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スタッフ面談はリアル人狼ゲーム

日本一のかご屋を目指す、ORIKAGO代表のひかるです!現在はケニアに出張中。ケニアのモノづくり工房で日々、奮闘しています。

日本にいる間も、ケニアの工房スタッフとは毎日、チャットやメールでやり取りをしています。ただ、全員がスマホを持っているわけではないのでやり取りをする人数が限られてしまうこと。また、基本的にスタッフさん達は「良い報告」しかしたがらないので、現場に来ないと中々見えないところも多々あります。

そこで、訪問するときは必ず各スタッフと個別に面談をして、いない間の出来事などを聞いてみるのですが、それまで和やかなムードで働いていたはずなのに、出てくる出てくるマイナス情報…

今年はどんなトラブルが発覚するのだろう、と毎年この面談に向かうときは胃が痛くなります💦

みんなと話していると、この感覚何かに似ているな・・・と感じて思い出したのが『人狼ゲーム』。誰がウソを言っているのか、誰と誰が手を組んでいるのか、こちらも気合を入れて観察しなければいけません。

親友同士の告げ口バトル

ローズは私の親友なんだけど…」と話し始めるジュリーさん。実際に、ジュリーさん、ローズさんは傍から見て仲が良さそうで、いつもご飯を一緒に食べたり、一人が残業で遅くなっても待っていたり、休日にはお互いの家を行き来する仲だそう。(※個人の話のため、仮名を使っています)

ところが、面談時になるとジュリーさんからは真っ先にローズさんに対しての愚痴が始まります。

「指示を聞いてくれないし、私が何か指摘するとすぐに『あなたに何が分かるのよ』って怒って話にならない」「反省をしない人だと思う」という始末。

さて、実際はどうなのだろうと今度はローズさんを呼ぶとこちらもこちらで初っ端から「ジュリーは私の親友だけど…」と言い出します。嫌な予感が的中して、こちらジュリーさんの告げ口大会。

「ジュリーはいつも偉そうにしていて、他の人たちに指示を出すときも上から目線」「村の女性たちにもキツく当たっていて、辞めた方がいいと言ったのに聞かないの」

親友だけど~、と同じように話始めるところは仲良しだからなのかな?と思わず笑ってしまいそうになるけれど、双方はいたって真剣。

じゃあ、単純に最近ケンカでもして腹いせに言ってるのか、と疑ってみても、面談が終わって工房に戻ると、相変わらず一緒にご飯を食べて仲良くおしゃべりしているので、尚のこと不思議な関係性です。

探偵気分の事実確認

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二人の間でケンカがあったから出てきた話なのかどうか知るには、やはり事実確認が必要です。そこで、他のスタッフとの面談時に、こっそり聞いてみます。

「そう言えば、村から女性たちがかごを届けてきてくれる時ってどんな様子なの?」「ここ一年で変わったこととかある?」と、笑顔で、疑いを悟られないように。

何も気付いてない、特に思いつかない、という人ももちろんいるのですが、この機会に話してみようかな、という人もやはりいて。この辺りの聞き方は、ここ数年で少し上手になってきた気がします。ちょっとした探偵気分ですね♪

結果的に分かったのは、ジュリーさんの横柄な態度はみんなの共通認識だったようで、ローズさんがたまに反発したのも、その言われ方に腹を立てていたからだと思う、とこれまたあっさりと事実が判明してしまいました。

結託しない人狼ゲームなのが救い

ここで一つ可能性として上がるのはチーム全員でジュリーさんを悪者にしようと決めたケース。いわゆる、イジメやジュリーさんが全員に「ハブられている」場合を疑うのも必要です。

今後、こうしたケースが全くない、とは言い切れないのですが、私がケニアに通うようになって一つ救いに感じているのは、陰湿な結託がないこと。端的に言えばみなさんとても素直なのです。

ローズさんは、ジュリーさんに対しての愚痴を実はサラさんに相談していた、と認めてしまうし、サラさんもサラさんで「私はローズからも聞いているから他のスタッフと違う見方をしているかもしれないけれど」と言ってきます。

もしこれが本当の人狼ゲームだったら、みんなあっさりと負けてしまうかも。

イジメがある場合は、上手く隠そうとする心理が働くので、仲間を作って結託したり、より巧妙なウソを計画したりすることがありますが、ケニアのこの小さな工房では、どちらかと言うと意図的にウソを付いているのではなく、お互いの正義感のぶつかり合いから発言が食い違ってくるので、これはこれで少し厄介かも。

相手を知ることで聞き出せる情報も

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工房スタッフの中では6年以上の付き合いになるスタッフさんもいるので、私も一人ひとりの性格が分かってきています。この人は、トラブルを避けたいタイプだな、この人は周りを結構見ている人だな、この人は実はしゃべりたがりだな、等など。

今回のようにあっさり事実が判明するケースもありますが、中々事実が見えず厄介なケースの場合は、こうした個人の性格を見てアプローチを変えることもあります。

前途のローズさんは、仕事に対してとても熱心な人で、何より「自分が工房運営に貢献している」ことを誇りに思っている人です。工房の仕事をとても好きなのが伝わってきて好ましいのですが、少し調子に乗って自分の手柄話をするときにボロが出ることがあります。

以前にも、既に辞めてしまったスタッフさんに対してではありますが「彼女が会社のお金を使いこんでいるのを知っていたから、クリスチャンとしてダメなことだからちゃんと返すようにと諭したのは私なのよ」と笑顔で語られたことがあり、それは把握していなかった不正だったので「へ~」と平常心を装いながら内心ビックリしたことがあります。

引きずらない人間関係

こうした人間関係について聞きだすことは、マネージメントとしてはとても大切。課題を聞きだしたり、不正を暴いたりという意味もありますが、今は小さなこじれでも、これが大きなこじれになってしまうことがあると過去の経験から学んだため、面談はかなり慎重に、神経を使って行います。

なので、面談後の私は、普段飲まないコーラを飲んで糖分を摂取しないとやってられない!という気分になるのですが

工房に戻ると、当事者のみんなは(例え、不正が暴かれた場合でも!)ケロッとしている、というよりもはや清々しい顔をしていることが多くこちらが拍子抜けしてしまうほど。

「あなたが私のこと、告げ口したの?」とケンカになってもおかしくないような状況であっても、結局はいつも通りの空気感に戻ります。

話ができたことでスッキリしたのか、あまり引きずらない性格なのか?もしくは土地柄に基づく生きていく術なのか?

ネガティブな感情を割と長く引きずってしまうタイプの人間である私にとっては、ちょっとうらやましいです。

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かご専門店ORIKAGO 代表 岡本ひかる
Twitter: @Hikaru_Amber
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ORIKAGOのHP:  https://www.orikago.com
運営会社アンバーアワーのHP:  https://www.amberhour.com

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