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2024年上半期面白かった本10選

2024年1月から6月の間に77冊の本を読みました。読んだといってもはじめから終わりまで通しで読んだ本だけでなく、仕事の関係で目を通しただけの本も含まれています。
その中から面白かった本を10冊選んでご紹介。

1. 怪獣保護協会/ジョン・スコルジー

世界的ゲームクリエイターの小島秀夫監督が、その年に読んで面白かったミステリー作品を紹介する「ヒデミス!」。本作品は「ヒデミス!2023」で選ばれた一冊です。

ひょんなことから並行宇宙にある地球に生息する怪獣を保護する「怪獣保護協会」の一員となった主人公・ジェイミーが怪獣相手に奮闘するという話。ミステリーというよりもSFに近いですな。

『ゴジラ』も観てない程度には怪獣にあまり興味のない私ですが、作品全体に漂うアメリカンジョーク的な言い回しが面白くて一気読みしてしまいました。

2. 老人と宇宙/ジョン・スコルジー

『怪獣保護協会』が面白かったので、同著者の作品を遡って読んでみました。

銀河の各惑星に植民をしている地球人を守るために設立された「コロニー防衛軍」。しかしこの防衛軍には75歳以上の男女しか入隊できないというルールがあります。
主人公ジョン・ペリーは75歳の誕生日に防衛軍に入隊し、宇宙の戦場へと旅立って行く……という話です。

『怪獣保護協会』同様、こちらの作品も非常に軽快な感じで書かれているので一気読みできます。シリーズは6巻まで出ていますが、私は3巻まで読みました。

3. 黒石(ヘイシ) 新宿鮫12/大沢在昌

『新宿鮫』シリーズは若いときからずっと読み続けているのですが、新作が出ているのをすっかり見落としていたので慌てて読みました。

もう12作目なんですねー。新作が読めるのはありがたいけど、前作からの間が空いているので「前はどんな話だったっけ?」となるのが難点。

息の長い作品なので安心して読める面白さです。これまでの作品と比べると終わり方がスッキリしないなーと思ったりしていますが、いつか回収される伏線ってこともあるので、次回作に期待。

4. 彼は彼女の顔が見えない/アリス・フィーニー

こちらは「ヒデミス!2022」に選出されていた作品。行き詰まりを感じている夫婦が当てたスコットランド旅行、古いチャペルでの滞在、猛吹雪……など不穏な要素が盛り沢山のミステリーです。

夫と妻、それぞれの目線でストーリーが進行するのが目新しい感じでスルスルっと読めます。

いやー、結婚って怖いですねえ……。

5. 踏切の幽霊/高野和明

「ヒデミス!2023」でも選ばれていた心霊ミステリーです。心霊写真が撮影された踏切で連続発生する列車の非常停止。雑誌記者としてネタの取材をする主人公の松田は、調査をするうちに思いがけない事実を掘り起こしてしまう……といったストーリーです。

ゾッとするような、悲しくなるような内容が印象的でした。ちょっとフワッとした感想ですな(幽霊だけに)。

ちなみに本作の舞台は1994年の下北沢。ちょっと懐かしい感じがあるのも良いですね。

6. 自由研究には向かない殺人/ホリー・ジャクソン

こちらは「ヒデミス!2021」に選ばれていた作品。2024年8月1日からNetflixで実写ドラマも配信されますね。

ストーリーは主人公の女子高生・ピッパが自由研究のテーマとして、5年前に自分の住む街で起きた殺人事件を調べるうちに真相を見つけてしまうといったもの。

主人公が女子高生ということもあって、若干YA小説っぽいところもありますが、おじさんでも十分楽しめます。ピッパにどれくらい感情移入できるかで好き嫌いが分かれるかも。

「ヒデミス!2022」「ヒデミス!2023」にも選ばれている続編2作品に加え、本作の前日譚が1作品あるので、ハマった人はぜひどうぞ。

7. ブラックサマーの殺人/M.W.クレイヴン

「刑事ワシントン・ポー」シリーズ第2作です。このシリーズは第3作「キュレーターの殺人」、第4作「グレイラットの殺人」がそれぞれ「ヒデミス!2022」「ヒデミス!2023」に選ばれています。

過去に手掛けた事件が冤罪だったんじゃないかということでピンチに立たされる主人公の刑事、ワシントン・ポー。ピンチをどうやってひっくり返すのか、先が知りたくてページを繰る手が止まらなくなる作品です。

本シリーズで面白いのが登場人物の描かれ方。例えば主人公のポーが直感的で肉体派であるのに対し、相棒のティリーは頭脳派でコンピュータのプロという真逆の設定ですが、お互いに足りない部分を補いながら事件を解決に導くといった感じで、よく練られた設定だなーと感心しっぱなし。

個人的には今一番面白いんじゃないかと思っている「ワシントン・ポー」シリーズは、2024年8月21日に最新作『ボタニストの殺人』が発売されます。楽しみ。

新宿遊牧民/椎名誠

さまざまな人物が登場する長篇私小説で、著者いわく「大河小説」ならぬ「小川いっぱい小説」だそうです。

面白そうな遊びに突き進んでいく椎名さんと、そこに巻き込まれる周囲の人たちが描かれているのですが、とにかく登場人物が多くて読んでいるうちに「この人誰だっけ?」となることも少なくありません。そんな読者の迷いを置いてけぼりにするような筆致の剛腕さに圧倒されます。

文章を書くって自由なんだなーと思わされる一冊。

9. 茶の湯の冒険 「日日是好日」から広がるしあわせ/森下典子

奥様から勧められて読んだ一冊。茶道をテーマにした映画『日日是好日』の制作の裏側を知ることができます。

実は夫婦揃って茶道を学んでいるので「あー、わかるわー」となるシーンが多数あって楽しめました。

それにしても、私が何年もかかって身につけた所作を、少し見ただけでコピーできる俳優さんってすごいのね……。

10. ニューロマンサー/ウィリアム・ギブスン

サイバーパンク小説の金字塔的作品。実は何度も読んでいるんだけど(今回は多分4回目)、読むたびに理解の幅が広がる小説だと思います。

サイバーパンクと言えば映画『ブレードランナー』の原作となったフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』も有名ですが、私はこちらの方が好み。

ネットワークに意識ごと侵入(ジャック・イン)してデータを盗む凄腕の「コンピュータ・カウボーイ」であるケイスは、契約違反の制裁としてジャック・イン能力を奪われてしまう。チバ・シティでチンピラまがいの生活をしていたケイスのもとに、能力を修復する代わりにヤバい仕事を依頼する人物が現れ……といったストーリーです。

第一部「千葉市憂愁(チバ・シティ・ブルース)」の書き出しはあまりにも有名。

港の空の色は、空きチャンネルに合わせたTVの色だった。

『ニューロマンサー』P.11

ちなみに映画『マトリックス』はこの作品がベースになっているとか何とか。そういえば『ニューロマンサー』ドラマ化の話もあったけど、どうなっているのかな。


以上、2024年上半期に読んで面白かった本10選でした。小島秀夫監督が好きなので「ヒデミス!」で選ばれた作品が多かったですね。

全体的にエンタメ作品に偏っていたので、下半期は少し骨太な作品も読んでみようかと思ってみたり。

#読書 #おすすめ本

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