんなネットの薄暗さの演出に大きく貢献していたのはやはり2ちゃんねるだと思う。最近は5ちゃんねるになっているらしい。どういうことかはよくわからないけれどともかく2ちゃんは5ちゃんになったらしい。ちょっと調べれば経緯はわかるのだろうけれど、まあとりあえず置いとこう。死ぬほどどうでもいい。だいたい2ちゃんねるってどういうことだ。まあいいや。

2ちゃんねるがすごく嫌いだった。匿名となればそこで交わされるのはほとんどが人の陰口ばかりだとおれの目には映ったから。というより今思い出したのだけれど、高校生の頃によそのクラスの掲示板で、おれが東京タワーの前で恋人とキスしてたっていじられたのをずっと根に持っていただけかもしれない。なんか明らかに自業自得な気がしてきたな。まあそんなこんなあって、2ちゃんねるはまさにそういう無責任な陰口の飛び交うゴミ捨て場のようなもの、という認識がずっと消えなかった。

そこへ来て最近のまとめサイトというのは本当によくできているものがあって、話題をオカルトに限るならもしかするとベストなフォーマットじゃないかとさえ思えてくる。スレッドへの投稿という形によって生まれてくる距離感や「釣り」だと冷笑しつつもそこに張り付いているもの、どこからともなく裏付ける情報を持ってくるものの存在が話をどんどん盛り上げていく様子が、なんとも良い。編集の手腕にもよるのだろうけれど、劇場型の興奮がある。それも、自分はその劇場で画面やステージを見ているのですらなく、大勢の人間が観客席で騒ぎ立てている様子を、未来から眺めているような気楽さ。ホラー小説を読む気は起きない。

長くなりそうなので一旦終わる。
本題に入れなかったけれど、興味のある人は先にこれ
http://world-fusigi.net/archives/6972808.html
を読んでおいてください。次回は中身の話をします。

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