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徒手技術を高めるには?3つのポイント

リハ塾の松井です!

最近、こんなご質問をいただきました。

徒手的な技術を身に付けるにはセミナーしかないと思っている。
コロナ禍で行けないので、どのようにしたら効率よく徒手的な技術を身に付けることができるか?

確かに、今はコロナウイルスによってオフラインのセミナーへは気軽に行ける状況ではありません。

そんな中でも徒手技術を高めるにはどうしたらいいか?

僕の意見を書いていきますね!


徒手的な技術と言っても多くありますし、僕が全てを網羅しているわけではないので、答えられる内容は限定的にはなりますが…。

僕が臨床で用いることがある徒手的な技術は、組織間リリースと呼ばれるものです。

筋肉と筋肉の間などの制限を評価し、その評価を元に制限を解消し、筋間の滑走性を促すというものです。

他の徒手技術もさわりくらいは学んだこともありますが、それを踏まえて徒手的な技術に共通するであろう大事なポイントは以下の3つだと思っています。

触診するための解剖学的な知識
・触診技術
・触ることで何が起こるか、何を目的とするか

確かに徒手技術を効率よく身に付けるならオフラインのセミナーで直接教えてもらうのが一番だと思います。

ですが、コロナ禍であってもなくても上記の3つは徒手系の技術においては重要だと思います。

今回はこの3つを中心に解説していきます!


触診するための解剖学的な知識

触診するには解剖学的な知識は必須です。

これがまず前提として身についていないと、触診できませんし徒手技術も形は真似できても本質的な部分は身に付かないと思います。

何故必須なのかと言うと、解剖学を元にそこにどんな組織があるのかを知っていないと、知らないものは触っても認識できないので触診できないからです。

例えば、上腕二頭筋の深層には上腕筋があって、外側には腕橈骨筋があって、内側には烏口突腕筋があって、というふうに知っていればそれぞれを触り分けることは可能ですが、知らないと触れるわけもありません。

他にも、肩峰や大結節、大転子なんかは点で表現される方もおられるのですが、点ではなく幅や高さがあるので立体的に触れることが大事です。

例えば、大結節の上面には棘上筋、中面には棘下筋、下面には小円筋が付着するため、大結節を立体的に触診できるとどこで圧痛があるのかを評価することができるので、その後のアプローチにも応用できますよね。

中には神経や血管まで触り分ける方や徒手技術もあると聞きますが、そこまでいくと実際触れているかどうかは表面からは確かめようがありません。

なので、まずは筋肉と骨の解剖学的なイメージを頭の中でできるようにし、それを実際に触って確かめる作業を繰り返し練習すると良いと思います。


触診技術

個人的には、触診も立派な徒手技術、徒手療法の1つだと思っています。

感覚的なものではありますが、この技術は療法士間で差が出る部分の1つかなと思います。

意外と意識したことのない方が多いかと思いますが、右と左、どちらが触診に適した手なのか考えたことありますか?

利き手の方が触診に適していると思いますが、必ずしもそうではありません。

触診するという行為は、こちらから一方的に触っているだけではなく、触ることによって得られる相手の情報を感じ取れることが必要です。

筋肉が硬い、柔らかい
皮膚が突っ張っている、たわんでいる
冷たい、熱い
つるつる、ざらざら

などなど、触ることで様々な情報を得られるはず。

そういった情報を得られやすい手はどちらなのか、一度考えてみてほしいわけです。

また、触診が上手い人の特徴は、筋肉や靭帯など組織と組織の境界を探すのが上手いことです。

教科書で筋肉を見ると、分かりやすいようにそれぞれが独立して存在するかのように書かれていますが、実際は筋肉も靭帯も関節もそれぞれが重なり合うようにして位置していますよね。

なので、正確な位置と走行を把握するには、隣り合う組織同士の境界を触診して見つけることが重要なのです。

境界を把握することで、それぞれの筋肉などの組織がどんな走行になっているのか分かるので、「あ、この筋肉が痛みの原因かも?」と仮説を立てて推論を展開していけます。

仮説を立てるのは、評価に基づいてなので、頭の中での想像ではなく、触って確認することが何より大事。

まとめると、

・左右どちらが触診に適した手なのかを知ること
・組織の境界を触れるように練習すること

この2つが大事ですね!


触ることで何が起こるか、何を目的とするか

僕の例を出すと、僕は普段筋肉の触診を重要視しています。

何故なら、筋肉の短縮や弱化によって関節のアライメントが決まるから。

さらに、受容器である筋紡錘からの感覚入力によって筋緊張を整えることができるから。

やってることとしては、モールディング、つまり、ハンドリングによって筋肉を正しい位置へ修正することで筋出力を発揮しやすくすることを指します。

モールディングによるメリットは3つあります。

・張力が高まる
・筋肉が収縮する感覚を学習できる
・血流が増加する

筋肉が低緊張、短縮などで適切な筋出力を発揮できない状態とモールディングにより筋肉の膨隆を作った状態では、後者の方が筋張力が高まるので、筋出力を発揮しやすくなります。

また、筋肉の走行も適切な位置へ戻すことで、収縮効率が高まって収縮しやすくなります。

他にも、筋出力が発揮できないのは、筋肉が収縮する感覚が分からないだけという場合もあります。

例えば、運動療法でも形だけ真似してもらって一見できているように見えても、触診して収縮を確認すると収縮してほしい部位がしていないことも多々あります。
そこで、モールディングによる張力の高まりと触ることによる感覚刺激および外部からの圧の高まりでどこにどうやって収縮するのかを学習してもらいやすくなります。

あとは、外部からの圧があることで血流も良くなります。
静脈の流れは筋収縮によって起こりますが、圧がかかっていることで収縮しやすくなるので、結果的に静脈の流れも改善し、血流が良くなります。

弾性ストッキングなどはこういった考えをもとにしていますね。


以上、徒手技術を学ぼうとしているから、あるいは学んでいる最中の方、そうでない方でも今日の記事は参考になると思います!

ぜひぜひ、日頃から触ることを意識的に取り組んでみてくださいね!


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