優秀な人に会いまくって感じた。優秀な人とは。
プロローグ〜授業中の電話〜
2018年7月末 授業中に一本の電話がなった。
僕の恩師からだ。
『1年間シンガポールくるか?』
突然すぎる言葉にも関わらず、まるで何年間も計画していたかのように言葉を返した。
『行きます。』
恩師は、大学生の僕と同じくらいの年に起業している。
そして、若干30歳にして上場企業を築いた。
就活生なら誰しもがわかる会社の創業者である。
シンガポールがどこなのか、日本から出る事がどうとか、僕にはそんなものどうでもよかった。
その授業が終わり、学務に行き、すぐ休学手続きに入った。
パスポートも持っていない状態で、取得予定のまま、飛行機のチケットを取った。
搭乗2週間前にパスポートを取得し、なんとかシンガポール行きの飛行機に乗った。
物理学に万有引力というものがある。
マーライオンでもなくマリーナベイサンズでもなく、僕をシンガポールへと引き寄せる大きな存在がそこにはあった。
1.ユニコーンを作りたい!!
シンガポールについた。
車には無頓着な僕だったが、唯一乗りたいと思う車があった。レクサスのやつである。名前ははっきり覚えていない。
空港に恩師が、車で迎えに来た。
乗っていた車がまさしく、僕が憧れるそれだった。
どこまでも僕を魅了してくれる。
恩師は紛れもなく僕の理想の人物である。
出発前にこんな事があった。
『ひかる、ユニコーンてしってる?』
『しってます!』
僕の頭の中には角の生えた馬が横切った。
未上場にして時価総額が1000億超えの会社をこの業界ではそういうらしい。
恥ずかしながら経営の道を歩もうとする身でその時初めてユニコーンの存在を知った。
『僕、ユニコーンつくりたいっす!!』
この言葉を発したとき僕の人生は大きな一歩を歩みはじめた気がした。
まるで『海賊王に俺はなる!』のあれと同じだ。
恩師は僕に会社という環境を用意してくれた。
会社にはUniqueOnという名前をつけてもらい、僕の一年が幕を上げた。
恩師も探し求める『ユニコーン』これを作ることが僕の人生のテーマになった。
2.優秀さとは仮説の質の高さにある。
中国超大手企業、アリババのジャックマーは以下の言葉を残している。
30歳になるまでは、誰かについていきなさい。小さい会社に勤めるべきだ。多くの場合、大きな会社はプロセスを学ぶのに向いているが、それは大きな機械の一部になるといことだ。しかし小さな会社に勤めれば、情熱と、夢を学ぶことが出来る。一度に多くの事を学ぶことが出来る。つまり30歳になるまではどの会社に行くかは関係ない。どんな上司に仕えるかだ。良い上司はあなたに違いをもたらしてくれる。
30歳になるまでにどれだけ優秀な人から学べるかが人生にとって重要なポイントになってくるということだ。
つまり、優秀な人を見極めなければいけない。優秀な人を自分の中に定義しておくことはとても重要なことに思える。
自分にとって優秀な人とはなにかこの質問に対して明確な答えを言える人は少ないように思う。
もちろんこの答えには正解はない。
だからこそ、僕の考えを述べようと思う。
この文章自体が僕の仮説によるものである。
このノートでの本題部分に入る。結論から言うと僕の優秀だといえる人の定義は
仮説の質が高い人
である。
仮説とは何か、それは答えを出す前のおおよその予想といったものである。
PDCAという言葉がある。
P[plan] D[do] C[check] A[action]
計画→行動→確認→実行
といったものである。
僕がいうものに関していえばPlanの部分の質の高さである。
そもそも、何をもって優秀とするか、本質的な意味は
ゴールまで最速で行く人
もしくはゴールまで確実にたどり着ける人である
と思っている。
受験というものをとっていえば、どのようにして志望校に合格するかという課題に対してこのPDCAを使っていく。
もちろん、この課題に関して、ゴールにたどりつく人を優秀な人であるといえる。
しかし、偏差値主義社会・学歴社会で生きてきた僕たちにとって、優秀というもの自体が、この定義になっているように思う。
出身大学を聞いて、「この人は優秀だ!」と錯覚してしまうものも、教育という洗脳の作用によるものであるように思う。
ただし、優秀な大学にはこの仮説の質の高い人が多いこともまた事実である。勉強をやるうえで、この仮説の部分はとても重要になるからだ。
いい大学に通っていることは優秀な人材にとって十分条件である。
僕の恩師は、人を雇うときに、人事コストを下げるために、学歴である程度選別するといっていた。
冷静に考えると、あるプロジェクトを自分でも把握しきれてない力量のものが2人いたときに、どちらに任せるか、確率的になるべく学歴の高いものに任せたほうが安心である。
結局何が言いたいかというと、僕たちが今まで優秀だとしていた定義は、本質的ではないが一つの解にはなり得るということになる。
3. 優秀な人と優秀でない人とが同じことをやったらどうなるのか。
シンガポールについてまず初めにやったのが、OEM・EC事業である。
OEMとは、簡単に言うと、どこかに発注した商品に自社のブランド付けて販売するビジネスである。
中国に提携の工場を作りそこで生産したものを日本に卸していた。
問題はECの部分になる。
売る作業に関してはマーケティング・プロモーションの工程が必要となる。
この作業に関しては本当にPDCAが重要になってくるのだ。
何も知識のない僕に対して、恩師はただただ任せてくれていた。
この事業の最初に恩師からあることをいわれた。
「この事業に関して重要な要因になってくるのは、これとこれとこれだ」
恩師はこの時点である程度の仮説が立っていた。
しかし、僕の知識も何もない状態ではその仮設に対しての的確なアプローチ方法がわからない。
1から、いや、ゼロからの始まりだ。
その間に迷走を繰り返した。
恩師は僕に直接的なアドバイスはせずに、学びの場所を与え続けてくれた。
4.始まった広告事業
『明日ミーティングあるからとりあえず、覚えといて。』
ボス(前述:恩師)から言われた。
唐突に事が動くのは慣れた。むしろ予定不調和な状態でいることに安心さえ感じ始めている。
突発的な予定以外で動く事が非常に億劫になった。
新しく広告事業やるぞ。
それだけ聞いていた。広告事業がなんなのか、まずは軽くそれを調べていった。
さぁミーティングが始まる。もちろんシンガポールと日本とのテレビ会議になる。
始まって驚いた。先方はなかなかの有名な広告代理店だ、さらに驚いたのが、相手のメンツはCEO.CTO.CMOと上から3人が並んでいた。
相手の腰の低さからボスの凄さを改めて実感する。
『今回こいつに任せるんで。』
と僕を紹介し、あとは基本的に何も言わない。
そこから聞いたこともない横文字をひたすら聞き取りながら、重要そうな情報をひたすらインプットしていく。
人間とは面白いもので、全くわからない単語に関しても、案外聞き流しながら頭に入れる事ができる。
おそらく、とてつもない緊張感と責任感によって僕の脳みそは今までにないほど使われていた。
ミーティングも終わり、事業にとりかかる。
結論からいうと僕はこの事業でひたすら赤字を出しまくる。
というより、シンガポールでやった事業に関しては血だらけといったところだ。
引き換えに学びを得た。
広告事業を経験し、
いくらいいプロダクトを作っても認知されなければ意味がない。
プロモーションコストの設計は客観的に見えるものとは違う。
そこの差で一気に市場を覆す可能性すらある。
そして、検証の軸の重要性。
を身を持って実感した。
ECに持ち込んで考えていく。広告の運用は少しずつだができるようになった。
そして、12月間近にして、商品の売上はかなり伸びてきた。
しかも、商品の価格を上げ、上げた分で広告を回す。
安い商品を売るよりもよく売れた。
プロモーションの重要性を知る。
こうして、どんどんと上がっていく売上に対して、僕のひとふりによって、全てを台無しにした。
売れ始めた、そのタイミングで安売りキャンペーンを打った。
大失敗かつ、いままで積み上げたものを棒に降った。
基本的には失敗から学ぼうのスタンスだか、どうやら取り返しのつかない失敗をしてしまったようだ。
この辺りから、EC事業において、重要なものの輪郭がうっすらと見え始めた、少し冷や汗が出始める。
遂にだいたいの検証が終わり、事業に対しての明確な仮説がたった。
その時に薄らと感じていたものは確信となった。
はじめにボスが言っていた。
この事業の仮説そのままであった。
そこに対してのアプローチ方法はという作業に入る。
ここでだ。この事業を通して典型的な優秀な人とそうでない人との差が出た。
自分がマネジメント側に立った時に、この事業をどちらに任せるべきかということを考える。
明らかに仮説の質が高い方に任せる。
僕が半年で気付いたものもある人にとっては初期の仮説に過ぎないかもしれないのだ。
じゃあこの仮説はどうやって質が高まっていくのか。
5.仮説の質の高め方
スパイラルアップという言葉がある。
基本的には、PDCAを1つのサイクルとした時に、一回転で語られる。しかし、このスパイラルアップという概念はこのサイクルを連結させていって螺旋状に進めていく事を意味する。
そして、このスパイラルアップを人生規模でできているかどうかが重要になってくる。
ボスはこれまでにとてつもない事業を経験している。もちろん関わった数社で上場を経験している。
上場なんかそもそもそんなに何回もするもんじゃない。
今までで宝くじの高額当選に何回かあたったことあるよ!
なんて言う人がいると、こいつはとてつもなく運がいいんだなと思うように、
何回も上場を経験しているというのは、とてつもなく優秀なんだなという話である。
それはさておき、それだけ多くの経験をしてきた人がこの事業を行う時に僕と同じ仮説レベルでのスタートになるわけがない。
色んな事業を行う上で、それらが連結しスパイラルアップしている。
つまるところ、若い内に色んな経験積みまくって、それらを連結させていきながら、更に挑戦し、仮設検証の質を高めて行くことに優秀さの答えがあるのだと僕は思う。
僕は自分の詳しい分野に関して、全く知らない人に対して、軽く質問することがある。
その時相手は紛れもなく、仮説状態で話を進める、その人の質が高ければかなり本質をぶらさずに話ができる。
もちろん、わからない領域に対して、『わからない』という事も優秀さの1つのように感じる。
学ぶ姿勢を持つことが質の高い仮説には必要不可欠であるからだ。
自分のわからない領域に関して仮説すら立てず、取ってつけた情報をならべたり、知ったかぶりをすることがかなり惜しい人にみられる傾向にある。
シンガポールであった人なんかは僕よりもずっと高次元でスパイラルアップしてきた人たちなので、僕の経験談よりもその人達の仮説のほうがずっと高いことなんかよくあった。
まとめ
結局の所『優秀:ゴールに対して確実にたどり着ける人』になるためには、仮説の質を高める事は必要不可欠であり、自分が行うすべての物から仮説の質を高める方向に連結させていくことが重要であるように思う。
仮説の質を高めれば、どのような事柄においても最良の一手を打てる事ができ、自分の描く理想に対してかなり近い位置からスタートができる。
有限な人生において、全体的に質の底上げをすることはとても重要である。
また成長(より質の高い仮説をたてれる状態)には自分より優秀な人に学ぶのが近道で、かつ全ての事柄から学ぶ姿勢が重要である。
当たり前だなと思うことを連連と並べただけのノート
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