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何気ない日常を切り取れない問題

だって、そんなの読む気がしないから。

そりゃあ、書く気だってしない。

しかし、これは問題だ!

最初からバリバリに何か起こりそうでなければ、次を読もうとは思わない。

なんでこういう話をしてるかと言うと、ノベルジャム出品作品の拙著「帰りゃんせ」の冒頭が、怪談の始まりパターン王道すぎて飽きられているから、ただ歩くシーンから始めた方がいいんじゃないか問題につながる。

冒頭はこちらでも読めます。

ただ土手を歩くシーンから始まったら、私は続きを読まない。どんなに文章がうまくても、芥川賞作家であっても読まない。怪談やホラーの気配がしないんじゃ、徹底して読まないから。

恐らく提出段階で、そこの指摘が入ったら、冒頭は絶対残していただろうと思う。様式美みたいなものだから。リングの最初と同じ。

これが飽き飽きするくらいの常套パターンであることもわかる。持ち帰って娘に伝えたときも、意見は冒頭はいらない派だった。

でも、ここでようやく納得するくらい、譲れないところだったのだ。

ただ審査は絶対最後まで読んではくれるから、審査員の指摘通り、冒頭は歩くシーンからでも良かったのかとも思う。この説明が入ったら、冒頭は提出時に削ったな。

なるほどだもの。

絶対最後まで読まれる場合の書き方ってあるのか……。そういう状況って、最終候補とかに残らないと訪れないから、想定して書いたことない。これは気づきもしなかったパターン。そして、重要なノベルジャム戦略のひとつだ。

確かに、怪談とわからせずに途中で怪談になった方が面白い。私の文章の目的は常に「驚かせること」に主眼があるから。

冷静に分析していれば、そこがわかったはずだ。だが、私は三日間も創作に専念できて、怪談を書けるということに浮かれていた。しかも賞の想定はまったくしてなかった。お祭りみたいなものだろうと思っていたので、無事に終わって、本が出せて、平常心で仕事に戻れればいいと思ってたのだ。

今回、いくつかノベルジャム戦略の知恵をもらったから、二回目はもっとうまくやれる気がする。今回、賞への戦術なしで臨んだから。他の方が書いていた通り、審査員がわかっているなら、誰かに的を絞って狙いにいく戦略は確かに有効だ。それは結構、参加者が言ってたことだし。

いや、でもまず、著者枠に受かるのって難しいよ。16人に百人くらい応募がくるらしい。そこを勝ち抜いただけでも凄いことだと言われた。

ノベルジャム戦略でなく、一般に読んでももらう場合にも、最初に怪談ですと言っておけば、冒頭に何も起きなくても読み始めるだろうから、歩きシーンでもいいのかなあと思うけど――、けど――――。

いや、でも、冒頭シーンは大切だ。

最初の一行はめちゃくちゃ大切だ。

そこの掴みに怪談のメインネタを持ってこずに、歩かせるだけで、気を引かせるのは、私にはハードルが高い。

なぜなら、何気ない日常を読む人たちがいること自体がまだ信じられないからだ。そんなの書いたって、誰が読むん?と思う。

が、娘によると読む人たちがいるという。

一行目に奇想天外なことがなければ、まず読まない派としては、このメンタルの壁が大きいぞ!

王道パターンを捨てるためには、何気ない日常だって読まれるよという擦り込みを自分にしなければいけない。

どうすればいいか?

何気ない日常を書くことに慣れることだ。そして、それが読まれるという自信を実感でつけていくしかない。

でも、もう「何気ない日常って何!?」状態だよ!

その点、noteは「何気ない日常」を読むのが好きな人が多い気がする。

だって、最初に始めたときに思ったから。

次回、当初から感じていた「私はnoteに向いてない」問題だよ。

別に怪談を捨てるわけじゃない。どうしたって、人が死なない話は読まないのは変わらない。ただその技術をあげるために、どうしたらいいかを考えているだけ。たくさん読まれる分野に行こうなんてさらさら考えていない。磨くべきは人を怖がらせる技術のみ。

すべての努力は、より人を驚かせるために!

さて、私はDMMTELLERさんの公式作家でもあるのですが、その新作も出てます。

こちらの冒頭もチェックしてみてください。肝から始まってます。(全話公開されています)

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