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#2201041

十五夜月、十六夜月、立待月。これといった娯楽もなかった時代に生きた人は、律儀に毎晩の月に名前を付けて、それが出るのを心待ちにした、とかいう。

N氏もまた、ベッドの中で月を見上げていた。このところ、決まってこの時間に目が覚めてしまう。そして決まって尿意を催す。

N氏は、人生の賞味期限について考えていた。消費期限がいつなのかについては、よくは知らない。でも多分、賞味期限はとうに過ぎてしまった気がする。

N氏はまだ、眠れずにベッドの中で月を見上げている。居待月、寝待月、更待月。明日からは、格別の名のない月に戻る。


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