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起死回生の一手となった一本の電話

イラストレーター&文筆家&漫画家の陽菜ひよ子です。
このnoteでは、今までしてきたお仕事をご紹介しています。
主な内容は、お仕事の詳細や感想、依頼されたきっかけなど。

イラストをご依頼される方にとってのサンプルとなるだけでなく、イラストレーターを目指す人が参考にできるような内容を目指しています。
今までの記事は、コチラからご覧になれます。


お仕事内容と制作時の苦労


今回ご紹介するのは、2014年初頭に文理さんから依頼いただいたお仕事。

文理さんは、主に教科書の教材を制作・販売する出版社です。何度かご依頼をいただいています。毎回ご依頼くださるのは、小学校の国語を担当する編集チームのみなさん。

最初のお仕事「文章読解できる!!がふえる↑ドリル小学1年~3年」

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国語の教材らしく、例文の下に問題が書かれた様式になっており、例文の挿絵や問題を選択する際の例となるイラストをたくさんたくさん描きました。77点という依頼だったようです。

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イラストが変形になっているのは、文字の合間にイラストを入れ込んでいるからで、これがかなり苦労しました。イラストの重要な要素を文字と重ならないように配置して描き、背景を自然にぼかすというのは結構大変で。

当時、イラストの展示仲間で先輩でもあるFさんにいろいろ聞いて教えてもらえたお陰で、何とか仕事をこなすことができました。感謝です。

それまで私は線も彩色もすべてアナログで描いていましたが、この仕事から彩色はデジタルで入れるようになりました。実は上の7点のうち2点だけは彩色もアナログなのですが、どれかわかるでしょうか。

この6点の彩色はすべてデジタルです。

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ちなみに彩色をデジタルで行うのは、その方が楽だからではありません。
私の場合は筆で彩色する方がよっぽど早いし楽だし綺麗です。

それではなぜデジタルで色を入れるかと言えば、修正が楽だからです。

イラスト制作の流れは基本的には「ラフ→修正→OK→彩色→色調整→完成」です。すべてアナログで描いてしまうと、彩色後の微調整も難しくなるので、レイヤーを分けて色はデジタルで入れると修正がしやすいのです。

最近はデジタルで制作する人が増えたため、彩色後に大幅な修正を入れられることも増えました。そのため、線はアナログでも自衛手段として色はデジタルで入れているイラストレーターは多いようです。


お仕事をいただいたきっかけ~クリエイターEXPO・2013


文理さんからお仕事をいただいた経緯は、なかなかドラマティックです。

2013年の夏に、私はクリエイターEXPOに参戦しました。

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当時はこの胴の長いネコ(マンチカン)を描いていたんですね。

まぁそれは置いておいて、この出展料がべらぼうに高いイベントに、名古屋在住の私はさらに交通費や滞在費もかけて、決死の覚悟で参加しました。

ここで仕事をもらえなければ死ぬ!くらいの気持ちでね。

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これがその時の私のブース。
一応言っておくと、これは成功例ではなく悪い例なので、参考にしないように。こんなに雑多にいろいろなタッチを並べちゃダメ。
もっと「これが自分の絵!」といった代表作に絞った方がいいです。

こんなのんきそうな顔してますけど、心は焦ってました。

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しかし、結果を言えば、私の最初で最後のクリエイターEXPOは成功したといえます。金額的には元を取ったので。

でも、想像するような、会期が終了したとたんに電話やメールがじゃんじゃん来るというような、そんな素敵な感じではなかったです。

ただひとついえることは、その場で名刺交換しただけで満足するのではなく、その後のフォローを欠かさないということ。


さて、では文理さんからは具体的にどのような感じでお仕事が来たかというと。。。


当時の我が家の状況は、拙著『アトピーの夫と暮らしています』に詳しいのですが、まさにアトピーで闘病生活を送っていたオットは、会社を辞めて写真の学校に通いながらカメラマンを目指していました。

しかし、クリエイターEXPOの半年後の2013年末に急激に悪化し、数ヶ月病の床に就いてしまったのです。その時点で私にはイラストの仕事が全くありませんでした。

実はクリエポ直後から動いていた大きなプロジェクトがあったのですが、それがつぶれたと連絡があり、希望の糸が潰えてしまったのです。

それまでは、彼がカメラマンになり、クリエポの結果仕事が来ればどうにかなるだろうと楽観していた私も、さすがに絶望的な気持になりました。

そこで、ついに外に出て働くことに決めたのです。(って遅いよねって話ですが(笑))

これが『アトピーの夫と暮らしています』に書いた当時の話。

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文理さんからメールが届いたのが、本当に電話を切った数分後
「こんなことってあるんだなー」という感じでした。

しかしこのとき働きに出たことは、その後の苦しい時期をすごく助けてくれたのでよかったかな、と思います。

話を戻すと、文理の国語チームの皆さんは私のイラストを気に入って下さり、その後何度もご依頼くださっています。私にとってのクリエイターEXPOはまさに文理さんと出会うためのイベントだったように思えるほど。

実はもう一社、このとき知り合った会社から何度もお仕事をいただいています。それについてはまた別のお話で。


これがたびたび出てきた『アトピーの夫と暮らしています』です。
私とオットが病と闘いながらクリエイターを目指す日々を描いています。
コミックエッセイなので、さらっと読めてオススメです。


先日東北で大きな地震がありましたが、皆様ご無事でしょうか?

東日本大震災の時は都内に住んでいたので、上記の「アトピー本」にはこんなひとコマがありました。

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この後何事もありませんように。。。

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陽菜ひよ子 / インタビューライター&イラストレーター
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