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振り向いたら座敷わらし

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#座敷わらし

振り向いたら座敷わらし【第十六話】

振り向いたら座敷わらし【第十六話】

ここは公園である。今日は穏やかな天気で空には雲がゆったりと浮かんでいた。
私はその公園のベンチで一人座って目の前の様子を眺めている。
目の前では夏樹さんが手当たり次第福ちゃんを連れて福ちゃんと同年代ぐらいの子供に「この子が視えるか!」と声をかけていて、声をかけられた子供の中には「うっせぇババぁ!」なんてキレる子供がいて、それで夏樹さんが更に「なんだと!私はババアじゃなくてお姉さんだっ!!」とキレ返

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振り向いたら座敷わらし【第十五話】

振り向いたら座敷わらし【第十五話】

帰路に就く。今日は残業も短く済み、帰りが遅い時に比べればだいぶ早く帰れそうだ。
ちょっと前の私であれば、夕飯は外食か近所のスーパーの割引シールのついたお弁当を買って帰っていたが、今の私は今晩の献立を考えていた。
(煮物…は作る時間がないか。焼き魚は昨日食べたし…)
そんなことを考えながら帰るようになったのは、家族…と言えるかはわからないが、同居人が出来たためだ。
そう、何故か私についてきた座敷童、

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振り向いたら座敷わらし【第十四話】

振り向いたら座敷わらし【第十四話】

福ちゃんが美味しそうと言ったが、実際本当に大家さんのご飯は美味しい。
煮物などは丁寧に作られているのが感じられ、焼き魚の焼き加減も丁度いい。
ぬか漬け、ほうれん草のおひたしも美味しくとても私では再現できない味だ。
福ちゃんは一口食べる毎に犬の尻尾がついてたらぶんぶん振っているような反応をしている。
「やっぱり大家さんの料理は美味しいですね。」
「ほんほうはな!」
夏樹さんは口に頬張りながらしゃべっ

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振り向いたら座敷わらし【第十三話】

振り向いたら座敷わらし【第十三話】

アパートに着く頃にはすっかり西陽になっていて、丁度大家さんがアパートの前を箒で掃いていた。なんだか大家さんにお会いするのは久しぶりな気がする。
「あら修介くん、夏樹ちゃんお帰りなさい。」
「ただいま帰りました。ご無沙汰してます。」
「今帰ったぞ!」
「あらその子…。」
そういえば大家さんに福ちゃんを会わせるのは初めてで、そして当たり前のように見えているようだった。
「ご祝儀が必要かしらねぇ。」

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振り向いたら座敷わらし【第十二話】

振り向いたら座敷わらし【第十二話】

喫茶店は本屋さんから広場を挟んで反対側にある。
店構えは少し古びたところもあるが、手入れがされていてその古びているのが落ち着きのある雰囲気を醸し出している。
「こんにちは~。」
店内に入るとカウンターからマスターが顔を出す。
「おや!修介君じゃないか!それに夏樹ちゃんも!」
「うむ!マスター!久しぶりだな!」
マスターは満面の笑みでいらっしゃい!というと福ちゃんの方に目を向ける。
「…ご祝儀が必要

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振り向いたら座敷わらし【第十一話】

振り向いたら座敷わらし【第十一話】

まさか本屋の店主さんまで見えるとは思わなかった。
案外そこら辺の道を歩いている時でも福ちゃんのことが見えている人もいたのかもしれない。
「福ちゃんは私と会うまでに福ちゃんのことが見える人には会ったことある?」
福ちゃんはコクンと頷く。
「わたしがもともといたとこには、たくさんいた。」
「そっか、それなら寂しくはなかったんだね。」
「でも、どんどん見える人がいなくなっちゃった。」
そう言うと福ちゃん

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振り向いたら座敷わらし【第十話】

振り向いたら座敷わらし【第十話】

外はよく晴れていて、今日も気持ちのいい陽気だ。
最近出かける時に晴れていることが多いが、これも座敷わらしである福ちゃんのおかげなのだろうか。
夏樹さんは綺麗だと言ってから上機嫌で鼻歌なんて歌っていながら歩いている。
「いい天気だね。」
福ちゃんはコクンと頷いた。
「今日は天気もいいし!皆で出かけられるし!最高の一日だな!」
「本当ですね。夏樹さんも付き合ってくれてありがとうございます。」
「何を水

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振り向いたら座敷わらし【第九話】

振り向いたら座敷わらし【第九話】

朝目が覚める。今日は休日。
まだ福ちゃんが来る前はコンビニに行くのが日課だったが、福ちゃんが来てからは朝ごはんの支度を始めることから一日が始まる。
今日の朝ごはんはご飯にみそ汁にアジの開き、それと納豆だ。
「しゅうすけ、おはよう。」
そうこうしている内に福ちゃんが起きてきた、まだ眠いのか目をこすっている。
「おはよう福ちゃん。顔洗ってきなね。」
福ちゃんはコクンと頷き、眠そうな様子のまま洗面台に向

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振り向いたら座敷わらし【第八話】

振り向いたら座敷わらし【第八話】

「ただいま。」
「しゅうすけ、おかえり。」
日もすっかり沈んでもう夜。今日は平日だったので仕事帰りである。
座敷わらしちゃん改め福ちゃんは、私が家に帰ると玄関までお出迎えに来てくれる。
福ちゃんもここの生活にも慣れてきて、家でお留守番する時は自分でご飯も用意できるようになった。
まだ料理をするところまではできないが、炊いたご飯を自分でよそったり、お湯を沸かして即席みそ汁を作ったりぐらいは出来るよう

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振り向いたら座敷わらし【第七話】

振り向いたら座敷わらし【第七話】

外は穏やかな陽気で、風も程よく気持ちいい。
「いい天気だね。」
「うん。」
座敷わらしちゃんもなんだか機嫌がよさそうに見える。
(まずは買い物…座敷わらしちゃんの洋服かな。)
「そしたら座敷わらしちゃん。まずはデパートに行こうか。」
「でぱーと?」
「うん、色んなものが売ってるお店だよ。」
座敷わらしちゃんはコクンと頷いた。
デパートはアパートから歩いて行けるくらいの距離にある。
今から向かえば丁

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振り向いたら座敷わらし【第六話】

振り向いたら座敷わらし【第六話】

私はコーヒーが好きなのだが、子供にはさすがに苦いだろう。
確か日本茶があったはずだ。しかし座敷わらしだから日本茶…というのは少々安直だろうか。
お茶請けはないので今回は我慢してもらおう。
台所をガサゴソ探していると座敷わらしが台所にきて、また私をジーっと見つめているのでやっぱり何だかやりづらい。
「あのー…居間で待っててくれるとお兄さん嬉しいなぁ…。」
「わかった。」
そういうと座敷わらしはととと

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振り向いたら座敷わらし【第五話】

振り向いたら座敷わらし【第五話】

目が覚めすといつも通りの部屋の天井が見えた。
いつも通りの朝である。
もしかして昨日のことは夢だったんじゃないか。改めて考えてみれば、座敷わらしがついてきて、そして何故か同棲するなんて荒唐無稽である。
まさかね、そんなことあるわけないよね。
「しゅうすけ、おはよう。」
夢ではなかったようだ。

座敷わらしは眠そうに目をこすっていた。
やはり夢ではない。
正直まだこの現実を受け入れられていないでいた

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振り向いたら座敷わらし【第二話】

振り向いたら座敷わらし【第二話】

私は道中考えていた。座敷わらし…。座敷わらし?
そもそも子供が苦手な私は、座敷わらしなどという只者ではないこの子供とどういう会話をすればいいのか思いつかなかったのである。
しかし、何も話さないのも気まずい。というより果たして座敷わらしは気まずいと思ったりするのだろうか。
そんな私の気も知らず、座敷わらしはすました顔でついてきているようだった。

あっ、そういえば。

「座敷わらしちゃんは…お腹…す

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