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おすすめの本「サブカルチャーのこころ」

今回はおすすめの本の紹介です。

臨床心理士・公認心理師であるカウンセラーが、漫画、アイドル、ゲーム、アニメなどの様々なジャンルのサブカルチャーについて書いている本です。
「鬼滅の刃」「あつまれどうぶつの森」「アナと雪の女王」など世間で流行ったものから、とてもマニアックに感じられるジャンルのことも書いてあり、非常に興味深く読みました。
よく知っているジャンルも、よく知らないジャンルも、読んでいるだけでなんだか楽しくなってくる本です。ハマれるものを探したいときにもおすすめです。

私が一番面白いと思ったのは、プロローグの「なぜサブカルチャーと表記するのか」というくだりです。

カウンセリングで起こる現象というのは、とても個人的でミクロなものです。その小さな世界で起こったこと、たとえば「最近、フォートナイトが好きな子、多いなぁ」「会っている子が突然『声優になりたい』って言いだした」といったカウンセラーとしての実体験をもとに、それらのコンテンツ(あるいはジャンル)のもつ魅力やこころへの影響について、各々が考察を展開しているのです。(中略)カウンセリングなどのごく個人的な、小さな世界で起こったことを起点としているーーこのことから、「ポップカルチャー」よりも「サブカルチャー」という言葉のほうが、本書にはよくなじむように思えるのです。

サブカルチャーのこころ p008‐p009より

「鬼滅の刃」のように、ものすごく流行って多くの人が知っている物語であっても、それに触れた人の数だけ、物語から受ける影響があります。一人ひとり異なる体験をするでしょう。
そのごく個人的な事柄を大事にするという意味で、あえて「サブカルチャー」と表記することに大変共感しました。

「好きなサブカル」を通して、その人のこころに触れようとする、こころを知ろうとするカウンセリングは、私にとっても非常になじみがあるものです。
若い方とのカウンセリングではほぼ必須ですし、大人とのカウンセリングでも「好きなサブカル」についてはよく話題にのぼります。

「自分の話」をすることは、テーマによっては辛い時がありますが、「自分の好きなものの話」を通して自分を語るのは、自分から少し距離ができるので、カウンセリングの緊張感が低くなるのもとても良いことだと思っています。

「この人の活動にこんなにワクワクするのはなぜなんだろう?」
「この作品のどこが自分にヒットしたんだろう?」

というように、ぜひ自分の好きなものからご自分のこころを探索してみると、「やっぱり好き!」という気持ちが高まって、楽しい時間が過ごせるかもしれませんね(ストレスが溜まっているときにやるとさらに良さそうです)。

もちろん、カウンセリングの中でお話しいただくのも大歓迎です。

個人的なことですが、この本を読んで、いきいきと語っておられる執筆者の方がとてもうらやましくなりました。サブカル好きの端くれとして私も語ってみたくなりましたのでサブカルチャーとこころの関係について、このノートでも時々記事を書いていけたらと思っています。


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