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漫画紹介「いとやんごとなき」

ジャンル:ギャグ・日常、既刊1巻

「いとやんごとなき」は週刊少年サンデーにて連載中の漫画で、作者は小松翔太先生です。連載開始はごく最近で、先月18日に第一巻が発売されました。なかなかシュールな漫画なので、紹介します。

・あらすじ

親の再婚によってお金持ちになり、超名門校に転校になったごく普通の女子高生、出海あすか。転校先の学校は絵に描いたようなお金持ちや権力者揃い。その中でも特別周りに尊敬されているいとやんごとなき天上人、光暈寺麻呂は興奮すると股間が光る

周りの皆が受け入れているその事実を、ごく一般的な感性の持ち主である出海あすかは受け入れられず、思わず口走ってしまう。

「え…きもっ」

その一言に、なお一層光り輝く麻呂の股間。

それ以降始まるあすかの受難、変人揃いの天上人達。

上品でシュールな学園ノーブルギャグ。

・魅力その1、上品な下ネタ

何か矛盾した事を言っているようですが、事実です。

とりあえず1巻時点でのこの漫画の目玉は、準主人公である光暈寺麻呂の股間が光る事です。「股間が光る」というのは下ネタでしょうか。

はい、もちろん下ネタです。直接的な明言はされていませんが、「興奮すると光る」という構造は、例のアレのメタファーです。これが下ネタでなくて何なのでしょう。

しかしあくまで隠喩は隠喩。この漫画では「ちん〇」「陰〇」などという下品な単語は何一つ登場しません。もちろん光り輝いているため、直接描かれる事もありません。ただ「股間が光る」だけなのです。

現象としては下ネタですが、おそらく最大限に上品に昇華された下ネタと言えるでしょう。

上品でありながらも「光る」というインパクトの強さによって下ネタとして必要な絵面の激しさが十分に機能しており、新鮮です。

・魅力その2、シュールな世界観

この漫画のシュール要因は股間が光る人物だけではありません。妖精と会話する美しさの人や顔を見た相手をゴリラに変身させてしまうイケメン、胸の弾力によって決して転倒しない生徒会長など、主要人物からほんの数コマの出番のチョイ役までアクの強い変人だらけです。

そしてそんな変人達を、クラスメイトをはじめとするモブキャラ達は何の疑問も持たずに受け入れています。外部から来た一般庶民的な感覚を持つ主人公を除いて。

振り回されるタイプの主人公というわけです。イケメンや大金持ちに振り回されるといえば少女漫画的で聞こえは良いですが、これはシュールギャグ漫画なのでまた話が違います。

全体的にシュールな世界観で、一人まともな感性の持ち主がいるというのは漫画として読みやすいです。

・魅力その3、スケールが大きい物語展開

主人公は特段何かすごい特技を持っているわけではありません。強いて言うなら勉強が得意なところと、意外と肝が据わっているところくらいです。よく言う「どこにでもいる普通さ」が体現されたようなキャラクターです。

が、周りの人物はそうではありません。

IT社長や石油王でさえ足元にも及ばない高貴な家系だったり、世界中の外交を一手に握る能力の持ち主だったり、とても学校が舞台の漫画とは思えないレベルのスケールの広さを見せてきます。そんな彼らがこぞって主人公の周りに集まって、彼女の一挙手一投足に過剰反応するので、勝手にスケールが大きい話になります。

主人公が普通なままでスケールだけが展開し続けるのは見ていて気持ちが良いです。

総評

イロモノのギャグ漫画ですが、文字通り光っています。その輝きは紛れもなく異彩ですが、注視するだけの魅力があると思います。

私的好感度:90/100、オススメ度:83/100

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