見出し画像

赤ちゃんを抱いた夢をみる、とおすすめのジン

赤ちゃんを抱いた夢をみた
頼りないわたしの細く長い腕の中に
すっぽりと収まる幸せな肉の集合体
赤ちゃんは想像より少し、いやかなり太りすぎていたけれど
生んだのは紛れもなくわたしのようだ

周囲には赤ちゃんをのぞき込む夫や義母の姿が見える。
「ねぇ、この子、ちょっと膨らみすぎじゃない?」
と話しかけようとしたところで目が覚めた

夢に出てきた男の人を
簡単に好きになってしまうように
わたしは夢にでてきた赤ちゃんの虜になった

8:15 東横線の満員電車の中や、
16:45 仕事をしているふりしてキーボードカタカタしているとき
20:30 オリーブオイルでべとべとの鍋を洗っているとき
ふと夢で抱いた赤ちゃんを思い出す

ふわふわで温かくて守らなければならない存在

子作りをする理由が
「夢に赤ちゃんがとても良かったから」では
理由が軽すぎるだろうか

でももう、理由の重さや軽さや
その先なんて考えてたら
人間なんて生み出すことができない

わたしはとても恐ろしい

二人の生活を脅かす存在を生み出すのが
それを生み出すのは自分であるのが
その全てが。

わたしたちが住む
おんぼろマンションの12階
川の向こうには武蔵小杉のタワーマンションが立ち並び、
新幹線と多摩川がみえる。あっちは二子玉。こっちは横浜。

東京よりは幾分か
子どもを育てやすいであろう街

わたしたちが向こう側に行けることはあるのだろうか。

子供が欲しいのかもよくわからず、わからないままなんとなく時間が過ぎて、タイムリミットがなんとなく近づいて、一度もチャレンジしないまま、まぁいっかって。

子供が強烈に欲しくなることなんて
あるのだろうか。

夢で抱いた赤ちゃんの
なんでもいえない柔らかさが
暖かさが
重さが
どんどんと遠ざかっていく

わたしは今日もどうしようもない気持ちで
あちら側の夜景を見ながら
ジントニックでピルの飲み干す。

P.S. どうでのいいけどオススメのジン(まず、わたしはトニックウォーターの味がだいすき。)

■ネバーシンク
まるでアップルパイを食べているかのような、凝縮したリンゴの甘みとスパイスが香るフルーティーな味わい。ハマったきっかけ。

■ディスティレリ・ド・パリ
「飲める香水」と称されるパリ産のクラフトジン。新鮮なボタニカルだけを使ったエキゾチックかつウッディなジン。バランスがよい。

■MONKEY 47
“香水にもしてほしい香り”と評されるほど華やかな香りと、ハーブやフルーツが織り成す、この上なく複雑でバランス の取れた味わい。高級な憧れの味。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?