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生配信で聞いた日本刀で人を切った経験がある人の生き方


昨夜、テレ東 無観客フェス2020の有料配信を観た。

タイトルは「池袋 生 闇鍋」

『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の上出Dが今一番話を聞きたい人を招いて闇鍋を囲む生配信。第一鍋 は「怒羅権(ドラゴン)鍋。
ホスト:上出遼平(テレビ東京)
ゲスト:怒羅権(ドラゴン)創立メンバー 汪楠(ワン・ナン)

ライブ配信にゲスト参加した汪楠(ワン・ナン)さん。
中国残留孤児二世というものにカテゴライズさせられている。
現在の国籍は無しとのこと。

ザ・ノンフィクションでも生い立ちや現在の活動について取り上げられ、知られている方です。

せっかくの期間限定の有料ライブ配信なので全てをお話しするのは失礼かとも思うので印象に残ったことをピックアップさせてもらいます。

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 キーワードとしてはこの後ろのブラックボードに並べられた言葉たち。

ワン・ナンさんは中国残留孤児二世の仲間と怒羅権(ドラゴン)というチームを作って、当時の仲間たちや中国残留孤児という理由でいじめを受けている人たちの報復として暴力を使っていた。

 その過程が支援者の私にとっては、悔やまれる事案である。

ワン・ナンさんは中国で生まれ、14歳の時に来日。両親共に共働きで半年間は中国残留孤児帰国者一時入所施設(常盤寮)に入所してそこから通学していた。

 まず、残留孤児なのに中国名であとから日本に来たの?という無知に気付かされる。ここについては省略させてもらう。調べるとこれといった説明が出てこない状況を知ってほしいからだ。

施設の規則で半年後、退所が決まっているのだが施設に戻りたいと電話や逃げてくる子がいた。その原因が学校でのいじめや暴力。他校の暴走族からも下校時に襲われることもあったという。その際に暴走族の人たちが楽しそうに見えたというワン・ナンさん。

 暴走族の中には片親だったり、貧困家庭がいたりと社会に対する苛立ちに共感しあえたのだろう。意外とすぐに仲良くなれたとワン・ナンさんも話していた。

支援を受けて外国語対応のクラスで日本語を学ぶも、普通級に移ると必ずいじめを受けるということが常だった。義務教育を卒業しないと就労も難しいため20歳でも中学を通っている子がいたようだ。中国残留孤児の多くは両親共働きで昼食を食べる為には学校の給食頼りで、貧困家庭もあったそう。いじめがつらくても学校へ行かなければならない現状があった。また、他児とのトラブルがあった際にも中国語が教員に通じないため、原因を理解してもらえないという環境でもあった。

 大人からも対等の関わりをしてもらえないことがあり、いじめへの嫌悪感や孤独感は増しただろう。歴史の事実を知らない日本の子どもたちにバカにされ、アイデンティティを否定された日々を送ったのだろう。ワン・ナンさんは当時いじめられた人とは現在、交流があると言う。歴史を知らないからいじめが起きると話している。サラッと大事なことをお話しされるので、ボーッとしてられない。

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この状況下から学校へは行かずに暴走族の友人に教えてもらった窃盗でお金を稼ぎ、後に家に帰らず生活するようになったという。それ以降現在に至っても1度も家には帰っていないと言っていた。怒羅権はその何名かで立ち上げ、はじめは報復のためだったものの後に日本人も加わり窃盗等を目的とした行為が増え準暴力団となっていく。

 支援の手は「常盤寮」にいるときに届きそうであるが、ただのアパート状態だったのだろうと予想がつく。これ、中国残留孤児に限らず施設という中に入ることで支援が留まるケースは現場にいてもよく耳にする。建物に入っただけでは神社と同じで祈るしかない。また、ワン・ナンさんの国籍人種差別的なことだけでなく、暴走族の子たちの孤独や自己効力感が暴力に行ってしまったことも学校という場所で何かしら手を早めに伸ばせたらとも思う。

差別やマイノリティについて、環境によってマイノリティとマジョリティは変わるといい固定はされないと話す。怒羅権の中で日本語しか話せない子は当時はマイノリティ側だったと。マイノリティ側の主張は次第に『社会性』か『社会性』かになる。反社会性は暴力で自分を出す。非社会性は引きこもったり、自殺したりする。

 心理学を学ぶと攻撃というものは内的なものと外的なものに分けられることが多いのだが、黙ることも攻撃の一つと捉えられている。どちらも相手に攻撃しつつも自分を守っているということからはかけ離れている。しかし、このやり方しかないという孤独な戦い方である。今アメリカでの黒人差別の暴動も、権力を使えない人のやり方が結果暴力となっているようにも見える。

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ワン・ナンさんはある事件を起こして刑期を受けることになるのだが、最後の刑期を終えたのは41歳頃。「こんな人生でいいのか?」と思うようになる。きっかけは本だ。出所後に法律事務所に勤め、そこの弁護士に「いじめ・差別の問題提起を君は出来ていない」と言われ、ボランティアをたくさん行うきっかけとなった。自分がいた刑務所には死刑・無期懲役囚がたくさんいて、ただ死を待つ人の生き方に疑問を持っていたのだという。

 生き方の中には「日本人として」や「男として」「女として」等を語る本のタイトルが多くある。それを語っている時点で枠組みや壁を設けているようにも感じる。支援者として感じるのは生活の中に「普通」という枠組みがあり、その中に入るか入らないかがマイノリティを決める。ケンミンショーのように自分からするとマイノリティな文化を楽しめたらいいだけなのに。進路を決めるときに成績がEランクだからという理由で進学を勧める教員だっている。本来は”どう生きていきたいか””どうなりたいか”を踏み出すための進路なのに。

元犯罪者からもこんなに学ぶことがある。

この言い方も決めつけやカテゴライズが含まれまくっている。そんな言葉を生んでしまう自分自身に気づけるように、色んな人と関わり、話を聞き、その人 個人を見ていく必要がある。

ワン・ナンさんのこれからの活動に注目しつつ、自分が社会に対して出来ることを生闇鍋配信の内容を反芻しながら余韻と共に考えたい。

最後に

ワン・ナンさんがお勧めしていた書籍と現在行っている活動

を紹介して終わります。

反省させると犯罪者になります (新潮新書) [ 岡本 茂樹 ]

反省させると犯罪者になります

堕落論 (集英社文庫) [ 坂口安吾 ]

堕落論

NPO法人 ほんにかえるプロジェクト 挨拶文

NPO法人 ほんにかえるプロジェクト facebookページ

こんなに情報満載ですが、まだまだ被害者意識や反省とはの内容についても語られていました。

上出さんの番組もザッと。

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お掃除係の実習を体験した保育士さん、きちんとした指導・教育を受けられずも頑張る支援者さん…など現場に困り感を持っている方へサポートすることで、子どもたちに還元されるものがあるのではと信じています。よろしくお願いします。