模範解答

「〜〜〜〜を答えよ。」

嫌に高圧的なその用紙を目の前にして、僕は片手にシャープペンシルを回しながら目の前の黒板の日直の名前を眺めていた。

どうしてこう、テストと言うものは歳を重ねるごとに偉そうになっていくんだろうか。

小学生の頃はまだ控えめに、答えましょう。とか答えてください。だったのに。
気がつけばこれほど偉そうになってしまっている。

そりゃ解く気もなくなるってもんである。


わかってる。自分が傲慢で不遜な態度をとっていることは。わかってはいるのだ。


気がつけばテスト開始から30分。残すは20分位だ。
あと20分で全てが終わる。

無論、白紙である。
ああ、いや、少し小綺麗に書こうと努力した名前が燦然とそこにあるから白紙ではない。

模範解答とは何なのだろう。
特に国語だ。
筆者の考えなんてこちらからしたらわかりようもないのは明白なのに、そこに勝手に意味を与えて正解させる先生は何者なのだ。それこそ傲慢で不遜な態度だと思うのだが。

国語の内容読解の記述問題に正答はない。
そこにあるのは第三者が勝手に与えた意味があるだけである。
人生も、同じだ。

腹ただしくて吐き気がする。

チャイムが鳴った。
僕は黙って屋上に登り、そして、

落ちた。


反省すればいいのだ。教師なんて。
その問いには答えなんてなかった、と。


ひなた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?