
AIラジオをノーコードで作る方法
生成AIは日常の様々なシーンを便利にしますが、その特徴のひとつにフォーマットの変換があります。テキストから画像、画像から動画。人間がやると大変な作業もAIは爆速で実現できます。
今回紹介するのはテキストを音声に変換する方法です。記事の内容からAIがラジオを作る。プログラミングの知識は不要のノーコードツールで、すべてブラウザ上で完結してAIラジオを作ってみましょう。
注:この記事ではcastmakeというツールを使ってAIラジオを作っていますが、著者はcastmakeの中の人です。
ノーコードでAIラジオをつくる
今回はAIラジオのサービスを使い、記事の内容を紹介するラジオを作っていきます。URLをいくつか指定するとその内容を紹介する短編のラジオが作られるイメージです。
先にサンプルです。これから紹介する手順通り進めると、こんな感じのAIラジオが5-10分くらいで作れます:
思ったより自然な日本語に感じたのではないでしょうか?
サンプルを確認できたところで、早速ラジオを作っていきましょう!
castmakeにアカウント登録する(無料)
AIラジオの作成にはcastmake(キャストメイク)というサービスを使います。castmakeはブラウザ上で使えるAIサービスで、ポチポチ項目を選ぶだけでラジオが作れます。利用は無料です。
まずはcastmakeのWebサイトにアクセスし、

「無料ではじめる」ボタンからアカウント登録に進みます。

アカウント登録は「Google」と「GitHub」の2種類から選べます。お好きな方を選び、各サービスで認証を進めてください。

登録が完了すると管理画面が表示されます。「チャンネルを追加」というカードがあるのでこちらをクリックします。

クリックするとチャンネル追加画面が表示されます。
はてなブログやnote、WordPressのメディアを音声化する場合はショートカットが用意されています。
今回はお試しでURLを直接指定して進めたいので、下部にある「作成後に自分でカスタマイズする」を選択します。

番組名を入力します。ここは好きな名前でOKです。例では「AIcast」と入力してみました。
番組名が決まったら「作成する」ボタンを押しましょう。

チャンネルが作成できると、エピソードを作成できる画面に切り替わります。右上の「エピソードを作成」から「記事URLを指定して作成する」を選びましょう。

エピソード作成画面に切り替わります。
ここはURLを指定してラジオの内容を作っていく画面です。4つのステップに分かれているので進めていきましょう。
記事URLを指定してラジオをつくる
1. 記事を要約する
それではラジオを作っていきます。まずはラジオで紹介したい記事のURLを用意しましょう。
今回は以下の2つの記事を選びました。
ひとつは日本語、もうひとつは英語の記事です。言語を問わずに扱えるのは生成AIの優れた点ですね。
早速URLを入力して進めてみましょう。

記事のURLを入力し、「要約する」ボタンを押します。

少し待つと右側に記事の要約が表示されました。
castmakeのラジオ生成は大きく「要約」「読み上げ原稿作成」「音声化」の3ステップに分かれていて、各ステップごとに生成AIが活用されています(この構造はマルチレイヤーAIと呼ばれたりします)。
要約はクリックすると全文を表示して確認できます。内容に問題なければ次のステップに進みましょう。
2. 読み上げ原稿を作成する

要約した内容を使って読み上げ原稿(スクリプト)を作ります。
ここではチャンネル名やMC名など、ラジオの細かな設定を指定できます。出力言語も選べるので海外向けに日本のコンテンツを紹介したり、自分用の英語ニュースを作って英語の学習に使ったりできます。
今回はこのまま進めるので、「スクリプトを作成する」を押します。

少し待つとスクリプトが生成されました。ラジオ風の原稿で、先ほど指定した記事の内容が含まれていることがわかります。
次はこのスクリプトを基に音声に変換していきましょう。
3. 音声エピソードを生成する

音声を7種類から、BGMを3種類から選びます。それぞれサンプルを再生できるので自分のイメージする雰囲気と近いものを選んでください。BGMは自分で追加することもできます。
今回は音声を「alloy」、BGMを「01」で進めていきます。「音声に変換」ボタンを押しましょう。

音声が作成できました!試しに聴いてみましょう。ステップ2で作ったスクリプトが自然な発話で読み上げられているはずです。BGMもあって想像以上に聴きやすい仕上がりになります。
4. エピソードを保存して確認する
音声に問題がなければエピソードを保存しましょう。
castmakeのエピソード作成画面はステップごとに戻りやすい作りになっています。読み上げの原稿が期待通りでなかったり、声やBGMの感じがしっくりこなければいつでも途中からやり直せます。AIの出力はまだ不安定な部分があるため、再試行しやすいつくりになっています。
今回は良い感じにエピソードを作れたのでこのまま保存しましょう。

「公開する」ボタンを押します。

すぐにエピソードが公開され、シェア用のエピソードURLが表示されました。このURLをメールやSlack、Xに共有すれば他の人にも聴いてもらえます。
最後にエピソード一覧画面を再度確認してみましょう。

いま作ったエピソードが一覧に表示されています。エピソードのタイトルはAIが自動的に判断してつけてくれます。もちろん編集も可能なので、わかりやすいタイトルに変えることもできます。
これでAIラジオの作成は完了です!
AIラジオをもっと便利に使う
RSSフィードを登録してラジオ生成を自動化する
castmakeでは手動でURLを指定するほか、RSSフィードを登録してラジオ生成を自動化する機能があります。好きなWebサイトやブログのRSSがわかれば、それを登録して音声で新着情報を受け取れます。
例として、はてなブックマークのテクノロジーカテゴリの人気記事をラジオ化してみましょう。
はてなブックマーク テクノロジーカテゴリの人気エントリのRSSフィード
https://b.hatena.ne.jp/hotentry/it.rss

左メニューの「RSS・定期実行」を選び、RSSフィードを登録します。そして定期実行のタイミングを登録すれば準備は完了です。
「毎週月曜日の朝8時にテクノロジーの人気記事をラジオで聴く」ような体験が簡単に作れてしまいます。
SpotifyなどのPodcastプラットフォームに配信する
作成したエピソードは簡単にSpotifyやApple Podcastなどのプラットフォームに配信できます。

作ったラジオを自分だけではなく世界中の人に届けたい場合、各種Podcastプラットフォームへの配信が良い選択肢になります。配信先はいくつかありますが、SpotifyとApple Podcast、それからYouTubeを抑えておけば8割以上はカバーできると思います。
それぞれのプラットフォームでの操作方法が地味に難しいのですが、castmakeの公式ドキュメントにまとめられています。こちらを参考にしながら設定していきましょう。
さらに進んだ使い方
テキストを直接指定する

ラジオにしたい記事が会員限定だったり、世に公開されていないコンテンツの場合、そもそもURLがありません。そういったケースではコンテンツのテキストを直接指定してラジオを作成できます。
テキストを直接入力するにはエピソード作成画面のURLを入れるところで「テキストから」のタブを選択します。入力フォームが切り替わり、テキストを自由入力できるようになります。
単語登録で読み間違いを減らす

難しい漢字や固有名詞など、AIが読み間違いをすることがあります。そんなときは「単語登録」の機能で読み上げの精度を向上できます。
単語とその読み方をペアで登録していき、最大200個まで登録できます。読み上げ精度はいずれは高品質な音声合成モデルが登場して解決する問題ではあると思っていますが、今時点では便利な機能です。
プロンプトを変更してラジオの雰囲気を変える

ラジオのトーンを変えたり、ランキング形式で記事を紹介するなど細かいチューニングをしたい場合、プロンプトをカスタムできます。

プロンプト編集画面では右側にプレビューが表示されます。自分の変更がどう出力結果に反映されるか、プレビューを確認しながら試行錯誤できるようになっています。
APIでもラジオをつくれる

プログラミングの知識がある方は、APIを利用してラジオを作れます。RSSフィードが存在しないサイトのラジオ化を自動化したり、自社のシステムと連携してラジオを作ったりなど自由自在です。
簡単なプログラミングの知識で始められます。公式ドキュメントにはサンプルコードつきで詳しく書かれているので参考にしてみてください。
まとめ
AIラジオ生成サービスcastmakeを使ってノーコードでAIラジオを作る方法を紹介しました。URLを入力するだけで簡単に始められ、RSSフィードやAPIを使って柔軟にラジオを作ることができます。
今回は紹介できませんでしたが、エピソードの埋め込みカードやWebhookなど、便利な機能が他にもあります。触りながら確認していただき、不明点があればお問い合わせフォームや@himara2までご連絡ください。便利や楽しいAIラジオがたくさん生まれることを願っております。
おまけ: プロンプトはすべて公開しています
castmakeの内部で使っているプロンプトはすべて公開しています。プロンプトでどこまでできるか調べたり、勉強用に自分で似たようなサービスを作ったりしてみたい方は参考にしてみてください:)