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服従について

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疲労した人々
傷ついた人々に必要なものは
癒しではない

傷は疲労は癒すものではない
それから自由に解き放たれるものだ

暦を彫った鍬を持ち
躍りながらも耕せ民よ

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 マウンティングに殺されないよう
 サークルに入って、乱れず踊ろう
(掟を学べ。それは彼らの益でもあるのだから)

 自分の偏見や思い込みに殺されないよう
 図書館を作り、フィガロを流そう
(夢を語れ。それは彼らの夢でもあるのだから)

 世界に殺されないよう
 角部屋に付いた傷を広げよう
(計画は漏らすな。それがただの壁だと、彼らは知らないのだから)

 その跡をリタ・ヘイワースで覆おう
 その破片を散歩しながら中庭に捨てよう
 その目の光は微笑みで誤魔化そう
(すべてが終わって、彼らはその力の跡だけを見る)

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なあ聞こえるか 俺の未来よ
洞穴を塞ぐ黒い銅鑼よ
打破すべく 砕こうと突いても
ごおん ごおんと とぼけたように見据えるお前よ

今日は来たのだ 白い鳩が
昼下がり 暇の蠢く中庭で
娑婆からの手紙を咥えて
塀に頭をつけて 唸っている俺を見ていたよ
誰にも聞こえることのない
俺の無色透明な枕詞を聞いていたよ

とたんに俺は恥ずかしくなって
そいつの体を両手で掴んで
いみじくも 看守が鐘を鳴らし終わるその時まで
頭の中に残っていたつまらぬ欲を
報われたいという 浅ましさ故の当然を
魔ヶ刻告げる鐘が脚色する
背中を焼く斜陽の赤を感じながら

盲の天使に後ろ指さされながら
泣かず叫ばずの白い体躯に浴びせたのだ

急いで己の独房に戻り
なにも食べずに布団に潜る
奪った手紙は枕の下に
開かれることなく 不毛の伽に費やす
俺は模範囚 現実の模範囚

己が囚われていると気づいた始めてのにんげん

▶︎ 詩せる死人の酒場『バッカナール』

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