固定種の野菜を手に入れたい、と思っているあなたへ。固定種という野菜の特性をまずは知ってみよう。
まずですね、結論から言うと、固定種というお野菜は一般流通には全く向いていません。向いていないからほぼ流通していません。残念っ。
なぜ向いていないか?
「一氣に収穫できない」という特性があるからです。
種には2種類ある話はこちらに書きました
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なぜ一氣に収穫できないのか
F1種の場合、同じタイミングで100粒の種を撒いたら同じタイミングで100発芽し、同じタイミングで100収穫できます。これがF1種の特性。だから作付け計画にしろ価格設定にしろ、当然見立てしやすいわけです。
これって経営計画と一緒なんですよね。つくろうとしているもの、つくったものをお金にするにはどうするかを自然相手に考えるわけです。これってものすごーーーく大変なことなの、わかりますか?
お金にするためにつくっているのだとしたら(だって食べていかなくちゃ)同じ時期にできて、同じ時期に収穫して出荷できる、というのはたとえ自然相手だとしても大事なポイントです。出荷してはじめてお金になるわけですから(”出荷して”というところがポイント。売れたら、じゃないことがある)。
一方で固定種の場合。
100粒の種を撒いたら、10くらい同じタイミングで発芽。ということは、ほぼ全てが自分のDNAに組み込まれている発芽スイッチのタイミングで発芽します(水分量、温度、日照)←これをわたしは自分(種)の都合、という言い方をしています(笑)
なので、一氣に収穫はムリなのです。
もっと言えば、それぞれが持つ個性を尊重してつくっていると、いつ収穫できるのか、いつまで収穫できるのか、なんていうのは、全く読めないのです。寄り添うってさ、先が読めなくないですか?読む必要もないっていうか。。。
これが「固定種は家庭菜園向きなんだよ」と言われる所以です。
こんな個性を尊重して、作付け計画がつくれると思います?笑
いつどれくらい収穫できるか、が読めるようになるまでは10年以上かかると思います(わたしの師匠はほぼできるようになってるw)
それでも計画ありきではなく、あくまで寄り添って育てていくんですね。ま、固定種をつくる面白さはここにあります。←マニアックw
固定種野菜は流通していないのか?
そんな理由から固定種野菜は一般に流通はほぼないと思った方がいいでしょう。
もし手に入れようとしたら、
・固定種野菜をつくっている農家さんと知り合いになる(直接買う)
・自分でつくる
のいずれかかな、と思います。
ほかにもあるけど、ちょっと現実的ではないです。(在来種つくってるところに住む、とかね)
それと、やっぱり一般流通にのせると価格を揃えざる得なくなる。それでは固定種野菜をつくり続けるのは難しくなると思います。
わたしが固定種野菜を自分でつくろうと思ったのは、森と畑の子どもキッチンプログラムの2期生をスタートする時、無農薬野菜よりもっと真実である、固定種野菜を子どもたちに伝えたい、と思ったからでした。(固定種という野菜について学校で習いませんよね。種(タネ)のことって古事記と同じくらい大事なことなのに。)
その時に知り合いの農家さん(皆、有機栽培で無農薬でやっている方)何人かに「固定種野菜をつくってもらえませんか」とお願いしたのですが、皆さんに断られました。
・手がかかる
・発芽率・収穫率が低い
なので、発芽しなかった分の手間賃も払ってもらえるなら(要は固定種つくる畑の分全部買い取ってくれるなら)いいよ、という感じでした。
それくらい固定種はお金にするのには手がかかりすぎる、というのが一般的なのが農家さんの考え方です。
それで、仕方ない、自分でつくるしかないか、と、固定種だけをつくる畑をはじめたわけですね。
販売できるほどつくれるのか
実は固定種について知ったのはもっと前からでした。その頃から、今ではわたしの固定種の師匠でもあるコヤマさんが種を残すためにつくった野菜たちを、食べきれない分は販売する、という仕組みをスタートしました。固定種野菜の力づよさを知って欲しかったのでね。
ひかりの種お野菜BOX >> 詳細
たった3年前の話ですが、固定種野菜に興味を持つ人はそんなにいなかったと記憶しています。当時のわたしの伝え方の力量不足もあったのですが、、、わたしの周りでわたしの話から感じてくれた人にだけ販売していた印象です。
しかも、いわゆる一般のお野菜のお取り寄せとの違いを理解して購入してくださっていた方は少なかったと思います。価格や品質へご理解頂けないこともありました。
3年経って、今ではひかりの種お野菜BOXのために固定種野菜を計画的につくってくれているほどなので(もちろん彼にとっては種を残すことがいちばん大事な優先事項)品質も明らかに上がっていますが、同じくらい、理解の深い方にご購入頂けているな、と感じます。
ちなみにひかりの種お野菜BOXはどんな様子で販売をしているかですが、、、
募集は1年に1回。定員は6名限定。
畑の広さから考えたらこの数字が限界なんです。
もし畑を広くしようとしたら、今度はコヤマさんひとりで作業を賄うことができなくなります(彼には本業があって種を残す畑は趣味 笑)
しかも、月に3人ずつ分けて発送しています。場合によっては2人ずつになることもあります。
というのも、冒頭で説明したように一氣に収穫ができないからです。
なので「固定種野菜の特性を理解してくださっている方」が対象にならざる得ません。
先日「定期便だけど不定期便だよね」って笑われました(笑)
そうなんです。毎月○日、なんて配送ができなくてですね。F1以上に天候との兼ね合いで「来週発送でも大丈夫ですか?」なんて直前連絡がしょっちゅうです。
「全然氣にしないでー。お楽しみBOXな感じ♡」
なんてお返事をくださる方もいらっしゃいます。
そんな風に固定種の野菜を理解して、固定種という個性を楽しんでもらえている方にお届けしています。
私たち(コヤマさんもわたしも)種から無農薬です。苗も野菜づくりも全て無農薬。手間を考えたら正直、利益度外視になっています笑
だけどそんな風に愛でてくださること、応援してくださることが私たちのエネルギーになってるんですね。
そしてこのひかりの種お野菜BOXの3年目の募集の時に定員オーバーしてのお申し込みがあったんです。
あ、固定種野菜を欲しいと思う方が増えてきている
と感じました。
元々わたしは、森と畑の子どもキッチンプログラムの野菜をまかなえるくらいの大きさでいいや、と畑を借りたのですが、だったら、と借りる畑を大きくして農活倶楽部を始めることにしたんですね。
ただ、師匠のように固定種なのになぜこんなキレイなんだ!という野菜はつくれないので(絶対無理w)発想を変えて、こちらの計画でつくった野菜を売るのではなく、みんなが食べたいもの一緒に育てて味わう場にしよう、というスタイルにしました。
農活倶楽部 >> 詳細
固定種野菜食べたいけど、自分でつくるのはハードル高いし、かと言ってどこで買えるかわからない。という、野菜愛のある農初心者さん、農活倶楽部は本当におすすめします。
そしてみんな・・・実は欲がありません?
「自分の食べたい野菜をつくりたい!」って、、、思ってない?笑
わかるよ、わかるー!わたしもそうだから!笑笑
師匠に言われるもん。「それ、難しいですよ?」とかね。
だけど食べたいものつくりたいじゃん!
ということで、そんな人は農活倶楽部が、ホントーにおすすめです!笑
農活倶楽部 >> 詳細
農活倶楽部の活動記録です。
作業ではなく「育む」を真ん中に。がコンセプト。