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Vol.15 債務整理の一環として物件2を売却、しかし、、、

2019年5月24日、金融庁が発令した業務改善命令によって明らかとなった西武信金の不適切(不法?)な融資。


<業務改善命令>
第2.処分の理由

当局による立入検査の結果や信用金庫法第89条第1項において準用する銀行法第24条第1項に基づき求めた報告を検証(注)したところ、金庫は業績優先の営業を推進するあまり、内部管理態勢の整備を怠った結果、以下のような問題が認められた。

(1)投資用不動産向けの融資にあたり、形式的な審査にとどまり、不適切な信用リスク管理態勢となっている。

i. 融資実行を優先するあまり、融資審査にあたり、投資目的の賃貸用不動産向け融資案件を持ち込む業者による融資関係資料の偽装・改ざんを金庫職員が看過している事例が多数認められる。

ii. 投資目的の賃貸用不動産向け融資について、融資期間に法定耐用年数を超える経済的耐用年数を適用する場合には適切な見積りが不可欠である中、経済的耐用年数等を証する書面を作成する外部専門家に対し、金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為が多数認められる。

https://lfb.mof.go.jp/kantou/rizai/pagekthp027000005.html


さらに、業務改善命令が発令された同日、西武信用金庫から以下の発表がありました。


(注)なお、現状当金庫で把握している計数等は以下のとおりです。
○ 投資目的の賃貸用不動産向け貸出案件を持ち込む業者による融資関係書類の偽装・改ざんを当金庫職員が看過してしまった可能性が高い件数
当金庫の認識では127 件です。そのうち、当金庫が、債務者と面談して調査した結果、何らかの偽装等があったと認められる件数が73 件ございました。その他については、引き続き確認を実施してまいります。

○ 経済的耐用年数等を証する書面を作成する外部専門家に対し、当金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為と思われる件数
現存する18 か月間のメールでのやりとりからは258 物件あると確認しています。この期間内の同書面の数との比較では約1 割に相当します。


要するに西武信用金庫自ら不正を認めているのです。


この不適切な行為の問題は


  • 融資期間に法定耐用年数を超える経済的耐用年数を適用する場合には適切な見積りが不可欠であるとされていた

  • 経済的耐用年数を用いた築古物件への融資は、国交省や不動産鑑定士協会もバックアップしていた

  • しかし、ある時期から金庫職員が外部専門家に対して耐用年数や修繕費用等を指示・示唆していた

  • 結果として担保価値に見合わない過剰な融資を反復的に実行していた

  • この不適切な融資を受けた債務者は融資を受けた時点で債務超過で出口なし


私はこの不適切な融資の被害者の一人であると確信し、その被害の回復を求めて活動しています。




2019年8月時点で私が保有していた物件は


  • 物件1:不正融資を受けた物件

  • 物件2:物件1の購入より前に全額キャッシュで購入していた小ぶりの物件

  • 物件3:以前から西武信金の住宅ローンを利用している自宅


弁護士を介して債務整理を依頼した時点ではまだ納税費用の目処が立っていなかったことから「自己破産」も視野に入れていました。しかしその後に税金を完納したことから当初とは状況が変わっていました。



納税した以降は


「物件1、2がそれなりの価格で売却できれば債務は解消できる可能性がある。解消できないにしても個人再生の道もまだ残されていることから自宅売却は最後の切り札」


よってまずは物件1、2のみの売却活動をはじめました。ただ、全ての債務を消すためには2物件をそれなりの価格で売却する必要があります。

物件1と2では規模感もだいぶ違うため設定価格にも大きな差があります。しかも物件1は第三者の不動産鑑定士のセカンドオピニオンからも債務超過であることは明らか。



何よりも既に法定耐用年数を超えている築年数であることから(インチキをしていない)普通の金融機関だと長期返済での融資はあり得ません。ということはそれなりのキャッシュを持っている人しか買えないということです。

しかし、同業者でもある私が考えるにそれなりのキャッシュを持っている人がこの物件に興味を示す可能性は低いと考えていました。その理由は


物件1にそれなりのキャッシュを投下してまで購入するメリットは小さいから


それなりのキャッシュを持っている人なら、そのキャッシュを自己資金としてレバレッジをかけてさらに大きな(高い)物件、または小さな物件を複数購入することができます。
大きな物件を買ったほうがリターンも大きくなります。その分リスクも多少大きくなりますが、一般的にはより大きな物件を買うことが多いと考えます。
そんなことから、この物件に多額のキャッシュを投下する可能性のある人は「このエリアにどうしても物件が欲しい」「キャッシュは持っているけど融資は引けない(引きづらい、例えば外国人)」そんな限られた人だけです。そんなこんなで物件1に関しては、ほぼ反響がありませんでした。


対して物件2は木造、しかも物件1よりもさらに築古ではあったものの私の手によってほぼスケルトンリフォーム、特徴的な物件に生まれ変わり店子もついていました。なによりも小ぶりであるため売却価格も小さめ。
利回り的にはそれほど魅力がある物件とはなっていませんでしたが、客付けも、さらに当面大規模修繕の必要もないことから低リスクのように見えたのでしょう、すぐに買付が入りました。

物件2はキャッシュで購入しキャッシュでスケルトンリフォームしたため、この物件に関する債務はありませんでした。それが1000万円以上の価格で売れれば、カードローン系の無担保融資分は全て完済できます。



しかし、売却するためには共同担保設定を外す必要があります。そこで代理人が西武信用金庫にかけ合ったところ


共同担保を外して売却するならその売却代金は経費を除いた全額を西武信用金庫が回収する


これはすなわち、全額を物件1の融資の返済に充当するということです。しかも、物件単独で見れば無借金経営で収入源のひとつがなくなることにもなります。

私の債務の総額としてはどこに充当しようと残債が減ることには変わりありませんが


  • 債権者の数は変わらない

  • でも収入は減る


こんなことから正直私にとってのメリットはとても小さいです。それでも債務整理を行うことにより返済を止めていた私、弁護士から「一部でも返済を再開することも重要である。そもそも物件2の担保権者は西武信金であり従うしかない」との説明を受け、2019年11月に物件2を売却することになりました。


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