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百物語96話目「三百回忌」(実話怪談)

オカル友から聞いた話だ。

まずは霊じゃないけど、衝撃的だった話。

オカル友の妹と母が、かわいい虫を飼っていたそうだ。

いつも新鮮な葉を食わせ、それはそれはかわいがっていたのだけど、ある日、動かなくなった。

心配する妹と母。

が、その日はきた。

朝、ぎゃーという妹の声でオカル友は起きる。

「大きな蛾がいる! 虫ちゃんを助けなきゃ」

オカル友が行くと、目玉のような模様がくっきり浮き出た標本にできそうなくらい大きく立派な蛾がいた。

すぐに母親が殺虫剤を持ってきて、白くなるまで吹きかけた。

蛾は息絶え、捨てられ、母と娘は虫ちゃんがいなくなってることに気づく。

「きっと、あの気持ち悪い蛾に食われたんだ」

オカル友は「いや、たぶん、その蛾……」と思ったけど黙っていた。

怖い話だ。

で、ここから霊の話。

オカル友の家は、めちゃくちゃ墓が多いという。

ちなみにうちも敷地は狭いけど、墓石は多い。小さな石を立てただけのとかがたくさん散らばっていた。

それのひとつひとつに線香をあげるのが、私にはアミューズメント的で、小さい頃から墓参りが好きな子だった。

実父が死ぬ前にひとつにまとめて新しい墓を建てたんだけど、その小さな墓石を境界線の壁みたいにひとまとめにしてる。いいのか?

で、オカル友のところは、敷地も広い。ほぼ一山、あちこちに墓石がある状態。たぶん、先祖が相当有力な一族だったんだろうね。

で、そのオカル友は有力な一族だからこそ、葬祭関係が凄い。だって、三百回忌をしたことがあるという。

だいたい、五十回忌やったらあがりで終わりのはずだ。

その一族あげての三百回忌のとき、衣装部屋があって、そこでみんなが喪服に着替えていた。

オカル友もそこで着替えていると、腰のえらくまがった横溝正史に出てきそうな白髪おばあさんがやってきた。

「あ、女性はそっちで着替えみたいですよ」

着物がたくさんかけてある先の部屋を指す。

老婆は黙って、着物をカーテンを分けるようにして入っていった。

オカル友は着替え終わったが、老婆は出てこない。

「まさか、倒れてるんじゃ」

と心配したオカル友は、隣の部屋を覗くと、誰もいなかったそうだ。

あんまりハッキリ見えたんで、幽霊とは思わなかったと言ってる。

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