104 / ぼくの現場日記(1)
ぼくの人生は面白い。
と、思えているのである程度メンタルは回復してきたのだと思う。
ホストでNo.1をとったと思ったら辞めて、ライバーになり、ドバイに移住した。移住したかと思えば4ヶ月後には日本に戻ってきて、実家でゆっくりすると見せかけ、今は朝から現場仕事をしながら、夜はおでん屋さんともつ鍋屋さんのアルバイトを詰め込んだ。
※
5:50にほっともっと前集合。送迎の車が来る。
「...ぐちくん、川口くんー!!」
耳栓越しに、マンバンヘアーの社長の声が聞こえてきた。6:10。社長が目の前に立っている。
終わった。
「すみません、、!」
僕としたことが(?)、いつものように耳栓をして、スマホを機内モードのままにして寝ていた。耳栓越しのアラームで起きれるだろうと過信していた。
(はぁ。おれはいつもこうなんだ。.......いやいやだめだ!これが第二の矢というやつだ。『寝坊をした』というのは紛れもない事実だが、『おれは寝坊をするダメなやつだ、、いつもこうなんだ、、』という第二の矢を自分に打ってしまうことで人は苦しみを大きくさせる。
事実だけを受け止めよう。ぼくは初日に寝坊をした。社長が迎えにきた。ただそれだけのこと。何も考えるな。)
そんなことを考えながらバタバタと準備をして、上司の車に乗っかった。怒っている素振りは見せず、「段取りができなくなるけん、次からはこういうことがないようにしとって。頼むよ」と、冷静に営業所まで送ってくれた。
6:30に営業所に到着して、ヘルメットや安全靴を借りる。
「おはようございます、!」
「おはよう。寝坊したの?」
「あ、はい。スミマセン」
こちらのガタイのいい、タトゥーの入ったいかにも現場な人も、想像以上に優しい対応だった。
「ヘルメットある?」
「いや、ないです」
「安全靴は?」
「ないです」
「解体は?したことある?」
「あ、いやないです」
解体なんて、テレビでなんとなく聞いたことのあるワードだった。まさかぼくがそれをやることになるなんて。改めて実感しつつ、ヘルメットと安全靴を借りた。
「7:30に送迎がまた来るから、それまでまぁ、かなり暇だと思う」
1時間も待たされるのか。まぁいっか。
ぼくは人をいつも待たせているのもあり、基本的に何かを待つという経験があまりない。待ち時間というものになんのストレスも感じないし、むしろボーナスタイムをもらったかのような気持ちになる。
虫の声に耳を澄ませながら散歩をして、スマホで小説を読んで、今これを書いていたらあっという間に7:30になった。
初めての現場仕事、行ってきます。
どうなることやら。
つづく。
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