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感想「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 喪194」

7/21はわたモテ更新日でした。

面白かったので語りたいと思います。

・前回の感想

感想記事をリンクします、

以下、最新話のネタバレ注意!

喪194 モテないしそんな日はない

前回、文化祭が始まるかと思いきやまさかのラーメン回でした。

そして今回も文化祭は始まりません。単行本収録の兼ね合いか、あるいは文化祭への伏線の準備のためか、意図的な焦らしを感じます。とはいえ、不満を口にするような内容の回ではないので、大歓迎ではありますが。

・そんなことあったんだね……

まこっちのセリフ、久々な気がします。ここ最近の展開ではすっかり置いてけぼりを食らっていたまこっち、ようやくキバ子やサチの周りで起きた劇的な出来事に関しての詳細を認識したようです。

まこっちは交友関係が広い反面、ほとんどの相手と深い付き合いをしない印象があります。主人公であるもこっちとの微妙な関係がまさにそれを物祟っています。友達の友達から始まった二人の関係は、未だ他者の介在なしに成立しない程度の距離感です。だからこそ今回の件で完全に蚊帳の外だったと考えると、まこっち周りの人間関係にも歪なものを感じます。

サチがノリマキとまこっちとの会話に関して質問していますが、それに対してのまこっちは、「あいさつ程度」の付き合いしかしていないとのこと。まこっちにとってノリマキこそ友達の友達程度の認識だったのかもしれませんね。

そういう視点で見ると、まこっちは非常にドライです。誰に対しても慈悲深く優しいはずの彼女にそういう印象を抱いてしまうのは、なかなか興味深いです。

・でもいつか仲直りできたら……

このセリフにまこっちの善性がよく表れています。

八方美人かつドライで、場合によっては友人を裏切る事もあるまこっちですが、それはあくまで自己保身と周囲の状況を天秤にかけた結果の言動であって、まこっちが本当に望んでいるのは自分だけの利益ではなく、周り全体の幸福なのでしょう。独善的な面が垣間見えるまこっちですが、その根底にあるのはやはり善性なのだと考えると、憎めないキャラですね。

そんなまこっちですが、時折周りが見えなくなる事もあります。

・めし一緒に食わね?

吉田さんと智貴のツーショットは久しぶりですね。

吉田さんと智貴の初邂逅は喪116、今江先輩の卒業式の時でした。その後何度か会っていくうちに吉田さんの方が積極的に智貴に絡んでいくようになります。

吉田さんの智貴への感情は、現状全く明らかになっていません。絡みとしては機嫌の良い時に話した事がある程度で、特に劇的なイベントを経ているわけではないので、吉田さんがどうしてこんなに智貴を気に入っているのかは不明です。積み重なったラッキースケベのせいでしょうか。

とはいえ文化祭という一大イベントの前にこういう話が挟まるという事は、その辺りに関しても何らかの進展ないしは新たな伏線が盛り込まれる気がしますね。

さて智貴を見つけた吉田さんはお昼の誘いをするのですが……

・いや俺一人で食べたい

……

この上無くストレートな回答ですね。

適当に言葉を濁して誤魔化すでもなく、正面からの明確な拒絶。普段からもこっちやちん子ちゃん達に対して淡泊な智貴らしいといえば智貴らしいですが、上級生のヤンキー相手にこの態度は敬服に値します。そのくらい気安い関係に落ち着いた……という事になるのかもしれませんが。

・いいから隣座れよ!

それに対する吉田さんのこの態度、本当好きです。

吉田さんはヤンキーであるがゆえに他人との距離感が独特なんですよね。もこっちともこの強引さあって仲良くなったわけですし、この強引さが無ければもこっちは今江先輩と卒業時の挨拶を交わす事が出来ませんでした。こういうところが彼女の素晴らしい美点だと言えましょう。

とはいえ、智貴はその強引さにやや辟易しているのか、心の中で「うぜ……」と零します。以前食堂で吉田さんに絡まれた時も智貴は同じ感想を抱いていましたが……ここのセリフが全く同じなのは、智貴の中で吉田さんの立ち位置はあの頃から全く変わっていないという事でしょうか。自宅で会い、あまつさえ裸まで見た関係なのに……智貴はどこまでも淡泊ですね。

・……吉田さん今日一人だったんだ……

……

ひえっ……

真顔のまこっちが怖いです。セリフ前後の「……」が何かを堪えているようで背筋が寒くなりますね。

そしてその次に続く「一緒に食べればよかった」もなかなか無視し難い発言です。この時のまこっちの想定は間違いなくサチもキバ子も伴っていないでしょうから。これって要するに、キバ子やサチよりも吉田さんと一緒に食事がしたいと、当人達の前で公言しているようなものですよね。

そして同様の旨のセリフを口にせず心の中で留めているのがサチですね。口に出しているのがまこっちで、出していないのがサチというのは、二人のキャラのイメージ通りの言動です。こういう場面においてキャラの性格で言動に差が出るの、面白いです。

もっともまこっちと違い、サチの目当ては吉田さんではなく智貴のようですが。

・……そういやこいつに裸見られたんだよな……

意識している吉田さん、可愛いです。

対照的に智貴は何も感じていないようですが。

胸を揉み、裸を見た相手に対してこの態度……並の男子高校生ではありません。「海浜秀学院」ならノート作りが捗ってるところでしょうに。もこっちや小宮山さんをはじめとする周囲の女子の奇行にうんざりして、若くして枯れてしまったのでしょうか。赤面一つしない辺り、そんな気がします。

・……あれ吉田さんだよね?

サチのターンが始まりました。

そういえばサチ、まこっち達との食事が始まった段階では顔が描かれていなかったのに、智貴を見つけた段階で顔が描かれるようになりました。サチの顔が見えている時は、彼女の中である程度大きな感情が揺れ動いている時……という事だとすると、サチは相当智貴にお熱ですね。素敵です。

お熱であるがゆえに苛ついてますね。年季の入った流麗な悪口が立て板に水の如く流れ出します。その中で智貴のパーソナリティーであり、一見して分かるはずのない「2年の男子」という情報が漏れだすのがちょっと笑えます。こういう時はサチも余裕がないのだろうというのがよく分かります。

・まこっち何故か吉田のこと言うとうるさいんだよな

サチが吉田さんの悪口を言い出したので、キバ子がこんな事を思ってます。

……

いやいや、待たんかい。

吉田さんとまこっちが友人関係にある事くらい、キバ子も把握しているでしょう。仲間内でお互いの悪口を言うのを避けていたのと同じように、まこっちの友人である吉田さんの悪口を言ったらうるさいのは当然じゃないですか。現にキバ子グループは、マキにマキ彼氏の悪口を言った事がグループ崩壊の引き金になったわけですし。

というか、過去既にキバ子がまこっちと吉田さんの悪口を言おうとしていたという事実がちょっと面白いです。その時のまこっちの様子を見てみたいような見てみたくないような……

さて、サチの悪口に対してまこっちは……

・ねぇー3年生の時期に年下の男子と遊んでるとか何考えてるんだろうねー

……

台詞が間延びした風なのがかえって怖いですね。

そもそもまこっちは悪口が嫌いです。悪口が基本のコミュニケーションツールとして機能していたキバ子グループでも悪口を言わないし、誰かの悪口に同調したりはしませんでした。

その評価からのこれですよ。まこっちがよほど苛ついているという事が見て取れます。

そしてそんなまこっちを見たキバ子は……

・今日は悪口言っていい日!!?

ここめっちゃ笑いました。

そして次のコマで純度100%のスマイルでサチ以上の流麗さで吉田さんと智貴双方の悪口を叩きこむキバ子。もうここからの流れが完全に把握できてお腹抱えて笑いました。

キバ子の悪口の中で正気を取り戻したような顔をするまこっち可愛い。

・小陽ちゃんの趣味がワンパターンなだけじゃない?

智貴の悪口にムキになったように反論を並べるサチ、非常に可愛いです。さっきの悪口よりも早口なのが伝わります。

個人的には「あいつ多分童貞じゃないしもし童貞でも別によくない?」というセリフが好きです。以前の状況だけ智貴の事を「ヤリチン」と決めつけたサチがその判断を今でもずっと正しいと思い込んでるのがまず面白いですし、「もしも童貞でも」とどっちみち擁護する口調なのが智貴への気持ちが窺い知れて愛らしいです。「あばたもえくぼ」とでも言うのでしょうか。この場合サチはどっちが望ましいと思ってるんでしょうね。

・吉田さんは誤解されるタイプだけど

さらに今度は吉田さんの擁護に入るまこっち。

さっきのサチに関してはまだ分かりますけど、直前まで吉田さんの悪口言ってたまこっちが突然吉田さんを擁護し出すのは、キバ子目線からだと意味不明で笑えます。謎の手のひら返しと見られてもしょうがない狂人ムーブです。

個人的には「色んな人が吉田さんのこと好きだよ」というセリフが好きです。柔らかい口調で、言っている事も友人自慢のような感じで、悪口が嫌いなまこっちらしい優しいセリフだと思いました。「色んな人」のうちの一人に自分がいる事を誇らしく思っているような……というとちょっと綺麗すぎる気もしますが。

ちなみにこの時のキバ子の顔、死ぬほど好き

・田中後ろにいたのかよ

まこっちに気づいた吉田さん。

「声かけろよ」というセリフが吉田さんらしいですし、そういうセリフがまこっちも欲しかっただろうというのが何となく伝わってきます。

・あ…ども

まこっち・吉田さんペアと比べるとぎこちない智貴とサチですが、とりあえず連れだって歩く程度には距離が縮まっているようです。いつものところに来ようとしていた事を肯定する智貴に対して「ふーん」と意味深な反応をするサチ、ちょっと好きです。

さて、円もたけなわ……席を立って教室に戻る一同。

キバ子は置き去りです。

状況は全く違えど、喪150のもこっちを想起させられます。

グループ崩壊を経て一つ成長したキバ子ですが、今度は空気を読むという事を覚える必要がありそうですね。

総評

久しぶりにまこっちが滅茶苦茶目立った回でした。

6ページと短めでしたが、内容は濃くてすごく面白かったです。

喪194の満足度:97/100

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