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伝説の漫画『天才たくぼん』


4つ上に兄がおるんです。
で、子供の頃の話なんですけど、たまに漫画を描いて僕に見せて来てた時期があったんです。
漫画家志望とかではないんですけど、あれは何やったんですかね。



たぶん僕が幼稚園とかの時やったと思います。




それはちょうど日本がバブルに突入するちょっと前の











熱い…時代でした……












何らかの物語が始まりそうな余韻だけを残して、このまま話を進めます。


その漫画なんですけど、例えばタイヤだらけのヒーローが変形して人型になって、タイヤを飛ばして怪人を倒すヒーローものとか、いかにも子供が考えたって感じの作品でした。さすがに向こうも小3とかなんで絵も字もド下手くそやったんですけど、幼稚園児の僕には割りと面白かったんですよね。




で、ある日の事。机を見ると


『週刊たくぼん』


と書かれた、ノートをちぎった紙をホッチキスで留めた束が置かれてあったんです。『たくぼん』というのはおそらく、兄の名前である『たくや』から取ったと思われます。そして右下には小さく『第一号 0円』と書かれていました。
まさかの作者一人のマンガ雑誌を創刊したみたいなんです。


中身はさっきのタイヤマンみたいなヒーローものとか読者投稿風のダジャレのコーナーとか。
で、めくって読んで行ってたら


【天才たくぼん】


っていうタイトルの作品があったんです。


『えっ、週刊たくぼん、の、天才たくぼん?』


齢4歳で我が目を疑う事ってあんまりないと思います。
凄いですよね。週刊少年ジャンプで『少年ジャンプ』っていう連載が始まるみたいなもんです。もう、この作品と心中するくらいの覚悟なんでしょう。
編集長の力の入れようが伺えます。


その天才たくぼん、4コマ漫画やったんですね。
たまたま全て記憶してますので、今回特別に天才たくぼん第一話、全コマの内容を紹介したいと思います。原本が手元にないので台詞とイメージ画像でお楽しみ下さい。





画像1

謎の男『たくぼーん』





画像2

謎の男『おーい、たくぼーん』





画像3

謎の男『たくぼーん、たくぼーん』





画像4

謎の男『犬を飼いたいんだ』

たくぼん『だめだ』











これで終わりです。







で、4コマ目の下には

『たくぼんは、なぜことわったのだろう?』

と、書かれていました。







まさかのミステリー!



いや、これはもう、哲学だ!





『あなたは誰?』

の一文で一世を風靡する【ソフィーの世界】が出版される何年も前の話です。




男はなぜ犬を飼いたかったのか?




たくぼんはなぜ断ったのか?




2人はどういう関係なのか?




そもそも雑誌本体の名前を冠したタイトルを授けられた程のメイン作品がなぜ4コマなのか?



その渦巻く全ての謎が


『いや、どうでもええわ!』

の一言で方が付くという、非常に重厚で深みのある第一話でした!








残念ながら週刊たくぼんはこの後すぐに廃刊となり、天才たくぼんの謎も解明されぬままとなってしまいました。
日本経済がまだバブルで色めき立つ前だったという事が悔やまれます。









でも、今でも思うんです……







あの2人は家族というより、友人同士のルームシェアだったのではないか……?



室内の雰囲気なのに家具が一切描かれていない、つまりあれは閉鎖病棟の患者とカウンセラーだったのではないか……?



4コマ漫画を起承転結の『起』だけで終わらせるってどういう精神状態だったのか……?




そしてそう思うたびに


『いや、どうでもええわ!』


の一言で自分を落ち着かせるという日々をあれからずっと繰り返しています……。















助けて😂



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