「死ぬ時に後悔したくない」と思って生きてきたが
「死ぬ時に後悔しないように生きる」
これが今までの人生の軸でした。それ自体に後悔はありません。
でも「それでいいのか?」と振り返るきっかけを貰い、考えてみました。すると、良くなかった。生き方をアップデートしようともがく、私の葛藤を記します。
それが軸になった理由
幾つかあります。一番大きいのは、高校時代の父の死でしょう。
癌で闘病生活を送り、病院で息を引き取った父。ちょうど大学受験直前であったため見舞いに行ける回数も少なかったのですが、塾に通っている時などに
と思っていたのが、原点だと思います。
また、何かの本で「人間は”やったことによる後悔”よりも“やらなかったことの後悔の方が大きい“」と読み、そこでの「死ぬ間際まで『俺は本当は音大に行きたかったんだ』と言いながら亡くなったお爺さんのエピソード」に衝撃を受けたことも大きいです。「俺はそうなりたくない」と強く誓いました。
人間、何が理由で死ぬかは分かりません。病床で死期を悟りながら死ねるかどうもわからない、そしてそれが幸せかどうかも分かりません。
でも、もしそうなった時には「良い人生だった」と思って横になっていたい、そのモチベーションで頑張ってきました。
小林さんからの一言
過去のNote(2022年2月28日、住友商事を辞めた)でも触れましたが、私が今スタートアップにいるのは、Farmnote小林社長のおかげ(せい)です。
魅力的な人柄、型に囚われない思想、常に成長する姿、、、小林さんから受けた影響は大きく、今でも強く尊敬し、目標とさせていただいています。
(「憧れ」にすると追い付けないことになるので、「目標」)
その小林さんに、ウクライナからの帰国報告と転職報告を兼ねて夕食のお時間をいただきました。その時にこの話になり、言われた言葉がこちら。
ずっと軸にしてきたはずなのに、このシンプルな問いに答えられなかったのです。
未来の一瞬のために今を生きるのか?
その会が終わった後にもずっとこのことを考えて、一つ整理が出来たのは
ということ。ただ、それと同時に、こうも整理出来てしまいました。
生き方が「帰納的」である、ということはどういうことでしょうか。
帰納的思考のクセと問題点
一般的に日本人の多くは帰納的アプローチに強く、演繹的アプローチに弱いと言われます。そしてその中でも、私はかなり帰納的な思考の持ち主だと思います。
事実、高校受験時には帰納法の問題は大得意でしたし、仕事においても目指したい明確な「仮説」や「ゴール」が設定出来てからの逆算・プランニング・執行のスピードはかなりのものだと自負します。一方、「とりあえずやってみる」アプローチはかなり苦手にしてきました。
今回、改めて考えてみて、「人生までも帰納的に考えていた」ということに気付いてしまいました。この生き方には二つ問題があります。
一つは、「人生が窮屈になる」。
「今」の積み重ねが「未来」になるのであり、その「未来の私」は、「今の私」ではありません。「今の私」が「未来の私」を想像してしまうということは、強制的に自分の人生を「想像可能な範疇」に収めてしまうことに繋がるのです。
もちろん日々「死ぬ時の自分」を思い描いている訳ではありませんが、常に未来を起点とした思考回路を持っている以上、人生が「跳ねる」ことが無いのです。
(まさにこれこそが帰納法がイノベーションに不向き、とされる理由ですね)
もう一つは「感謝・愛の総量が減る」。
また、帰納的な考え方をしてしまうと、そのゴールとなる「仮説」の前提となる物事は「所与」=「当たり前」となってしまい、感謝を感じづらくなります。
これらは当たり前じゃないのですが、先ばかり見ていると、足元は全く見えなくなります。でも、本当に「今」を生きていれば、気付ける。
数時間ご一緒している中で、小林さんからはこういった言葉が当たり前のように何度も出てきました。自分は比較的利他的な人間だと思っていましたが、「今」を生きているかどうか、が「今に対する理解度」の差を生んでいるんだろうな、と納得出来ました。
直感を大事にするようになってから、楽になった
ここまで整理が出来たのはこの夕食の後ですが、ここ1−2年は「偶然性」や「直感」を大事にするようにしてきました。Noteを始めたのも、今の職場を選んだのも、先に直感が走っての行動です。
そういう決断をするようになってから、何か人生が楽になった気がしていました。直感と帰納的思考は完全に相容れないものであり、私は気付かぬうちにその生き方に問題意識を持っていたのかもしれません。
性格上直感に身を委ねるのは苦手ですが、直感的な行動・決断と帰納的な思考法が融合すると、より「今もこれからもずっと楽しく幸せな日々」が過ごせるのかもしれない、と自分に期待しています。
今、ここ、自分
卓球のリオ五輪メダリスト・吉村真晴選手が大幅リードしていたときに呟いている言葉が
だそうです。大量リードすると、つい勝ちを意識する。そうすると目の前の1点が遠くなり、あれよあれよと逆転されてしまう。それを避けるために、サーブ・レシーブの構えに入る前に、この言葉を呟くそうです。
まさにこれだと思いました。つい思考が未来に行き、逆算して不安になったりした時に、この言葉を言い聞かせていきたいと思います。
細田 薫
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