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振り向いたら座敷わらし

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#小説

振り向いたら座敷わらし【第十二話】

振り向いたら座敷わらし【第十二話】

喫茶店は本屋さんから広場を挟んで反対側にある。
店構えは少し古びたところもあるが、手入れがされていてその古びているのが落ち着きのある雰囲気を醸し出している。
「こんにちは~。」
店内に入るとカウンターからマスターが顔を出す。
「おや!修介君じゃないか!それに夏樹ちゃんも!」
「うむ!マスター!久しぶりだな!」
マスターは満面の笑みでいらっしゃい!というと福ちゃんの方に目を向ける。
「…ご祝儀が必要

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振り向いたら座敷わらし【第十一話】

振り向いたら座敷わらし【第十一話】

まさか本屋の店主さんまで見えるとは思わなかった。
案外そこら辺の道を歩いている時でも福ちゃんのことが見えている人もいたのかもしれない。
「福ちゃんは私と会うまでに福ちゃんのことが見える人には会ったことある?」
福ちゃんはコクンと頷く。
「わたしがもともといたとこには、たくさんいた。」
「そっか、それなら寂しくはなかったんだね。」
「でも、どんどん見える人がいなくなっちゃった。」
そう言うと福ちゃん

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振り向いたら座敷わらし【第十話】

振り向いたら座敷わらし【第十話】

外はよく晴れていて、今日も気持ちのいい陽気だ。
最近出かける時に晴れていることが多いが、これも座敷わらしである福ちゃんのおかげなのだろうか。
夏樹さんは綺麗だと言ってから上機嫌で鼻歌なんて歌っていながら歩いている。
「いい天気だね。」
福ちゃんはコクンと頷いた。
「今日は天気もいいし!皆で出かけられるし!最高の一日だな!」
「本当ですね。夏樹さんも付き合ってくれてありがとうございます。」
「何を水

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振り向いたら座敷わらし【第九話】

振り向いたら座敷わらし【第九話】

朝目が覚める。今日は休日。
まだ福ちゃんが来る前はコンビニに行くのが日課だったが、福ちゃんが来てからは朝ごはんの支度を始めることから一日が始まる。
今日の朝ごはんはご飯にみそ汁にアジの開き、それと納豆だ。
「しゅうすけ、おはよう。」
そうこうしている内に福ちゃんが起きてきた、まだ眠いのか目をこすっている。
「おはよう福ちゃん。顔洗ってきなね。」
福ちゃんはコクンと頷き、眠そうな様子のまま洗面台に向

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振り向いたら座敷わらし【第八話】

振り向いたら座敷わらし【第八話】

「ただいま。」
「しゅうすけ、おかえり。」
日もすっかり沈んでもう夜。今日は平日だったので仕事帰りである。
座敷わらしちゃん改め福ちゃんは、私が家に帰ると玄関までお出迎えに来てくれる。
福ちゃんもここの生活にも慣れてきて、家でお留守番する時は自分でご飯も用意できるようになった。
まだ料理をするところまではできないが、炊いたご飯を自分でよそったり、お湯を沸かして即席みそ汁を作ったりぐらいは出来るよう

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振り向いたら座敷わらし【第七話】

振り向いたら座敷わらし【第七話】

外は穏やかな陽気で、風も程よく気持ちいい。
「いい天気だね。」
「うん。」
座敷わらしちゃんもなんだか機嫌がよさそうに見える。
(まずは買い物…座敷わらしちゃんの洋服かな。)
「そしたら座敷わらしちゃん。まずはデパートに行こうか。」
「でぱーと?」
「うん、色んなものが売ってるお店だよ。」
座敷わらしちゃんはコクンと頷いた。
デパートはアパートから歩いて行けるくらいの距離にある。
今から向かえば丁

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振り向いたら座敷わらし【第六話】

振り向いたら座敷わらし【第六話】

私はコーヒーが好きなのだが、子供にはさすがに苦いだろう。
確か日本茶があったはずだ。しかし座敷わらしだから日本茶…というのは少々安直だろうか。
お茶請けはないので今回は我慢してもらおう。
台所をガサゴソ探していると座敷わらしが台所にきて、また私をジーっと見つめているのでやっぱり何だかやりづらい。
「あのー…居間で待っててくれるとお兄さん嬉しいなぁ…。」
「わかった。」
そういうと座敷わらしはととと

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振り向いたら座敷わらし【第五話】

振り向いたら座敷わらし【第五話】

目が覚めすといつも通りの部屋の天井が見えた。
いつも通りの朝である。
もしかして昨日のことは夢だったんじゃないか。改めて考えてみれば、座敷わらしがついてきて、そして何故か同棲するなんて荒唐無稽である。
まさかね、そんなことあるわけないよね。
「しゅうすけ、おはよう。」
夢ではなかったようだ。

座敷わらしは眠そうに目をこすっていた。
やはり夢ではない。
正直まだこの現実を受け入れられていないでいた

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振り向いたら座敷わらし【第四話】

振り向いたら座敷わらし【第四話】

座敷わらしという存在自体が摩訶不思議なのに、その摩訶不思議な存在が我が家に居つく理由など尚のことわかるはずもない。そもそもそれを理解しようなどというのが畏れ多くおこがましいのだ。

…と思うことにした。

ミックスジュースを飲み終わった座敷わらしはまた私の顔をじっと見つめている。
またまたその目に吸い込まれそうになるのを堪えた。人間は成長するのである。
「そしたらカレーよそってくるね。」
「…かれ

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振り向いたら座敷わらし【第三話】

振り向いたら座敷わらし【第三話】

「しゅうすけだから。」
「え?」
何かの聞き間違いだろうか。今この子はしゅうすけと言った気がする。
しゅうすけ、しゅうすけ。何かの宗教の用語だろうか…。
私の名前は高樹修介だが、この子に名乗った記憶もないし、ましてや座敷童と面識を持った記憶など更にない。
いやだが、念のため確認しておこう。
「私のこと知ってるの?」
座敷わらしはコクンと頷いた。
知っている…。
私はあらんかぎりに頭をフル回転させて

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振り向いたら座敷わらし【第二話】

振り向いたら座敷わらし【第二話】

私は道中考えていた。座敷わらし…。座敷わらし?
そもそも子供が苦手な私は、座敷わらしなどという只者ではないこの子供とどういう会話をすればいいのか思いつかなかったのである。
しかし、何も話さないのも気まずい。というより果たして座敷わらしは気まずいと思ったりするのだろうか。
そんな私の気も知らず、座敷わらしはすました顔でついてきているようだった。

あっ、そういえば。

「座敷わらしちゃんは…お腹…す

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振り向いたら座敷わらし【第一話】

振り向いたら座敷わらし【第一話】

はてさていつからだろう。
会社をでた直後か?それとも帰り道の途中で寄ったコンビニでか?
まさかこんなことになっているなんて。

私の後ろに座敷わらしがついてきたのである。

会社からの帰宅途中、後ろから人の気配がして、なんだかずっと気配を感じるなぁと振り向いてみたら、年は5、6才ほどの子供がちょこんと立っていた。
一瞬思考が停止して、少しの間二人して見つめあってしまった。その子の目は何だか不思議な

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