視床痛の原因と介入アイディア
リハ塾の松井です!
以前からやっていた質問に答えるコーナーですが、新年度からの異動でバタバタでやっと時間がとれたので、また回答していきます。
お待たせしている方、申し訳ありません。
順番に必ず回答しますので、お待ちください。
さて、今回は以下のような質問をいただきました。
脳卒中後、体性感覚神経系の病変によって生じる神経障害性疼痛の総称を脳卒中後中枢性疼痛(Central Post Stroke Pain:以下、CPSP)と言います。
僕もデイケアで勤務している時、脳卒中後の疼痛に悩まされている方を担当したことがあります。
CPSPの病変としては主に視床で、今回の質問にもある視床痛はこれに含まれます。
なので、今回はCPSPってそもそも何なのか?リハビリではどう介入するのか?を解説していきます!
そもそもですが、脳卒中後の痛みで純粋にCPSPによる痛みだと判断するのは難しいです。
と言うのも、脳卒中後に起こる痛みの原因には以下のようなものがあります。
上記によると、筋骨格系の痛みが大半で、CPSPの痛みは全体の10%程度であることが分かります。
なので、そもそもの話になりますが、患者さんが訴えている痛みが本当にCPSP、視床痛なのかどうかというところが大事になりますね。
視床痛によってもたらされる痛みの多くは上肢の痛みです。
反対に、被殻病変による痛みでは下肢の痛みが多く出現するのが特徴です。
痛みの質としては、下記のような表現が多いです。
焼けるような痛み
刺されるような痛み
うずく
痺れるような痛み
このような表現、皆さんも聞いたことないでしょうか?
上肢の痛みで、かつ、上記のような痛みの表現をされれば、視床痛である可能性が高まります。
そして、鎮痛薬には神経障害性疼痛と考えてリリカが処方されたりしますが、あまり著効しないことがあります。
これは、CPSPの病態には中枢性感作が関与しているというのが1つの要因だと思っています。
簡単に言うと、長期間痛み刺激が入力され続けたことで神経系が歪み、元に戻らなくなってしまい(可塑的変化)、痛みの原因となるような要因がないにもかかわらず、痛みを感じてしまうという状態です。
中枢性感作は神経障害性疼痛ではないので、これの要因が強ければリリカはあまり著効しないでしょう。
病態を考えると、リリカよりもアミトリプチリンやノルトリプチリンなどの三環系抗うつ薬の方が効く可能性があります。
ここまでを踏まえ、リハビリとしてはどう介入するかという所ですが、
視床は脳のある部位から別の部位への信号を中継する場所で、各部位へ視床から混乱した信号が送られることが視床痛の1つの原因です。
なので、その混乱した情報、誤った情報を正し、運動-感覚を再統合していくことが求められます。
例えば、上肢を動かすと痛いというイメージを変化させるために、ミラーセラピーの要領で非麻痺側を動かしている様子を見せ、上肢を動かしても痛くないと刷り込ませるなどが有効である可能性はあります。
他にも、患側に振動刺激、スポンジやタオル生地などの触圧刺激を加え、痛み刺激以外の感覚に目を向けさせるなどが挙げられます。
どれも確実に有効であるとは言えませんが、やってみる価値はあるかと思います。
最後に、右麻痺の方で端座位で作業を行うと反対側の腰部が痛くなるという現象についてですが、麻痺側の体幹筋の働きが弱いとすると、端坐位では麻痺側につぶれるような形のアライメントになることが予測されます。
すると、麻痺側につぶれないように、非麻痺側の腰方形筋などの遠心性収縮で代償することになります。
それを続けると、非麻痺側の腰方形筋の過緊張で痛みが出現することは1つの仮設として考えられます。
もちろん、あくまでも1つの仮設なので、色々と評価しないとわからない部分はありますが、評価してみると良いかと!
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