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書籍紹介「意識不明から復帰へ2,000日闘病記」を読んで想うこと。

私が表紙を担当させていただいたその縁で、その後もお仕事のお話をいただいたり、それ以外のプライベートなお話もさせていただいている坂田昌明さん。
担当させていただいた書籍はこちらです。

坂田さんは建築意匠設計の仕事をなさっていて、個人宅から超高層ビルまで手掛けているそうです。
とても知見も深い方で、いろんなお話をしていただく中で得られるものが大きいです。ココナラのお仕事を通して、いろんなご縁ができるのって素敵なことだなぁと思います。
普通に生活して、SNSやってるだけではなかなか出会えない方たちですから。
坂田さんとは今後もお仕事をさせていただきますが、そんな坂田さんの著書。皆さんにもぜひ読んで欲しい本があります。

「意識不明から復帰へ2,000日闘病記」

2021/10/20発売

この本は坂田さんご自身が肺結核と糖尿病を患い脳梗塞で倒れ、意識不明になってからの6年間にも及ぶ闘病生活。そのドキュメンタリーです。
(ちなみにこちらの表紙デザインでは私ではありません)

私も以前に「縁起でもないこと」というコラムを書きましたが

もしあなたの大切な人が明日死んでしまうとしたら
あなたは何をして どんな言葉をかけますか?

日常で「死」について語るとたまに「縁起でもないこと言わないでよ」と、人は言う。
でもその「縁起でもないこと」が至極当たり前にあっけないほど簡単に起きてしまうのも現実。

ご家族・身近な大切な人、ご自身も。著名人のかたも「昨日まであんなに元気だったのに・・・」といことは、きっと毎秒単位で世界で起きていることだと思います。
その「毎秒」が自分のところに降ってくるのはある日突然です。

ちょうど、この記事を書いている途中。数日前の夕方のこと。
浴室の方から母の助けを求める声が「ちょっと・・誰か・・」と。
お風呂上がりの母が、洗面所で崩れ落ちていました。
最近は「一日3000歩!」とか、地域のケアセンターで週一回楽しく運動していたり、家ではエアロバイクしたりラジオ体操、スクワット。と、アクティブに動いていた母の突然の出来事でした。
全身脱力して全く動けなくなり救急搬送されました。
結果、季節の変わり目の疲れや、貧血、低血糖、下痢による脱水症状など複合的な要因で、脳神経の異常ではなく現在、回復に向かってますが、一時は「脳神経によるもので、このまま寝たきりか?」と背筋が凍りました。

その騒ぎから次の日に人工透析から帰ってきた昼過ぎ。
送迎の車から降りて、マンションのエントランスで転倒し、手足、顔を血だらけにしてふらふらと玄関に立ってました。

そんな「縁起でもないことの毎秒」は突然に降りかかるのです。
なんでもない日は美しい(空気公団「美しい重なり」)」という歌詞が好きなんですが、日常は当たり前ではないんですね。


話が少し逸れましたが、この坂田さんにも「縁起でもないことの毎秒」があるときに降ってきました。
肺結核による微熱が2ヶ月続いたある日のこと。「まさか自分が」という気持ちは誰にでもあります。解熱剤で騙し騙し、病院に行かず、忙しい仕事を優先していたそうです。
糖尿病も患っていて、身体の疲れ、手足の痺れ、喉の乾き、強烈な睡魔など症状が悪化していく中で、本人も覚えていないほどに突然の意識不明に落ち、目が覚めるまで3日、脳梗塞だったそうです。

長きに渡る入院生活、リハビリの中で再度脳梗塞が発症、糖尿病による骨折。複合的な病気はそれだけ危険も伴います。
糖尿病とは怖いものです。栄養管理ひとつとっても「こっちを立てればこっちが立たず」、これで腎臓病も重なれば相当制限された食生活・生活習慣が強いられます。基本的に全快は困難で、これ以上悪化しないように「現状維持」を選択せざるを得ません。
多くの方は一生付き合っていかないといけない病気になりえるのだから。

坂田さんも退院後も様々なリハビリやデイサービス、職業訓練などに尽力して、未だ右上肢に麻痺が残りながらも見事社会復帰なさったようです。
中でも「促通反復療法」についての体験はもっと多くの方に知られるべきことです。
「脳障害」のリハビリは困難なもの、障害の度合いや年齢によりますが、回復した前例は「奇跡的に・・」と語られるのが世の常識かもしれません。

平穏な日常を一気に非日常にひっくり返す「縁起でもないこと」は突然に誰の身にも起こります。
人は当たり前に「対岸の火事」と、それに目を逸らしながら生きています。
人生が長いか短いかの感覚は別として、現代において「いつもそこにある日常」に心身ともに慣れてしまうのは仕方ないことですし、いつも最悪の事態に怯えながら暮らすのも正しいことではないですから。
良くないこと、悲しいことはできるなら忘れたい、忘れていたいと思うのも当然ですから。それも生きるためには必要な力ですね。

でもメディアの情報や、知人、SNS上でもなんでいいですが「考えるきっかけ」というものも少し意識を変えることで、目に飛び込んできます。

知識は身を助けます。思考の鍛錬は心を助けます。
いざというときに絶望せずに、前に進む力というものはきっとそういうところから生まれてくると思うんです。

他人ひと事と考えず、自分事に置き換えて、目を逸らさずに読んでみてください。

もうすでに非日常の中で苦しんでいる人もいるでしょう。

病気の怖さも教えてくれる本ですが「日常を取り戻すためには・・」と、そこに焦点を当てたものだと思いました。

脅かすつもりはさらさらありませんが
「縁起でもないことの毎秒」は突然に降りかかるのです。
考えるきっかけに私はこの本をオススメします。

今回の記事に引用した私のコラムです。
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