【超ショートショート】(29)～おかえりなさいの日～BGM『笑って歩こうよ』

夏休みのことだった。

お盆に父の田舎へ帰る途中、
大きな大きなひまわり畑があった。

その中の1つのひまわり畑が、
まるごと巨大迷路になっているという。

私は、
迷子になることが、とても怖かった。

でも、
好奇心旺盛な父は、
どんどん家族を引っ張って入ってしまう。

仕方なく、私も、
ひまわり畑の巨大迷路に入った。

すると、
父が突然、姿を消す。

これは、父の作戦だった。

子供が、
自分の力でゴール出来るようにと、
親心だった。

だが、1人にされた私は、
半べそで、
ゴールではなく、父を探した。

でも、
何処にもいない。

しばらくして、
父への怒りがこみ上げてきた。

「絶対！1人でゴールしてやる！(怒・悔涙)」

このひまわり畑の巨大迷路には、
ゴールもどき、つまりトラップがいくつもある。
その中にある本当のゴールを見つけるヒントは、
ゴール係の人が、

「おかえりなさい」

そう言ったら、
そこが本当のゴールだってことだった。

トラップのゴールも含めて、
ゴールは10ヵ所。

その中の1つだけの本当のゴールに、
私が到着したのは、
父に置いてけぼりされてから、
約1時間後。

すでに、
父や他の家族はゴールして、
ソフトクリームを食べてやがった。

ゴール係の人からの
「おかえりなさい」
そして、
父からの「おかえり」で、
やっと、
私の怒りに化(ば)けていた緊張の風船が割れて、
大の大号泣！

私の大の大号泣でタジタジする父を見て、
内心
「ざまあみろ」
と、少し嬉しかった。
「私の勝ちだ！」って。


20✕✕年の今日だったかな？
父が長期入院から退院したのは。

父は、
元気そうなふりをしていたが、
入院の疲れと、
家に戻れてほっとしたような、
穏やかだけど、少し緊張した顔をしてた。

私の
「おかえりなさい」
で、父の少しの緊張が取れたみたいで、
笑ってくれた。


さてさて、20✕✕年の今日、
早朝から釣りに行くと、
張りきって出掛けた父。

もし、
お魚屋さんで捌(さば)いてもらった
お刺身を持って帰ってきたと言ったら、
「おかえりなさい」
とは言わない。

だって、
お魚屋さんで捌いてあったお刺身を買ってきたと、
今日の釣果がなかったことを素直に認めるまで、
「今日のお刺身美味しいね」って、
嫌みの声色で言ってあげる。

そうすると、父はいつも、
フグのようにほおを膨らませて、
不機嫌になる。

そうなったら、
私はこう言ってやるんだ！

「今日も無事に帰って来てくれて、
ありがとう。
おかえりなさい。」

と。


(制作日 2021.7.3(土))
※この物語はフィクションです。

今日のお話は、
「おかえりなさい」がテーマ。

いつまで「おかえりなさい」って言ったけ？
と、過去を振り返ると、
あまり言ったことも、言われたことも無いなって。

でも、
心の中で言ってしまう時がある。

そんな日を思い出して、
今日のお話になりました。

直接言える人には、
「おかえりなさい」や「ありがとう」は、
言うほうが良いと思います。

今日の参考にした曲はないですが、
BGMとしてオススメの曲は、
ASKAさんの新曲
『笑って歩こうよ』
1970年代の音楽をイメージして制作された曲調は、
どこか懐かしく、どこか切なさを感じる。
とてもやさしい素敵な曲です。 
こんなご時世だからこそ、
聴いて欲しい1曲です。
ぜひ、聴いてください。
よろしくお願いいたします。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/

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オススメのBGMの曲は
ASKA ニューシングル
『笑って歩こうよ』
(20201.7.14発売)
☆先行配信中
「ハイレゾ&通常音源」
〈e-onkyo〉
https://www.e-onkyo.com/music/album/ddlb0018/
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〈レコチョク〉
https://recochoku.jp/album/A1017892552