また逢える
小学生のとき、待ちに待った家族が!
彼はシェパードと柴犬のハーフ。口周りが少し黒くて、筋肉の付き方が美しい犬でした。名前はハッピー。
散歩が嫌いで、連れて行こうとすると全力で抵抗。屋外に小屋をつくり、運動不足解消のため、なるべく庭を移動できるように工夫をしながら飼っていました。
私の家族であり、友達。学校から戻ると、尻尾をブンブンと振り、母に叱られ、落ち込んでいるときは涙をペロリ。
思春期も、彼のおかげで大暴れせずに済みました。
しかし、高校生になり、4月のある雨の日、誰にも苦しいと告げず、彼は虹の橋へ・・・。せめてお別れを言いたかった、気付かなくてごめんねと、冷たくなった彼の体を撫でました。
それからちょうど1年、バス通学をしていた私は、受験勉強の疲れもあったのか、つい寝過ごして数駅を通り過ぎてしまい・・・、寝ぼけた目を擦りながら降りた瞬間、ハッ!
可愛い柴犬が、こちらを見てしっぽをフリフリ、おすわりしていました。
最初は野良犬だな、最近は珍しいなと思ったくらいで、それよりも家まで徒歩で帰ることへのダルさに意識が向いていました。
ここからです。歩いても、歩いても、彼は私の後をついてきます。とても嬉しそうに・・・。あれ?何か変?
無意識に出た言葉が「元気?」でした。まるで頷くように、彼は私の横を歩きました。
自宅までは2km以上の距離があり、途中、走ろうと、自転車に乗り換えようと、全力疾走で追いかけてきて、ついに自宅まで。
さすがに家には入れてあげられないからごめんねと言い、中に入りましたが、玄関の窓から見えるのは、庭でお腹を見せ、ごろりと寛ぐ姿。
父に、「犬がついてきちゃった、どうしよう」と相談すると、「あっ・・・、そういえば今日はハッピーの命日だよ」と。
「そうだ!」思わず鳥肌・・・。
母が帰宅すると、飛びつくように嬉しさを表現していました。そうです、母が戻るまで、どこにも行かずに、座って待っていたのです。
母にも状況を伝え、裏口からハッピーの小屋があったあたりにお線香を。
般若心経を唱え、玄関に戻ると、犬のいの字も居なくなっていました。母が近所中探し回りましたが、どこにもいません。
あれはきっとハッピーが会いに来てくれたんだと、それから、ことあるごとに我が家の七不思議のひとつとして語り継がれています。
またきっと、逢える。
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