見出し画像

「まちづくり」とは「まちに住む人たちの幸福づくり」

道を歩いているおじいちゃん。帰宅するためにバス停で待つ仕事を終えた人々。

ある日の夕方、車窓からまちの何気ない風景を見ていて、ふと思った。
「そうか、この人たち一人ひとりがまちをつくっているんだ。」

私は普段、ものすごく狭い世界しか見ていない。限られた人としか付き合っていない。それ自体は悪いことではない。

しかし、まちに住む一人一人それぞれに世界の見え方があって、それぞれが歴史を持っているってこと、まちはその積み重ねで営まれてきたってことを、最近忘れていたような気がした。


私は昨年11月、延岡市民協働まちづくりセンターの福田政憲(ふくだまさのり)さんにお話をお聞きした。お題は「まちづくり」について。

2018年頃からにわかに「まちづくり」に関心を持ち関わるようになった私は、「そもそもまちづくりって何なんだっけ。」と疑問を持ち、福田さんにお時間いただいたのだ。

その内容をふと思い出した。


福田「まちづくりって一体何なのかと改めて問われるとなかなか答えづらいよね。」
黒木「はい、うまく答えられないですね。」
福田「『まちづくりって何ですか。』って質問されると、僕は明確に『そのまちに住む人たちが幸福になることです。』と答えます。」
黒木「”まちに住む人の幸福づくり”。」
福田「幸福には日常的なもの非日常的なものが2つあって、両方あると地域がうまく回るよね。たとえばお祭りとかは非日常的。年に1回か年に2、3回のためだけに、いわゆる記念日のためにやるようなまちづくり。

一方で日々の暮らしの中で得る幸福づくりを考えていくっていうまちづくりもある。」
黒木「なるほど。ではその日常にあたるのが福祉であったり医療であったり、教育もそこに入ってくるんですかね。」
福田「うん、もちろん。子育てもそうだし。僕らの言うまちづくりは、市民が参加して自らつくっていくっていうことに大きな意味があるんだ。」
黒木「参加して主体的に。」
福田「そうそう。幸せづくりはみんなでやっていこうってことですよね。

もう一つ、幸せっていうのは限りがあるので、それをどうみんなでシェアできるかっていうちゃんとした理屈を持っておくってことかな。」
黒木「限りがあるのでシェアをする。」
福田「青天井じゃないでしょう?幸せって。」
黒木「そうですね、確かに、そうですね。」
福田「だから持続可能にしていくためには限られたことを最終的にやっぱり分け合うっていう意識を持たないと。幸福を分け合うことができるかってことが持続可能にできるかってことに関わってくる。」
黒木「仕事でやっていることそのものもまちづくりにかかわっているってことですよね。」
福田「もちろん、もちろん。仕事って一種の公共性を帯びているものじゃん。どこかで社会に役立つってことが担保されている。一つの社会貢献。暮らしの中にあるものはまちづくりに関わってきている。」
黒木「昔はイベント=まちづくりと思っていました。」
福田「そう思っている人が多い。それはそれで必要。地域の良さを理解して、外の人にも共感をしてもらうのが一つのまちづくり。
そのためには住民が良さを認識することが大切なんだよね。自分たちのまちをどれだけ知っているかってことが大事。」
黒木「歴史的な観点でのまちづくりが大事ということでしょうか。」
福田「とても大事です。
世の中には”風”と”土”というものがとても大切なんですよ。”風”が運んでくるものはきっとある。それが”土”に落ち、成長して花が咲くものは意外と少ない。
つまり土壌に育てきる能力や技術があるかどうかも問われる。”土”が”風”を受け入れてどう自分たちのものにできるかっていうことですよ。」
黒木「福田さんは今”土”の方に育てる能力があるかってことをおっしゃったと思うんですけど、逆に”土”の特性を”風”の方が知ることも大事なのでしょうか。」
福田「あくまで”風”は動いているものなので、実体があってないものじゃないですか。その”風”が運んできた種を育てきる能力があるか。種が落ちていって根づくまでに土壌を耕しているか。

そういった意味で”土”とは歴史認識のことなんですね。若い人たちで自分たちの”土”がどういうものなのかを分かっている人たちが少ないと感じますね。もしかしたら”風”に舞ってくるものに対して囚われすぎているのかもしれないね。」


以上のお話は、もう半年以上前に聞かせていただいたものの一部だ。

まちづくりとはまちに住む人たちの幸福づくり。だとしたら私自身の、一人ひとりの生活の延長線上にまちづくりはある。

そして何か事を起こすのなら、このまちの「土」つまり「歴史」についてよく知ることが大切。そう福田さんはおっしゃったように思う。

「足元を見なさい。地道にやっていきなさい。」と私は言われた気がした。

一人ひとりの暮らしがまちの幸福を形づくっている。

あなたの日々は幸せですか。あなたは今日をどうやって暮らしますか。誰とどんな風に幸福を形づくっていきますか。


いただいたサポート費はよい文章を書くために使わせていただきます!