見出し画像

CtoCはしんどい、という話

イラストレーター・取材&コラムニストの陽菜ひなひよ子です。

その仕事をしてみて初めて見える世界ってありますよね。いい意味でも悪い意味でも。

たとえば、わたしはいわゆる「サラリーマン家庭」に育ったのですが、昔、年長の人に言われて、当時はあんまりしっくりこなかったけれど、今は納得できる話にこんなことがあります。

自営業者になってはじめて見えた世界

「会社員の家に育った人は会社員の人と、自営業の家に育った人は自営業の人というように、実家と似た仕事の人と結婚した方がうまく行く」

これたぶん、自営業家庭の人は会社員の人と結婚してもそんなに困らないんだけど、会社員家庭の人は自営業の人と結婚すると大変、という話なんです。

わたしが結婚した時、我がオットはサラリーマンだったのですが、その後フリーランスのカメラマンになりました。わたし自身もフリーランスです。

フリーランス=自営業者ですが、そうなってみて初めて見える世界がありました。

たとえば、飲食店に入っても、以前とは視点が変わりました。

飲食店ってすごくシビアです。

お店を開けるために仕入れをして仕込みをして、準備をしていても、実際にお客さんが来るかどうかはわかりません。

お客さんが来なければ、収入は0なんです。いえ、赤字です。

それでも「来るかどうかわからないお客さん」のために、家賃を払い、準備をするわけです。しかも仕込んでもその日お客さんが来なければ、ものによっては廃棄しなくてはいけない。。。

同じ自営業でも、イラストの場合は、画材を一度そろえてしまえば、あとは定期的に営業する以外に、それほど元手はかかりません

しみじみ、飲食店って大変だなぁと。だから頑張ってる飲食店は応援したいのです。飲食店以外でも、仕入れをして在庫を抱える形態のお店は、すごく大変そうです。

少なくともわたしは、会社員だった頃にはここまで自営業の大変さについて考えたことはありませんでした。

当時だってわかっていたはずなのだけど、毎月決まったお金が入って来るわけではないってこと、実際に経験してみないと、肌感覚ではわかりません

フリーランスになってはじめて見えてきた視点です。この視点が持てて良かったです。


周り中がお客さんになること


同時に思うのは、周り中がお客さんになると、いつも気を遣っていなくてはいけなくなりそうだなぁってこと。

そのお店がいわゆる「有名店」で、遠方からたくさんお客さんが来てくれるようなお店ならよいのです。だけど、地元の人だけを相手に商売している場合、近所の人がみんな「お客さん」もしくは「お客さんになるかもしれない人」になってしまうわけですよね。

これ、人によると思うんですが、わたしだったら苦痛です。

たとえば、日々の生活の中でご近所さん相手に困ったことがあっても、相手が自分のお店のお客さんだったら、ついガマンしてストレスをためてしまいます。

そのあたり、困ったことをサラリと伝えるスキルを持つか、ガマンを仕方ないと割り切って対応できる人でないとしんどいかもしれません。


仕事を受ける上での線引き

まぁでも、周り中がお客さんになるというのは、イラストの仕事でも無縁ではありません

一般の方から依頼を受ける機会は意外とあります。近所の飲食店のイラストロゴやショップカードのイラスト、知人の結婚式のウェルカムボード、名刺やSNSのアイコンなど。

でもわたしは現在、一般の方からの依頼は一切受け付けていません

それにはいろいろな理由がありますが、理由の一つは、この「周り中がお客さんになる」ことがつらいからなんです。

わたしは相手の肩書が「編集者」「デザイナー」「アートディレクター」でない限りは、営業しないと決めています。

そう決めてしまうと、それ以外の人とはフラットな関係でいられますし、周りも「イラストレーターと知り合ったから、仕事を依頼してあげなくちゃ・・・・・・・・・・」と気を遣う必要もなくなります。

一般の人をお客さんに定めてしまうと「知り合う人がみんな見込み客」になってしまうのです。これ、しんどいです。


上記の理由を避けるためなら、たとえば「ネット上で知り合った人からのみ受け付ける」というのはいいと思います。それなら、一般の人相手でも無駄な気を遣うことなくビジネスの関係を築けるからです。

※わたしの場合は、ほかにもいろんな理由から「C to C」(一般の人からの依頼)は受けていませんが、ここではその理由は省略します。


以前から、モヤモヤと考えていたことを、林さんの以下の記事を読んで腑に落ちて一気に書いてみました。林さんの記事は有料ですが、様々な気づきがあっておすすめです。


もし、この記事を読んで「面白い」「役に立った」と感じたら、ぜひサポートをお願い致します。頂いたご支援は、今後もこのような記事を書くために、大切に使わせていただきます。