見出し画像

もっと大胆に失敗しよう

「失敗をするのは怖い、嫌だ。」というのは人間として素直な感情です。それは恥を書きたくないからかもしれないし、あるいはミスと捉えられ、周りや上司からの評価を落とすかもしれない。

しかし、失敗は学べることは、成功から学べることよりも数百倍多いのです。

歴史を遡れば、みんなが知っているであろうエジソンもこう述べています。

“I have not failed 10,000 times—I’ve successfully found 10,000 ways that will not work.”
- Thomas Edison

うまくいかない1万通りの方法を発見した。」失敗なくして成功にたどり着くことはほぼ無いのです。

多くの人が観たことのあるNikeのクリエティブなどを手掛けるワイデン+ケネディのオフィスには、Fail Harder(「大胆に失敗せよ」)とあるそうです。

現在公開中の、日本デザインコミッティーの原画やプロトタイプが展示されている㊙展には、日本デザイン界の大御所たちの失敗がそこにありがたくも公開されています。失敗と呼ぶのは失礼かもしれませんが、試行錯誤のそのプロセスでは、失敗という成果物を生み出し、そこらから成功や正解を導いたのは事実でしょう。

素晴らしいもの、偉大なるものを生み出すためには失敗しないといけない。

冒頭の「失敗を恐れる」話に戻りましょう。
繰り返しますが「失敗を恐れる」ことは間違っていないと思います。ならば「失敗を恐れない」ためにどうすればいいのか、ということです。

小さく失敗する

ひとつは「小さく失敗する」ことです。

大きな失敗、取り返しがつかない、あるいは多くの人たちに迷惑をかけてしまうことを考えると、その踏ん切りはつきません。これは失敗することを恐れて、入念に準備する=時間をかけるほどに、それに比例して失敗のリスクは膨れ上がる、ということを知ったほうがいいでしょう。

失敗とコストの相関図

準備はほどほどに、失敗することを前提にして「小さく失敗する」。

試行錯誤のツールとしての「プロトタイプ」もその忠実度は様々です。プロトタイプもはじめから作り込みをせずに、コンセプトがわかるレベルに留めて検証し、失敗しましょう。
「ユーザーインタビュー」も、その質問設計が完璧である必要はまったくありません。「何を聞けばいいのか」を探る、そこから始めればいいのです。リクルーティング(インタビューイの選定)すら、失敗しても構いません。隣の同僚だっていい、親だっていい。1点気をつけるとすれば、その時点に「正解はない」こと。ポジティブに「失敗している」ことを受け止めることです。

みんなで失敗する

よくチームワークに関する格言・ことわざとして

早く行くなら、ひとりで行け。
遠くに行くなら、みんなで行け。

というのを聞くことはありますが、僕の気持ちとしては、

赤信号、みんなで渡れば怖くない

ぐらいの気持ちです。それで全滅しては災難ですし、守るべき法や秩序はあるものの、それらを破って進む勇気、失敗する勇気も時には必要です。

みんなで失敗する、ということは、失敗を許容する場所がそこにあるということです。

Goodpatch Anywhereのケイタさんの記事で、チームでデザインすることを語られていますが、そのいち側面には「みんなで試行錯誤する・失敗する」ことも含まれているのではないでしょうか。ケイタさんの記事にあるような「VUCAな世界」において、簡単に正解にたどり着くほうが難しいわけです。

成功も学べ

この話、成功例を追うな、ということではありません。

ありがちな間違いとしては、それら先人の成功を鵜呑みにし、その成果物そのものや、方法論というよりは手順書のように倣って受け止めてしまうことです。
ただこれ自体も転換すれば「そのままやってみたら失敗した。じゃあこうアレンジしてみよう」という進め方もあります。

あらゆる事象が 1 + 1 = 2 で完結する世界ではありません。僕らは時に 1 + 1 = 3 にする方法を考えなければいけません。そこで先人が 1 と 1 を足せば 2 になるという正解パターンを残しているからこそ、さらに 1を足せば 3になる、ということにたどり着けるのです。

ここで重要なことは「なぜ 1 + 1 を足せば、2になるのか」という背景やプロセスを学ぶことです。2だけを見つめていても、それを3や4に発展させるには至りません。結局のところ、先日の成功や正解に至ったプロセスを終えば、そこに失敗や間違いがある、それを学ぶのです。
そして時間やお金が許すなら、先日の失敗を、自分(自分たち)でも失敗してみるのが良いでしょう。そのときは「やっぱ失敗だったね」と笑えばいいのです。

~~~~~☕~~~~~

2019年の後半は、プロダクトの開発に直接関わることより、開発やデザインのプロセスの構築や改善に関わる仕事が大半でした。

その中での気づきというのは、なにか上手くいかないときの根源は、組織や人、またはその関係にあるということです。

物事が上手く進まないとすれば、その理由は大半「正解がわからないから」だと感じることが多くなりました。しかし時間も無いなかで「失敗することに時間をかけたくない」というのがその裏側にあるとも感じます。

それが理解できないわけはないので、さぁどうやっていきますかね、というが日々考えていることなのですが、その一片としての「失敗」のことを考えるといろいろ膨らんできたので、年末の忙しいところについ書き起こしました。

来年もみんなで失敗しましょう。

Cover photo by Julian Dutton on Unsplash

明日の元気の素になります。