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幸せの仕事術~つまらない日常を特別な記念日に変える発想法(小山薫堂)

久々の読書備忘録です。
小山薫堂さんのちょっと前の著書。しかしながら彼の人柄、アイデアを生み出すコツについて非常によくわかる本でした。

≪残ったフレーズたち≫
突き詰めていくと、企画とは「サービス」だと思うんです。どれだけ人を楽しませてあげられるか、幸せにしてあげられるか。

そういう意味では、日本人はものすごく企画力がある国民だと思うんですよね。これほど思いやりを持ち、人を慮ることができる国民性というのは、なかなかないですよ。

「企画」と言うと何か難しそうに聞こえるかもしれません。けれども、「企画」を「工夫」という言葉に置き換えてみるとどうでしょうか。ちょっと工夫して物事をもっとよくしたいという気持ちは、誰もが持ってますよね。

もちろん、数字を達成することも大事ですが、自分の中でもうひとつ身近な目標を設定することで、ぐっと仕事がおもしろくなってくると思うんですよ。

企画や仕事と幸せって直結しないように思えるかもしれませんが、少なくとも僕の中では密接なつながりを持っています。人を幸せにすることが仕事の根本である、というスタンスは若いころから一貫して変わっていません。

何をするのにも、僕のベースには、「誰かを喜ばせたい」という気持ちがあります。ユアハピネス・イズ・マイハピネス=「あなたの幸せが、私の幸せ」。これが僕が企画を発想する時の原点です。いつも、どうやって人を喜ばせようかと考えているんです。

アイデアを生み出したいのならば、まずは「アイデアのタネ」をたくさん見つけてストックしておくことが大事なのです。
そもそも、アイデアとアイデアのタネというのは違います。アイデアのタネは、植物のタネのように、いつか発芽して何かの役に立つかもしれない、というもの。それは単なる「情報」ではなく、自分の体験や見聞からつかんだ内容や考え方です。

つまり、いいアイデアを出すためには、生身の人間とたくさん出会ったり、いろいろ経験したりすることが大事なのです。日常生活をどう過ごし、何をタネとして拾えるのか、そこに尽きると思うんです。

ですから、人と交わること、人と摩擦が生まれることは、絶対にチャンスだと思うのです。すべて意味のある人たちと毎日すれ違っているんだと、そう意識するだけでも変わってくるのではないでしょうか。

自分が当たり前と思っているものほど、意識的に先入観をリセットしてみると、実はいろいろな発見があるものです。
とはいえ、いきなりそうした視点を持て、と言われてもなかなか難しいですよね。そこで、僕の場合はよく「君は宇宙人だ」と自分に言い聞かせて、改めて日常を見回してみるんです。

僕が思うに、世の中を見渡してみても、いままでになかったような「新しいもの」というのは、実は「既知」と「既知」を組み合わせることによって生まれているんですよね。

悪く言うと「浅く広く」なのかもしれませんが、そういう視点で日常生活を送っていると、さまざまな人や仕事の出会いにつながっていく。会社に勤めているビジネスパーソンだと、なかなか難しいことだと思うのですが、やはり、常に多面的な視点に立つことが、いろいろなタネを見つける筋肉になるのではないかと思います。

ですから、自分が生きてきた中で引っかかったものは、大切に心のポケットの中に入れて、思い続けることです。

僕は、一見無駄だと思うものの中にこそ、実は人生を豊かにするヒントが隠されているような気がするんですよね。

プロジェクトというのは、全部自分でやろうと考えてしまうとなかなか実現が難しいものがあります。目的や予算によってそれぞれ違いはありますが、ポイントは、上手に人に頼ることだと思うんですよね。

何度も繰り返すようですが、やはり、いまという時代は、共感が大切なんですね。

「究極の企画とは何か?」と訊かれたら、僕はこう答えます。
「それは、自分の人生を楽しくすること」
「それは、自分が幸せな気分で生きること」

別の言い方をすると、究極の企画とは「自分の中の不安を軽くすること」でもあるでしょう。自分の思いひとつで人生が変わるわけですから、企画とは、実は信仰に近いのかもしれません。

僕が生きているこの時代は戦国時代とは違い、何か失敗したとしても、武士のように斬られることはない。いまの時代、しかも日本に生まれることができたという幸せを、本当に感じるんです。

生きていれば、嫌だなと思ったり、つらいなと思ったりすることは、当然あるんですよね。あるのですが、それもひとつの楽しさだという視点を持つことで、状況は変わってくるのだと思います。

ですから、目先にある仕事が本当に重要なのかと、「当たり前」に風穴を開ける、そんなきっかけをつくることから、はじめたほうがいいような気がします。
その際、もうひとつの自分の人生を妄想するということが、意外とプレッシャーから自分を解放してくれる手段となるかもしれません。

そもそも、「こうしなければいけない」という規制なんて、本当はもとからないんですよ。自分の人生は自分で決めるものなのです。

人生というのは、選択の連続で分岐していきます。たくさんの可能性という枝が分かれているのですが、自分はその中でも、たくさんの光が届く一番よい枝を選びながら進んでいるに違いない、と思うことです。

つまり、失敗というのは、他人が決める「表面的」なものだと思うんです。何か目標に到達しなかった時というのは、その典型的な例ですね。「あいつは失敗した」と。
けれども、「本質的」な失敗というのは、自分が決めるものです。言い換えれば、自分がそれを失敗だと認めない限り、失敗ではないんです。

やはり、「自分の人生をいかに楽しいものにするか」と、日々意識して過ごすだけでも、だいぶ違うのではないでしょうか。退屈な日常や仕事も、ちょっとした視点を取り入れることで、生き生きと輝き出すのだと思います。
そうした視点を持てば、自ずと行動が変わります。そして、それがひいては身近な人の気づきとなり、自分の行動が誰かを幸せにするきっかけとなるわけです。
自分の人生を企画することで周りが変わり、その幸せが返ってくる。そうした「幸せの連鎖」が起きることで、世の中はもっとよくなるのだと思います。

ラジオでの語り口も優しいですが、この本のトーンもそんな印象でした。企画をお仕事にされている方や、SNSの発信なんかにも生かせる内容なのではと思いますのでおすすめです。

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