見出し画像

失業アラフォーは起きぬけに、アマゾンダンボールで塔の模型を雑に作る

 漫画を作っている。どういう漫画か。先日作ったエレベーターピッチを参照いただきたい。

不死の王、88歳の庭師、温室育ちの天才音楽家。全く違う人生を生きてきた、いびつな男女3人が、マッドサイエンティストの起こしたしょうもない事件によって出会い、無二の親友になる話。

『Eschatologia』を一言で表すと

 ファンタジーSF・ミステリー・ラブコメディ・バディ物を煮込んだ作品だ。タイトルロゴをご覧いただくと、少なくとも門構えはビシッとしていることはお察しいただけるのではないだろうか。

『Eschatologia』タイトルロゴデザイン

 キャラクターデザインもなんとなく固まり始めている。漫画は作者が連載中に絵柄が変わっていくのがグルーヴ感として大事なところなので、程々イメージを出せたところで描き始めることにした。

▼キャラデザのラフが見れます。

あとはもう描くだけだ

 原作の脚本化や、ネームを作る段階で、全然無理そうだったら止めようとおもっていたのに、一度はじまってしまえば、何がなんでもやり通したくなるのが私というもので、もう描いて仕上げるしかないと感じている。原作小説が35万文字あるので、連載作家ばりに一ヶ月80ページ描いたとしても、数年かかりそうな分量だ。焦らず一歩一歩取り組むことにしている。

 マイペースな私の最近の悩みは、「中空の塔を内部から見上げて、日の光がいい感じに差し込んでいる絵が描けない」というピンポイントなものだ。Googleでいろいろ画像を漁り、やっと見つけたのがイタリアの「サンパトリツィオの井戸 Pozzo di San Patrizio」を底から見上げた写真だった。

 雰囲気はすごく近い。あとはそのままパク……ゴホッゴホッ……オマージュを捧げるだけでいけるんじゃないか……。と思っていたが、パース(遠近法)だけを参考にしようとしても、内装に細かい違いがあるので、描いていても手が止まってしまう。

 小説を書いたときはざっくりとしか考えてなかったが、改めて、中空の塔の設定……もともとどんなことに使われていた塔だったのかを考えないと、漫画にしたときにデザインに落とし込みにくい……描けない理由はここにもある……と気がついて、設定を詰めていくうちに、円筒形だった塔を、ヨーロッパの尖塔みたいにとがった屋根をつけたいとか考えるうちに、いよいよよく分からなくなってしまった。

分からないときは、手間がかかっても後戻りする方がいい。

 変更した設定を盛り込んだ「中空の塔」の図面を引いてみることにした。
 地下、地上階、尖塔の部分に別れた塔を描きたい。屋根部分に開いた窓から、日の光が中空の内部に差し込んでくるのだ。塔の中にいると、外から見た時よりも高さがあるように見えるのも大事なポイントだ。
 Illustratorで引いた1/100の図面がこれだ。

塔の外観とか断面図

 塔のイメージは固まってきた。あとは光と影、下から見上げた時の遠近感が知りたい。3Dモデリングなんてできないし、ガチガチに正しい絵が描きたいわけでもない。スケール感さえ確認できればいいんだけど。

ふと、Amazonの段ボールが転がっているのが目に入った。

Amazonの段ボールは、段ボールとしては薄い方だ。これが、なんかちょっと作りたいとなった時の資材にちょうどいいな、とは常々思っていた。それが昨日の夜。
「明日朝起きたら模型を作ろう」心に固く誓い、眠りについて、朝起きて開始15分で模型を作り始めた…(ごそごそ)…およそ三時間

できた


段ボールとマスキングテープとガムテープで作った

 塔本体も大事なんだけど、土台になっている穴の開いた段ボールも同じくらい重要だ。ここに頭を突っ込んで、穴の上に塔をセットし、スマホのカメラでパシャっと撮影するのだ。こんな姿、誰にも見せられない。


失業の夏に段ボールの中でニヤニヤするアラフォー

撮った画像がこれである。

えっ これでいいの……?

 パースを強調するための線とか、内装の目安に黒いマスを書き込んだ紙を内側に貼り付けている。わかってる。こんなのが役に立つのか心配になるほど、雑だってことくらい。

 絵を描き始める、紙にペンを置く、そのときには、頭の中にすでにイメージがあるほうが迷いなく描ける。紙というスクリーンに、頭の中のイメージを投射してなぞるのだ。
 頭のなかのイメージを作り上げるまでは、いろいろなところから素材を探してきて、頭の中でコラージュをしていく。コラージュ素材どうしのサイズやトーンがバラバラだと、画像処理にものすごいエネルギーを消費するので、できるだけ完成系に近いイメージのサンプルを見つけてくる、ない場合は雑でも作る。雑だとしてもイメージに近いものが実物としてある、というのがとても重要だ。

 いざ実物を作ってみると、頭の中にあったイメージがほぼ間違いなかったとわかることもある。それはそれで、イメージしていたことに自信が持てるので無駄ではない。

 とはいえ、模型を作ってる最中、「いったい私は、誰にも求められてないことに、なんでここまで熱中してるんだろう?」と疑問に思いながら手を動かしていた。

 誰も求めてない。誰もやらない。やらないから代わりにやる。やるからには一所懸命やる。おそらくはただ、それだけのことなんだと思ってる。



2024年8月8日木曜日朝8時から、漫画エスキャトロギヤのリリースを開始します。

▼あらすじと、メインのキャラクター設定を掲載しました。

▼マガジンをリリースしました。



 作品を作り続けるための全努力をマガジンにまとめています。少しでも面白いと思っていただけたら、スキ&フォローを頂けますと嬉しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?