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百物語73話目「命の期限」(実話怪談)

よく聞く話のパターンで、「二十歳まで生きられません」ってのがあるよね。

私のまわりにも虚弱な体質で、そう言われた人がふたりいる。そのうち、ひとりは医学書か論文だかに、自分のことが載っていると言ってた。どちらもいまだにピンピンしてます。

で、こういう虚弱系じゃなくて、一時的に命が助かったけど、何歳までしか持たないからって言われるパターンがあるじゃん。

民話とか伝説とかでよく聞く王道の命の期限。

でも、これをリアルに会ったことがある人から聞いたことがある。

しかもその命の期限の数年前に――。

その人は小さい頃に謎の熱病にかかって、全然熱が下がらなかった。病院もお手上げ。だって、原因がわからないから、手の施しようがない。

しかも、子どもってそういうわけのわかんない熱病で死ぬことが、珍しくないらしい。

彼も、そうやって死ぬだろうと思われていた。

でも、大変腕のいい拝み屋さんがいて、その人を呼んできたそうだ。するとその人が祈祷をしてくれる。

みるみる下がる熱。元気になる子ども。

でも、拝み屋は言った。

「一時的に救っただけ。33歳になったら、効力が切れる」

初めて、そんなことを言われた人に出逢ったよ。

ちょこちょこ会う人だから、ドキドキしながら誕生日を迎え、無事に34歳を超えた彼。

でも、寸前まで本当に具合が悪そうだった。

良かった。どうにか生き延びてくれて。呪いのような命の期限をぶっちぎってくれて。

今年で命の期限を二年過ぎた。

たぶん、彼が熱心に仕事をしてるせいかなあと思うことにしている。全国初のことをやった彼だしね。

きっとこれから福岡のために、大きなことをやってくれるんだろうなあ。それで生き残れたんじゃないかなあって、私は思っているのだった。

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