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【 人事担当が話す昇進、昇格の仕組み 】非正規社員から正社員に

まず初めに今の仕事の内容やお給料に満足をされている方にとっては不要な情報になりますのでそういった方には合わない記事になってしまいます。
「昇進したい」「お給料を上げたい」「自分のやりたいポジションで働きたい」などの向上心をお持ちの方は是非読んでみてください。
ここで紹介することは私本人が実際に5年間で4回昇進、5回の昇給をしたことを元にまとめたものになります。

お伝えしたい内容が多いのでここではまず非正規社員の方が正社員になりやすくなるために必要な行動をまとめます。

1.雇用形態の違いによる働き方の違いを理解する

同じ職場内でも多種多様な雇用形態が存在しその雇用形態ごとに働くスタンスが変わります。まずどのような雇用形態があるか、またその雇用形態の違い(雇用主、雇用期間)がどのようなものかをまとめます。

 雇用形態一覧
 ・正社員(フルタイム、短時間)
直接会社に雇用されていて、終身雇用が基本になっている
 ・契約社員(有期雇用契約、無期雇用契約)
直接会社に雇用されていて、期限が設けられた雇用となる
(無期雇用契約の場合は期限が設けられていない)
 ・パートタイム社員
直接会社に雇用されていて、正社員よりも1日当たりの労働時間が短く、期限が設けられた雇用となる
 ・派遣社員
派遣元の会社に雇用されていて、お互いの意思が一致したときのみ契約が更新され働く事ができる
 ・業務委託契約を結ぶ事業主
事業主本人が個人事業主となり、お互いの意思が一致したときのみ契約が更新され働く事ができる
 ・自営型テレワーカー
事業主本人が個人事業主となり、お互いの意思が一致したときのみ契約が更新され働く事ができる

なぜ雇用形態をまとめたかといいますと自身の雇用形態により「昇進」や「昇給」をする上で目指す方向が全く異なってしまうのでまとめました。
この中で契約社員、パートタイム社員、派遣社員の方についてはまず「正社員」をめざしましょう。
※業務委託契約を結ぶ事業主と自営型テレワーカーの方については自身で作成した成果物に対して値段が付きお金を受け取っているのでここでは割愛いたします。

ここまではネットで調べれば出てくるものになります。

2.正社員になるためには

まず初めに契約社員、パートタイム社員、派遣社員それぞれの方の会社が期待する違いを知りましょう。

2.1 会社が期待する違い

契約社員、パートタイム社員、派遣社員のそれぞれは雇われるタイミングが違うだけで期待されている働きに差はありません

 ・契約社員
会社内で走っているプロジェクトを補助することを目的とし、そのプロジェクトが終了するまで働いていただく
 ・パートタイム社員
通常業務内で正社員だけでは運営が回らないときに補助をするために働いていただく
 ・派遣社員
急遽人員が必要になったときや直接雇用をするリスクをその会社が背負えない場合に外部企業に依頼をし働いていただく

では正社員とどのような違いがあるのかを会社側(雇い主側)目線でまとめます。
(以下契約社員、パートタイム社員、派遣社員をまとめて非正規社員とします)

 ・業務の内容
非正規社員:上司から言われた業務をこなすこと
正社員:上司から言われた業務をこなすだけだとギリギリの及第点
 ・業務への責任
非正規社員:基本的に上司がすべての責任を持つ
正社員:自身の業務に責任持ち、最上級の結果を導き出すことに尽力する

業務内容そのもので雇用形態を分けている会社も多いですが基本的には上記の違いから生まれる差になります。
ここで私がよく使う言葉を出しますと、「受動的な働き方」「能動的働き方」の違いです。

これだけと思う方もいるかもしれませんが、この二つの違いはかなり大きな差になります。

ここからが本題で正社員になるためにはどうしたらよいかに移ります。

2.2 正社員に登用されるために知っておきたい会社の都合

まず初めにとても重要なポイントをお伝えいたします。
「正社員になりたい」と自分の意思をしっかりと直属の上司や人事権を持っている者に表明することが大切です。
こんなことを言わないといけないの?と思う方もいるかもしれませんが、上司からしたら正社員になりたいと思っているのかどうかというのは言われなければわかりません。実際に今の働きに満足をしていて正社員になりたいと思っていない方というのも多くいます。
また正社員になりたいかどうかわからない相手に対して上司が注力するはずもありません。逆に言えばこの意思表明をすることで同じ雇用契約で働いている他の人よりも一つ前に出ることができます。

次に会社の立場からまとめますと、会社としては「良い人財の確保」ができる機会をいつでも伺っています。
全く新しい人を一人正社員として雇おうと思いますと雇うところだけで数十万円の費用と採用担当者数名が膨大な時間を用いて応募者全員と面接を行います。採用担当者の給料を考慮すると一人雇うために100万円かかることも珍しくありません。
その中で非正規社員から正社員への登用というのはとても都合がいい機会になります。

2.3 なぜ正社員になれないのか

でもうちの会社では非正規社員から正社員になる人はほとんどいないと思う方もいるかもしれません。そこに考えられる理由は大きく2つになります。

1、会社にこれ以上正社員を雇う余力がない
2、非正規社員の中に会社が求める「良い人財」がいない

労働者から見た場合
1については「会社の都合」、2については「本人の能力がまだ満たしていない」となります。

1については会社の収入が上がることで正社員を雇う余力が生まれるというのが基本的な考えになります。
しかし「うちの会社はそんな余力ない」と悲観をする必要はございません。
小さい企業の場合は決められた業務しかできない非正規社員よりも複数の種類の業務を任せることができる正社員の方が好まれます。
大きい企業の場合は余力がないタイミングというのもありますが、大抵は残してあります。ただ単純に正社員を増やしても会社としての収入が増える見込みがないと判断している状態が多いです。正社員を増やすことで収入よりも給料が大きくなると予測される場合は正社員を増やそうと思いません。
逆に言えばあなたを正社員にしたら給料分よりも収入が増えると思ってもらえればいいだけです。

ここで一番よくない考えは「うちの会社はそんな余力ない」と決めつけてしまうことです。もちろん会社の収入、支出の内訳や内部留保の金額、資産など経理、財務状況をしっかりと把握しての判断であればもちろんそれが正しいと思います。しかしそこまで把握している人が非正規社員であるとは思えません。

そんな中で正社員や上長の方が「会社に余裕がない」という言葉を使うことがあると思います。しかしそれは「正社員を受け入れる余裕がない」ということではなく、ごく当たり前の抑えられる支出を抑えたいということです。「必要のない出費を減らす」ということは私生活でも皆様考えたことがあると思いますが、それと同じです。

2.4 正社員への道筋

ここまで読んでいただければ道筋は見えてきているかと思いますが、これを読んでくださっている方自身が「会社にとって良い人財」になることです。

ただこの「会社にとって良い人財」というのが具体性がなくどうしたらよいのか悩んでしまうかと思います。ですので全般的に言えることを下記にまとめます。

1、「正社員になったらやれる」という今の契約に甘えることを捨てる
2、現在の契約内で与えられた業務だけをこなす仕事から
  他の方の業務を知り、お手伝いができることを積極的に探し行う
3、与えられた業務以上のことをする場合は必ず上長に報告、相談をし指示
  を得てから行う
4、契約内容や役職がどんな相手に対しても絶対に不和を生まない
5、「私の仕事は完璧」と思わない
6、自身が関わった業務には責任感を持って行う
7、ミスをしたときにしっかりと謝罪、リカバリーの姿勢を見せる
8、同じミスは繰り返さない
9、評価をするのは自分ではなく「上長」である

上長の立場から上記のことを説明いたします。

1、「正社員になったらやれる」という今の契約に甘えることを捨てる
上長からしたら口で何と言われても、実際の働きが伴っていなければそこを評価することはできません。正社員なってもらっても本当できるのか?という不安がより強くなります。

2、現在の契約内で与えられた業務だけをこなす仕事から他の方の業務を知り、お手伝いができることを積極的に探し行う
1からの続きになりますが、「実際にできるところを証明する行動」につながり、信頼を獲得することができます。

3、与えられた業務以上のことをする場合は必ず上長に報告、相談をし指示を得てから行う
報連相は働く上での基本という言葉を耳にしたことがあるかと思いますが、まさにその代名詞ともいえることです。相談をせずに行った場合の評価は
「いらないことをする危険要素を含んでいる人」とかなり大きなマイナス点になります。

4、契約内容や役職がどんな相手に対しても絶対に不和を生まない
人間関係のトラブルを抱えている人はできる限り遠ざけたいと考えます。
それが決してあなたが原因でなかったとしても上長はあなたのすべてを知っているわけではありません。原因の真相を見出してもらえず、「人間関係のトラブルを抱えている人」というレッテルを張られてしまいます。
この人間関係のトラブルを抱えている人というのは上長にとってはとてもパワーを使い、得られるものが何もない「ハイリスクノーリターンの人」となり、その人をずっと見続けなければならないリスクは取りたくありません。

5、「私の仕事は完璧」と思わない
「私の仕事は完璧」と思っている人は自身の仕事にミスがあると思いもしません。その結果チェックを怠ってしまい、ミスが出てきてしまいます。
人は誰であったとしてもミスをします。
「自身の仕事に自信を持ち、その上でしっかりとチェックをする」ことでミスは減らせます。ミスが多い人はやはり上長からはマイナスの評価になってしまいます。

6、自身が関わった業務には責任感を持って行う
正社員の働きに期待されている業務の内容のところでもお伝えをいたしましたが、自身が関わった業務に対し、責任感を持って取り組んでいないと判断をされればもちろん正社員にしようとは思いません。

7、ミスをしたときにしっかりと謝罪、リカバリーの姿勢を見せる
6に続き、どうしたら「責任感を持って取り組んでいる」とみてもらえるかといいますと、ミスに対してどのような行動をとるのかがとても判断しやすくなっています。
稀に「全くミスを許さない上長」という人はいますが、基本的にはミスをした際の姿勢を見ます。

人がミスをしたときに取る行動は大きく4つに分かれます。
 ①人のせいにする
 ②受け入れるものの、対処は他の誰かに任せる
 ③受け入れ、自身で何とかそのミスを取り返そうと努力をする
 ④隠す

①、②のような対応をする人には責任の伴う仕事を任せることはできません。
④については隠し通せる自信があるのであれば試してみてもいいかもしれませんが、バレてしまったときに失う信頼はとても大きく、正社員への道はかなり遠のきますのでお勧めしません。
自身の中では「小さなミス」と思っても実はそれが「大きなミスに繋がっている」ということはよくありますのでしっかりと報告はしましょう。

残る③の行動は逆に好印象を与えることができプラスの評価になります。
ただし間違っても「わざとミスをしよう」とは思わないでください。それは気づかれますし、逆効果になります。

8、同じミスは繰り返さない
7でお伝えしたリカバリーには「同じミスをしないための対策をすること」も含まれていますので、せっかくいい対応をしたのに繰り返してしまうと評価は下がってしまいます。

9、評価をするのは自分ではなく「上長」である
こちらは言われなくてもわかっていると思う方も多いかもしれませんが、わかっていても「理解できている」人は少ないです。
「私はしっかりと仕事をしているのに上長が見てくれないから評価されない」のではなく、上長からしたら「まだ足りていない」という評価なのです。自身の仕事を振り返り、「足りない部分」を必死に考え絞り出して、黙々と上記で述べたことに取り組むことでその「足りない部分」を埋めていくことができます。

また上長との信頼関係がしっかりと結べていると感じられるのであれば聞いてみるのも一つの手段です。ただし聞き方は「なぜ評価されない」などの責める形ではなく、「私はどうしたらもっと良い仕事ができますか」のようにアドバイスをもらう形での聞き方をお勧めします。
もしはぐらかされるようであれば上長との信頼関係を構築するのに失敗していますのでそこから見直す必要があります。

正社員になるためにはの項目は以上になります。

長くなってしまいましたのでこのあたりで一回終わりにいたします。
次回の記事の内容は「昇進、昇格、昇給の違いについて」を話します。

#ビジネス #給料上げたい

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