曲はどうやって生まれるのか②【アーティストの大切なものを発掘する作業】
こんにちは、hikkyです。
職業は作詞作曲家です。派遣で働きながら。
なんで作詞作曲をしているかというと、自分のスキルや経験の中で、現状一番人の役に立つだろうなと思ったからです。
関わる人とお互いが幸せである、ということを重視しています。
タイトル画像は、つい30分前に完成した曲の歌詞カードです。
思わせぶりにモザイクをかけてみました。
素敵なアーティストの方に歌って頂ける予定の曲です。
まだ世界のどこにも出てない。
予定で終わらないように一生懸命作ってます。笑
昨日の仮レコーディングの音源を、何回も繰り返し聴きながら「残りの歌詞書かなきゃなあ…」と思っていたら、突然歌詞がおりてきました。
そういうもんなんです。笑
(昨日のブログを参照ください)
自分でもどうやって作ったか覚えてない、ということも多いので、覚えている範囲で「どうやって曲を作っているのか」を書いていきます。
これは「人から曲を依頼されたとき」という前提付きです。
①歌ってくださる方の情報収集をする
まずはTwitterを活用します。
今のところ関わった方は、幸いなことに全員Twitterを使っているので、過去のツイートや最新ツイートをめちゃめちゃ見ます。
普段何を考えているのか、何を大切にしているのか、自分なりに「こういう人じゃないか」という仮説を立てます。
そのうえで、可能であれば、なるべく直接会って話します。
仮説と合っているかどうか、確かめます。
ズレていれば修正し、相手のパーソナリティを自分なりに捉える。
捉え所がないと、ここでつまずきます。
②テーマを決める
テーマは何でも良い。「愛」「命」「夢」などざっくり決めます。
ポップにするのか、ロックにするのか、バラードにするのかもざっくり決めます。
これが決まらないと、何も生まれません。
少し横道に逸れますが、自分で歌うための曲は、今はたぶん書けません。
歌いたいと思っていないし、テーマもない。
〇〇さんに歌って欲しい、そしてたくさんの人に聴いて欲しい、という気持ちがあるから楽しく作れるけど、それがない作曲作業は拷問です。
③イメージを固めて、ひたすら考える
イメージが固まるまでは、作り始めません。
この作業は3日の時もあったし、2週間以上かかった時もある。
この時にすることはライブを見に行くことです。
もしくはYouTubeに動画が上がっていたら、繰り返し鑑賞する。
作った曲をライブで歌う時の光景を想像します。
④ギターを持ってイメージに合う響きを探す
これは私独特のやり方かもしれません。
曲の根幹になるコード(和音)を探す。
ギターというのは不思議な楽器で、同じCというコードでも、押さえ方が複数あります。響きも全然違う。
私の場合は基本的に、曲の根幹になりやすい「メジャー」「マイナー」「メジャーセブンス」「マイナーセブンス」、12音階なので48種類のコードの中から、イメージに合うものを探します。(※たまに例外あり)
イメージが固まっていないと見つかりません。
例えば、タイトル画像の『drop』という曲はDM7というメジャーセブンスコードの響きが中心になっています。
DM7というコードは、今まで出会ったギタリストの多くが「一番好き」と言う、人気者のコードです。
スピッツの『ロビンソン』にテーマのコードがあるとしたらDM7です。
⑤コード進行を決めていく
私の場合で話しているので、改めてご了承ください。
これも人によって、場合によって違います。
私の場合は、メロディより先にコード進行を決めることが多い。(メロディが先の人の方が多いかもしれない)
どうやって決めるのか。
簡単に言ってしまうと「パクる曲を決める」に近いです。
この表現は誤解を招くかもしれませんが、どんなに大物でも誰かの考えたコード進行を必ずパクっています。
始めて作曲をしたのは高校2年生の時で「やった!すげえ、俺!」なんて思っていましたが、GOING STEADYの『もしも君が泣くならば』とほぼコード進行が同じでした。
これがないと大概「ただの気持ち悪い曲」になります。
東京事変なんかはこれに反した曲もあります。
aikoさんもそうです。
数多くの曲のコピーをするのは役に立ちます。
コード進行の引き出しが増える。
<実際に最近コード進行を参考にした曲>
・Mr.Childrenの『抱きしめたい』『HERO』『未来』
・サザンオールスターズの『TSUNAMI』
・大塚愛さんの『Cherish』『ポケット』
・Acidmanの『赤橙』
・化物語の『Staple Stable』
などなど。
コード進行はドラマやアニメのあらすじと一緒です。
そこにどんなセリフをつけるか、演出をするか、は別の話で、大筋をつけていく作業です。
好きでよく聴いているアーティストの影響を少なからず受けます。
⑥メロディと歌詞をあてていく
これは『詞先』『曲先』『同時進行』のどれもある。
作詞と作曲を別の人がやる場合は、必ずどちらかが先に来るのですが、正解は何とも言えないところです。
私の場合は、最初は『詞先』でキーワードを作り、その言葉やフレーズにメロディを乗せる。
5~20秒のキーフレーズが出来たら、残りはそのフレーズが求めている言葉やメロディを探す、という作業です。
キーフレーズが出来たら、詞とメロディは90%くらい完成したようなものです。
あとは無理をせずに、おりてくるのを待つ。
ただし、歌ってくれる方のこと、ステージで曲を歌う姿を考えて想像することは毎日欠かしません。
曲を依頼されて提供する立場において、詞とメロディは歌ってくださる方が私に渡してくれたプレゼント、という捉え方をしています。
掘り起こす、拾い上げる、泥を落として手に取る作業をしている、という感じ。
「なくても死ぬわけじゃないけど、とても大切なものが埋まっている発掘作業を任せてもらっている」という感覚です。
上手く言えなくて悔しいな。
⑦アレンジをする
ドラマやアニメでいう演出ですね。
ここでも大いにパクリます。
やはり自分の好きなMr.Childrenや大塚愛さんといったアーティストの曲を例に出すことが多いです。
「『黒毛和牛上塩タン焼680円』みたいな感じ」など。
私の場合は、一人では曲を形にすることはできません。
iPhoneのボイスメモに弾き語りすることしかできない。
アレンジャーのmikkyに頼み、ベーシストのTAKAHIROに頼み、本職のギタリストが必要ならrikkyや敏弘に頼む。
自分一人ではこれは出来ない。
丸投げします。
ただ、自分が思い描いている曲の姿は、妥協することなく伝えます。
「違う!こうじゃない!」と言ったことも何十回、何百回あったかわかりません。
そんな私の思い描く曲の姿を、彼らは想像の120%の形にしてくれる。
それぞれが影響を受けた音楽が背景にありつつ。
例えばTAKAHIROのベースは、GLAYやL'Arc~en~Cielの影響が色濃く出ています。
私は作詞家・メロディメーカーですが、プレイヤー・アレンジャーとしては素人以下です。
自分ですべてをすることは、今のところするつもりはありません。
大枠のものを創造することに特化して、調整の部分は自分より向いている人に任せる、の方針で当面は行くつもりです。
その方が完成した曲が良いものになるからです。
曲の出来る過程を書いてきました。
ここまでお読み頂きありがとうございます。
⑤~⑦は、順番が前後することもあります。
現に今日詞と曲が完成した『drop』という曲がそうでした。
昨日の朝に一番の歌詞とメロディだけ出来て、大枠のアレンジを決めて、仮のデモを聴いていたら、詞の方から降りてきてくれた。
1か月かけても、サビの30秒くらいしか形になっていなかった曲が、わずか1日半ほどの間に曲になる姿を見せてくれた。
おそらく2~3か月の間に、歌って頂ける段階になると思います。
このブログで報告できるのが、本当に楽しみです。
あー、生きてるって最高!
また明日もご覧ください!
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