⭐︎アドベントカレンダー初参加⭐︎
これまで,いくつものアドベントカレンダーを見てきましたが,まさか自分がそんなアドベントカレンダーに記事を書くことになるとは思ってもみませんでした.
思ってみれば面白そうなアドベントカレンダーはいくつもあり,12月になると周りの仲間たちはそれにこぞって参加し,挙句の果てにはアドベントカレンダーオフ会的なものまで開催しているのを,僕はどこかうらやましく感じていたのかもしれません.
これが僕の初めてのアドベントカレンダーへの投稿です.
(Microsoft Research Internship アルムナイ Advent Calendar 2020 3日目)
話は7年ほど前に遡ります.2013年のことです.
当時博士課程の学生だった僕は,指導教官の勧めでMSRAのPhD. Fellowshipに応募しました.
MSRAのPhD. Fellowshipについてはこちらの加藤さんのブログに詳しく書いてあります.
それほど派手な研究業績もない僕は,研究科長と指導教官からの推薦書と英語でのプレゼンビデオを苦労の末用意したものの,あえなく落選してしまいました.
それまで,WindowsのPCを使っている以外にはMicrosoftとは特に縁はありませんでしたが,思ってみればそれが僕とMicrosoftとの初めての繋がりだったのです.
正直その後のことはあまり覚えていないんですが,Fellowshipへの応募がきっかけでWorld Internship Programへの応募の案内が来まして,それに軽い気持ちで応募してみました.
その後すぐに,後にMSRで僕のメンターになるXian-Shengから「明日電話でインタビューできるか?」というようなメールが来てただただ慌てたのを覚えてます.
年が明けて2014年の始め.当時国際会議の運営から来るwe regret to inform~~~という論文の不採録通知のメールばかり受信しまくっていてすっかり気を落としていた僕のもとに,we regretじゃない見慣れないメールが着ました.
Redmondで12週間のインターンが決まったよ,給料はいくらだよ的なメールでした.
給料が高すぎてビックリしたことを印象的でした.
その後,過去に国内学会で知り合った樋口さんが2013年にインターンに行っていたという情報を仕入れて,いろいろと教えてもらいたいと思ってメールをしてみました.
そしたら色々教えてくれたのですが,どうやら樋口さんは僕のことを覚えておらず,知らない人からメールが着たと思ったそうです.
その年の6月頭から8月末までアメリカのRedmondにあるMicrosoft Researchで僕はとても濃い3か月間を過ごしました.
研究面においても生活面においても.
国内の研究所にはしょっちゅうインターンに行っていたので,研究だけに集中する期間というのは比較的頻繁にあった方なんですが,MSRの場合は研究に集中するだけじゃなくて,生活面でも非常に充実していたと思います.
インターンへのケアがとても手厚くて,研究所の前のお庭に簡易遊園地が作られたり,急にアイスクリームを配り始めたり,ホールでワインパーティが開かれたり,遊園地を貸し切りしてイリュージョンショーを見せられたりして,当時の僕はこれはバブルだなと思いました.
その経験がゆえに,その後に行った国内の研究所でのインターンでも生活面の充実を図るために色々とイベントを企画したりしました.って言っても筑波山に登ったりとか,週に1回プールに通ったりとか,その程度のことしかできませんでした.圧倒的な経済力の差ですわ.
Microsoftってすごいなと思ったものです.
幼少期にアメリカに住んでいた経験があったんですけど,帰国子女って2つのタイプに分かれがちだと思うんですよね.
アメリカ最高みたいになる人とやっぱり日本が一番ってなる人.
僕は後者だったので,正直あまりアメリカに行きたくありませんでした.とりあえず海外に行けばどうにかなると思って語学留学に行くような人を見ると,日本で何もできなかっただけだろって思っちゃうタイプでした.
そんな僕がアメリカまで呼び寄せられたのは,他でもないMicrosoft Researchという激強CS研究所の名前に惹かれたからです.
会社の駐車場にチューリング賞受賞者専用の駐車スペースとかあるくらいですからね.
MSRのインターンともなると世界中の同世代の研究者達と知り合うことができたので,それは今でも非常に良い経験だったなと思います.
特に,彼ら彼女らの現在の活躍をFacebookなどで見るとやる気が出てきます.
インターンで仲良くなったタマンティップ・ピアンサムブーンとは今でも仲良しで,その後も1,2年に1度は会っています.この写真の左から2番目の人です.今年娘が生まれたそうなので状況が落ち着いたら早く会いに行きたいです.
当時の写真
日本人に限定しても,このMSRインターンアルムナイアドベントカレンダーが実施されるくらいには強固なネットワークがあって,インターン参加後にも定期的に品川のマイクロソフトで開催されていたアルムナイイベントにも参加していました(樋口さんの手違いだか何かで第一回には呼んでもらえなかった).
そこでは同世代だけでなく上の世代から最近の学生世代まで,幅広い世代が研究界隈でぶいぶい言わせているのを見てすごい世界だよなぁと思いながら自分も頑張ろうと思ったものです.
最近はあまりイベントは開催されてないですよね?もしかして完全に呼ばれなくなっただけですかね?
そんな僕は今何をしているかというと,某私立大学で講師をしています.
けっこう大人数学生を相手にゼミを主宰していて,教育比率高めで研究をしてます.
博士課程を出てすぐに教員になったので,自己紹介のスライドなどに書くような経歴があまりないんですよね.
自己紹介に書くことと言ったら千葉県生まれって情報と〇〇大学卒業って情報くらいしか書くことがないんです.
そんな僕もMSRでのインターンは物凄く大きな経験として残っているもので,たった3か月なんですけど,必ず自己紹介スライドに の写真を載せて2014年にはMSRで研究してたんだよって,教え子たちに自慢してます.
実はインターン当時,3か月で全然大した研究成果は出せなかったんです.かなりの好待遇でもてなしてもらったのに本当に情けなくなりながら日本に帰って,帰りの飛行機の中で書いた論文がまたリジェクトされて,だいぶ落ち込んでいました.
普通だったら苦い思い出にでもなりそうなものなんですけどね.
あまりにも思い出深い夏だったせいでしょうか,あのB Lineのバスの感じとか,99ビルヂングの雰囲気とか,ポップコーンの匂いとか,毎日実家に電話してた同室のインド人の子とか,よく行ってたマレー料理屋のおばちゃんとか, よく飲んだPikeビールの味とか,本当にいい思い出としてしか残っていないのが2014年の夏でした.
今でも樋口さんとはしょっちゅう飲む仲なんですけど,我々の間ではあの夏は伝説の夏と呼ばれています.
あれは20代半ばで突然湧いたように訪れた青春でしたね.
博士課程に進むと鬱々とした日々を過ごしがちになってしまうと思うんですが,海外にでも行って3か月くらいインターンしてみるとどうにかなりますよ.
そう,MSRならね.
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