ハイモジモジ10周年ふり返り(4期目の前半)
ハイモジモジ代表の松岡です。
2010年4月28日に創業し、間もなく10周年を迎えます。そこで、この10年の歩みをふり返っていきます。今回は4期目(2013年)の前半をお伝えしていきます。
「Deng On MOOMIN」発売
4月。
キーボードに立てられる伝言メモ「Deng On」のムーミン版をリリースしました。
実はこの時期、社内で意見の相違がありました。
「作り手はみな」と一般化できるかは分かりませんが、弊社デザイナーの場合は「作ったときがピーク」の人。自分の納得いくものが完成すれば、以降は「過去に作ったもの」に執着しません。
なので2011年から販売を続け、2014年当時も会社の売上げの半分以上を構成していた「Deng On」シリーズについても、さっさと廃番にしたがっていました。「Deng Onにばかり頼るんじゃねえ」「同じ商品ばっかり売るのは、だせえ」というロックなスタンスです。
ただ、そうはいっても会社に安定的な利益がなければ新商品の開発費もまかなえません。経営する立場からすれば、だせえことでも必要であればやる。清濁併せ吞む覚悟がなければ事業は続けられないと、そう信じていました。
ですので、意見が割れ続けるなかで「キャラクターものに手を出す」という安易な手法に、なかなか会社として踏み出せないでいました(ウルトラマン版は開発経緯を踏まえた例外でした)。
しかし「Deng On」に使用しているファーストビンテージという特殊紙が持つ風合いと、ムーミンが醸し出すフィンランドの雰囲気が絶妙にマッチすることに気づき、ムーミン版は「きっとみんなに喜んでもらえる」「やる意味がある」「むしろデザインしたい!」ということになりました。
経営的には大きく貢献してくれて、ビジネス的にも大成功でした。
社内における葛藤は「自分たちは何のために活動しているのか」をその都度ふり返らせてくれるものですね。
新作発表会に初チャレンジ
この「Deng On MOOMIN」のリリースに先駆けて、新作発表会をやるという新しい試みにもチャレンジしました。
幡ヶ谷の「7CAFE」という素敵なカフェをお借りして、取引先やプレス関係者、そして一般ユーザーのみなさんにも会場を開放し、自由に新作を手にとっていただきました。
井の頭公園の近くに移転
5月。
事務所を現在の場所に移転しました。
吉祥寺の井の頭公園にほど近く、とても静かな環境が気に入って、その後もずっとここを拠点に活動しています。
香港の書籍に取り上げられる
6月。
香港のクリエイティブ・スタジオ「AllRightsReserved」が出版した「GRAPHIC CANDY」という書籍で、「Deng On」や「RING-IT」といった商品が取り上げられました。
ユニークなデザインワークがふんだんに詰め込まれた本で、デザイン関係の方なら手にした方も少なくないのでは。
そして、この本を読んでハイモジモジのことを知ってくださったある方から声がかかり、2014年から新しいことを始めることになります。それはまた改めて。
繊研新聞英字版で紹介される
7月。
日本でも著名な業界紙「繊研新聞」の英字版に取り上げられました。
ハイモジモジに限らず、日本の「BUNGU」が今アツい、という特集だったのですが、以降、海外絡みの案件が増えていきます。
ムーミンの新作リリース
同じく7月。
「Deng On MOOMIN」が絶好調で、さらに種類を増やすことになりました。
以前は「ムーミン」「スナフキン」「ミイ」と主要キャラをメインにリリースしたのですが、第2弾は「スティンキー」や「フィリフヨンカ」といったツウなキャラにも手を伸ばしました。
実はムーミンの原画資料は膨大な数があり、その中から「商品として映えるもの」で「キャラクターのらしさが表現されているポーズ」を探すのは本当に大変な作業でした。
ときに英語版の物語を読みこんだりして、ひとつひとつをデザインするのに気の遠くなる時間と労力をかけています。その情熱がファンにも伝わっていたらうれしいです。
8月には毎年行われている「ムーミンの日」というイベントにも呼んでいただき、ムーミンファンの方々と交流&販売するという機会にも恵まれました。
むかしから愛されているキャラクターなので来場者は年配の方が多いかと思いきや、若い方もたくさん来られていたのが印象的でした。
「LABO MOJIMOJI」を設立
8月。
会社設立以来、初めて「設備投資」をしました。
カッティング・プロッターといって、イラストレーターで作成したaiデータを読み込んで、自動的にカットしてくれるマシンです。5年間のリース契約でしたが、クルマが1台買えるほどの金額だったので、当時としては思いきりました。
そこで、このマシンを使ってどんなことができるかなと考え、さまざまなアイデアの試作を試す「LABO MOJIMOJI」という機関を社内に設立しました。
そして、商品化されなかったものがほとんどですが、とにかくいろんなアイデアを試しました。
▲モビールを作ってみたり
▲「Deng On」をアソートパックにしてみたり
▲革をカットして本のしおりを作ってみたり
▲メッセージカードを作ってみたり
▲「Deng On MOOMIN」のコレクションブックを作ったり
その中のひとつに「DESKSIDE AVENUE」というアイデアがありました。
屋根をあけて小物を入れられるお家のかたちの箱で、この中にチョコや飴を入れて、仕事に疲れた同僚にプチギフトとしてあげる、といったシチュエーションを想像しました。
試験販売的にリリースしたのですが、導入した「LABO MOJIMOJI」のカッティング・プロッターは量産には不向きで、一旦取りやめていました。
その幻の企画が2019年に突如としてよみがえり、再度「DESKSIDE AVENUE」の名を冠して、満を持してリリースされることになるのです。
もうマシンは手放してしまいましたし、「LABO MOJIMOJI」も自然と解散してしまったのですが、当時のトライは無駄ではなかったなあと思いますね。
と、4期目前半は、とにかく創作意欲の強い時期でした。この流れを受けて、後半はまた突飛なプロダクトをリリースすることになります。
ハイモジモジ10周年まで、あと14日。
(つづく)
【ハイモジモジ PROFILE】
2010年創業。「Kneepon from Nippon!」を合言葉に、思わず膝を打つアイデア・プロダクトを日本から発信している。キーボードに立てる伝言メモ「Deng On」、耐洗紙のメモ「TAGGED MEMO PAD」でグッドデザイン賞を受賞。人気シリーズ「WORKERS'BOX」好評発売中。
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