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食の学び舎foodskoleで、「Food Creativity」を探究する。これから必要になってくる「食の創造論」とは。

今日は、4月から開講するカリキュラムのことと、そもそもなぜ食を学ぶ必要があるのか。について、食の学び舎「foodskole(フードスコーレ)」をつくったきっかけに触れながら、詳しく書きたいと思います。

受講生募集は、2021年4月5日(月)18:00まで受け付けていますので、検討している方は、読んでいただき受講を検討してもらいたいと思います。また今回は受講を見送る方も、僕らがこのfoodskoleで何をやろうとしているのかをぜひ知っていただきたく、読み進めてもらえると、とてもうれしいです。

「食」にあまり興味のない人は、食の学校と聞くと「意識高い系」をイメージするかもしれません。だけどfoodskoleは、いわゆる声が大きい人や、食分野の何かしらのプロフェッショナルの方が、その考えを見せびらかす場所ではありません。この先を読んでいただければ、foodskoleの目指すことがわかっていただけると思います。

foodskoleでは4月〜9月末までの6ヶ月間、「2021年度前期Basicカリキュラム」という全12回のオンライン授業を開講します。テーマを「食の創造論」として、食にまつわるモノや概念を創造できる「Food Creativity」について考えてみよう。そんな探究の場です。ちなみにこの「Food Creativity」というのは造語ですので、検索してもひとつの定義は出てきません。ですので、そのあたりについても説明しながら書いていきます。

平井巧、自己紹介。

はじめての方もいると思いますので、簡単に自己紹介をさせてください。

株式会社honshoku一般社団法人フードサルベージ、ふたつの会社の代表をしています。どちらも「食」にまつわる企画・制作・販売を事業としています。フードサルベージでは、とくに食品ロスなど食にまつわる環境問題をテーマとした活動をしています。honshokuでは、じぶんたちで色々と食にまつわるコンテンツをつくっていますが、そのうちのひとつが「foodskole」です。

どちらのチームにも共通している活動理念として、

想いをもってつくられた食べものと、想いのある人たちの力が食卓を愉快にする。そんな循環をつくる。

としています。とくに「食卓」という視点は大事にしています。活動を通して、人それぞれの愉快な食卓をつくることを第一に目指しています。

もうひとつの活動理念は、

ちがう立場の人たちに対して、共通の価値をみつけるお手伝いをする。

ということ。食にまつわる価値観は人それぞれです。それでも同じ想いを持つもの同士で、料理を楽しんだり、おいしい料理を一緒に食べたり。食品ロスを改善しようと仲間とプロジェクトに取り組んだり。一定数の人たちの中での共通の価値を明確にすることをお手伝いしています。foodskoleでもその想いは変わらずで、学校という場所の中にいる、いろんな人たちの共通の価値をみつけることをしていきたいと考えています。

食の創造論


foodskoleってなに?

foodskoleは、food(食)+skole(学校)=食の学び舎という、僕らがつくった言葉です。「フードスコーレ」と読みます。

foodskoleは、食についてみんなで共に学び合う場です。昨年2020年4月にスタートし、6ヶ月を1期間とし1期2期と重ねて丸1年が経ちました。

料理、食材、流通、環境、エコシステム、文化など食にまつわることを、座学・体験・研究を通して学ぶことができます。時世をふまえてオンラインで学べる環境も整えています。

foodskole のおおまかな構成は、①通常授業、②学校現場での教育活動、③研究&コミュニケーショ ンの3つです。

①通常授業では、「食」にまつわる様々なテーマを講師と生徒みんなで学びます。学校全体においても中心になるこの「通常授業」は、以下のカリキュラム編成を予定しています。

【Basic カリキュラム】
毎月2回の講師による授業 ※約6ヶ月を1期間とします。
【Open カリキュラム】
単発授業やオプション授業

②学校現場での教育活動では、小学校や中学校、高等学校、大学等と連携し、「食」に関わる出張授業やカリキュラム設計のアドバイス、講演等を行っていきます。

③研究&コミュニケーションにおいては、商品の開発や販売、事業開発、飲食店経営、調査研究などを 行い、その実践での学びを世の中にも発信していきます。みなさんと野菜など作物を育てたり、市場などへの社会科見学、各地域への修学旅行、入学式や卒業式、部活、文化祭など、「食」をテーマとした学校行事を企画し、「食」を学び合う仲間とのコミュニケーションがとれる場をつくります。

生きていく上で「食」は外せません。そして、私たち日本人はあまり深く考えなくても、ほとんどの人は食べるものに困っていない。追い詰められて全く窮するなんてことはない、という人が大半です。自分のお財布と相談して、好きな食べものを口にすることができる。そういう環境で暮らせていることは、実はいろんな人たちの活動や協力があってこそ成り立っています。

もっと書くと、「食べもの=生きもの」であって、ヒト以外の多くの生物に助けられてヒトは生きています。このことをつい見落としてしまいがちですが、そろそろみんなで、そうしたことに目を向けて、地球環境のためにも、健全な人間活動のためにも、「食」について考えてみる必要があります。

ヒトの役に立つという側面だけで、私たちは人間よがりな世界をつくっています。そんな世界を生きていると、人間だけに通用する功利を追う存在になってしまいそうです。「食」について学ぶことは、地球のこと、生物のことを考えることになり、そうしたことが、回りまわって自分のためにもなります。これから自分はどうやって「食」にアプローチするか、その手法を考える場が「foodskole」です。

またこうした学び場ではどうしても「おもしろさ」が疎かにされがちです。しかしエンターテイメント性にこそ、食の本質があると思っています。foodskoleでは、食をたのしむことを大前提にあらゆる授業や企画を考えていきます。

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「食」に夢を持つ。

食に関する話題で、私たちは未来を憂えることが多くなってきました。「多くの食べものが捨てられてもったいない」「食料自給率低下による食料不足のリスク」「テイクアウトの需要増加によるプラスチック容器の利用増加」といった地球規模の資源問題や環境問題から、「孤食増加など家庭内での食事環境の悪化」「生活習慣病、肥満、やせすぎ、低栄養」といった個人の問題まで様々なレベルで、「食」に関する嬉しくない話題が溢れています。こうしてみると、なんだか私たちの「食卓」の未来はあまりおもしろくなさそうです。

「食」を憂える視点も大切ですが、「食」に夢を見る話も増えることで、「食卓」をおもしろがれる人も増えるはずです。過去を後悔するだけではなく、未来を憂えることだけでもなく、そこにちゃんと夢を踏まえて、いまある食を次世代にちゃんとパスをする。それこそが、今を生きる私たちのできることだと思います。

そのために私たちは、「食」を学びたい、行動したいと望んでいるみなさんに向けて、今まで行ってきた事業やプロジェクトを集結させ、オンラインやオフラインを駆使して、ともに学び合う新しい食の学校「foodskole」を創る決意をしました。

食の創造論 (1)


「食」まわりの現状課題

ここで、「食」まわりで起きている課題をあげてみます。

現状の課題
・人間の活動が原因で、地球が壊れはじめている。
・自分が地球に貢献できていないことへの虚無感。
・行動を起こしたいのにどう起こしたら良いのかわからない。
・行動を起こすことや正解を出すことに急ぎすぎる。背負いすぎる。
・環境問題を知れば知るほど、消費への萎縮、暮らしづらさ。
・情報過多によって、問いに対する正解がわからない。選べない。
・一部の有識者、高い発言力を持つ人のみが声が大きく、そうでない人が考えをアウトプットできる場が少ない。
・他人の考えた答えを、自分の答えとして安易に取り込んでしまう。
・食のサプライチェーンの分業による互いの不寛容。生産と消費の分断。
・資本主義の限界。ルールや仕組みに縛られ、それを変えられない閉塞感。
・食の社会性が重視され、エンターテイメント性が疎かに。
・企業活動における短期的な利益追求、ビジネス性が優先され本質的な取組に至らない。

ここにあげた課題個別でも問題であり、課題が互いに影響を及ぼしながら複雑に絡み合ってもいます。食以外の分野の課題とも影響しあっています。

こうした課題に対して、foodskoleで目指す方向性を考えてみました。

食の創造論 (2)

食にまつわる課題を解決するために、foodskoleの受講生、ゲスト講師、学校運営をお手伝いしてくれるみなさんといっしょに、これらひとつひとつの実践を重ねていきたいと思います。

「食を学ぶ」必要性

これまで書いてきたように、どうやら私たちは、地球環境のためにも、自分のためにも「食」について学んでいかなければなりません。

foodskole は、「食」と主体的に対峙するための場にしたいと考えています。消費財としての「食べもの」ではなく、「食べもの」の周辺には様々な事象が含まれています。何を、誰と、どこで、どのように食べるのか。いくつかある選択肢の回答を誰かに委ねてはいないでしょうか。自分と「食べもの」との関係をもう一度舫い直しすることが必要なのかもしれません。

例えば料理教室に通うことも、「食」を学ぶことに含まれます。しかし、foodskoleでは学ぶ領域を変えて、これまでにない新しい「食」を学ぶ場にしようと考えています。何か特別なスキルを身につけるというよりは、答えのないテーマに関して、自分なりの落とし所をみつける。インプットとアウトプットを繰り返しながら、興味ある分野を中心に関連領域を広げて、これからの生き方に直結するような生涯学習の場を目指します。

「食」を学び始めたいと思っている方、これまで学んできてより探求したい方、一緒に取り組む仲間を探している方など、foodskoleに入学する動機は人それぞれになると思います。

食の創造論 (11)


foodskole、これまでの活動について。

2020年4月にスタートして、これまでオンライン、リアルな場の両方で、Food Creativityを育てる様々な学びの場をみなさんとつくってきました。

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「Basicカリキュラム」で探究すること

繰り返しになりますが、2021年4月5日(月)18:00まで受講生を募集中です。「食の創造論」をテーマタイトルとし、全12回の授業を通して、みなさんとともに学び合います。

食の創造論(Exploring “Food Creativity” 2021)
自分たちで、食にまつわるモノや概念を創造できる「Food Creativity」を養って、生きる力を持つことを目指す。食を通した暮らしと社会における未来のイメージとそのアプローチ方法について、対話を通じて考えていく。

食の創造論 (4)

いわゆる食のサプライチェーン(生産〜流通〜消費〜)の流れに沿って授業は進み、各分野のプロフェッショナルをゲスト講師に招き、課題領域に関することを個別テーマに設定しています。

「生産」には興味があったけど、「料理」については深く考えてこなかった。「料理」をすることは好きだけど、どうやって手元に食材が届くのか「流通・小売」については気にしたことがなかった。など、食卓=暮らしを軸にして、自分がこれまで気にしてこなかった分野にも触れながら食を捉えることに挑戦していただきます。

食の創造論 (5)

募集中のBasicカリキュラムについて
期間:2021年4月〜2021年9月末まで(隔週第2・4火曜日 19:30〜21:00)
場所:オンライン(Zoomなど予定)
回数:全11回の授業を予定
内容:座学、ワークショップ、探求発表など
条件:PC、スマホ、タブレットなどの通信機材とネット通信をご用意できる方
※欠席された方は、授業をレコーディングした限定公開の動画をご覧ください。
※曜日、時間、講義回数など授業内容は変更する場合がございます。

全12回のゲスト講師については、下の記事に書いていますので、そちらをご覧ください。


授業のスタイルとして、講師から知識を得たりスキルを学ぶというよりは(それも大事ですし、どんどん吸収してほしいです)、講師の生き方や方法論にこそ触れて、その哲学を学び取って欲しいです。そして、それぞれの授業で学んだ生き方や方法論を自分で紡いで、食に対する自前の考え方を概念化・言語化する。これこそが、受講されるみなさんに、授業を通してやっていただきたいことです。

食の創造論 (7)


食にまつわるやりたいことを実現する場所。

foodskoleは、こんな方におすすめです。

◯食にまつわる行動を起こしたい方
食周辺の知識を手に入れて、活用して、実感することを繰り返す。
◯仲間を探している方
食に興味を持つ人たち同士でつながり、学び合い、行動してみる。
◯自前の食スタイルを持ちたい方
自分にとって心地いい暮らしのベーシックを探す。

「Basicカリキュラム」を受講申込されると、自動で半年間foodskoleに入学するということになります。全12回の授業をオンラインで受けるだけではなく、それ以外の学校生活もぜひ楽しんでもらいたいです。

興味のあることをテーマに、部活やゼミを立ち上げたり、まずは既存のコミュニティに参加してみる。Basicカリキュラム以外にも行われる授業やイベントで学んでみるなど。foodskoleでは、受講生だけではなく講師や運営委員も含めて同じ想いの人たちが多勢いますので、いっしょに何か行動する仲間も見つかりやすいと思います。

foodskoleは、みなさんの食にまつわるやりたいことを実現する場所です。存分に使い倒してください。

食の創造論 (10)

ここまでお読みいただき、わからないことや、聞いてみたいことがありましたら、以下のfoodskole事務局宛に気軽にお問い合わせください。いただいた質問に対してお答えしたいと思います。

問い合わせ先
school@honshoku.com
foodskole事務局宛 平日10:00-18:00


最後に、現在募集中の「2021年度前期Basicカリキュラム」についてあらためて紹介して終わります。くわしくは、こちらをご覧ください。



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