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大原扁理 著『なるべく働きたくない人のためのお金の話』【後編】

昨日こんな記事を書きました。

大原扁理(おおはらへんり)さんは現在台湾にお住まいなのですが、この本は大原さんが2010年12月から2016年9月まで、約6年間東京で隠居生活をされていた時のことが、詳細に書かれています。
・家賃28,000(国分寺にてバス・トイレ付き)
・仕事は週二回、時々臨時アルバイト(年収90万円)

本の前半は、大原さんがこのような生活に至った経緯や、気持ち、そこから具体的にしている行動について書かれていました。そして後半は、お金についての考え方や、具体的にどんなふうにお金を使っているのかなどについて書かれています。

毎月の支出を把握する

人間は、見えないものや、よくわからないものに対して不安になるようにできています。ですから、その不安を最小化するために、まずは自分が生きていくのにいくらかかっているのかを把握することから始めます。

これは少ない収入で生活したいと思うからこそ、シビアに分析する必要があるわけですが、たとえ収入が生活に対してかなり余裕があったとしても、やったほうがいいことだなあと思います。合っていない保険とかスマホのプランとか、会員になっているけど行っていないジムとか、長いあいだ定期購読になっているけど今そんなに見ていないサイトとか、結構ありそうです。

大原さんは、1円単位で毎日家計簿をつけるのは大変だけど、生活をルーティーンで回すと家計が簡単に把握できるようになったと書いていました。

これは、普通に会社で働いていて、人付き合いが多い人でも、おそらく平均すると毎月だいたい何に幾ら使っているのかは見えてくるので、それをルーティーンとして把握しておけばいいですよね。

ちなみに私は、1円単位で家計簿をつけていて、これはメモ的な感じで手元にある現金に過不足がないかを見るためなのですが、それをさらにExcelに入力して、1年単位で収入の変動とか平均を見られるようにしています。1年後にこのくらい貯金があるとか、今ここでこれだけ使うと3ヶ月後に予算オーバーになるとか見られて便利です。

これは会社員時代に店舗の年間予算を見るのに使っていたフォーマットと似ていて、会社のお金みたいに自分のお金を管理しているのですが、自分の性格にはものすごく合っていて、もう5年くらい続いています。

普段買わないようなものを買うときも、年間の予算が見えるので、この辺で買っても大丈夫かなと思って計画的に買うことができます。昔は「○○できたら買ってもいい」とか「誕生日だから○○買おう」という感じで予定外のものを買っていた気がしますが、自分の生活がより良くなると思ったものは、予算が許すならさっさと買ったほうがいいと思うので、年間の予算が一瞬で分かると便利です。

大原さんは、当時住んでいたアパートでは最大限切り詰めると6万円あれば人間の尊厳を失わない程度にギリギリ生きていけると分かったそうです。ただこれは家賃が28,000円だからなんですよね。

私が東京に住んでいた時は、都心に住みたいという思いが強く、駅から近いことにもこだわっていたのですが、今なら多摩地区とか、都心でもシェアハウスとかに住んだらいいよなあと思います。

ちなみに大原さんは、大事なのは最低限の生活費を確認することで、ギリギリ生活をずっと続けることが目的ではないと書いています。最低限の金額を確認すれば安心感も生まれるし、そこからまた+αの趣味などにはお金を使っていけばいいですね。

最低生活費から、どれくらいの時間働くかを逆算する

そしてこの本のタイトルは『なるべく働きたくない人のためのお金の話』なので、最低限の生活費から逆算して、それを稼ぐために必要な労働時間を計算するとのこと。大原さんの場合は、介護の仕事を週二回でだいたい月6万円を達成できたとのこと。

最低生活費から労働量を逆算することのメリットは、経済的な不安が減ることは言うに及ばず、「それ以上に働くかどうかを自分で決める自由がある」ということです。

嫌な仕事は一瞬で断るし、おもしろそうだったらやるかもという自由に、嫌々働くことで得るお金以上の価値があるということだそうです。

私がよく思うことは、お金は目に見えて非常に分かりやすいけれど、嫌々働くことによるストレスが、自分にとってどれだけの負荷なのかということは分かりにくいんですよね。だから、たとえば時給が1,000円でも、会うたび嫌な気分になる人がいるとかだったら精神的負担額は△300円くらいで、実際時給700円じゃないかなあとか脳内変換したりしています。


この他にも、税金や保険について、お金を使わず自分でできることを増やす暮らし方など様々なライフハックについて書かれています。

また、最終章では「ハッピーなお金の使い方」について触れています。

大原さんは、とにかく1円でも安いものを!というふうに買い物をしているわけでは決してないんですよね。むしろ、買い物をするときはなるべく続いて欲しいというお店にしか行かず、きちんと適切な対価を支払いたいと考えているそうです。これは私もどんどんそういう考え方になっていきました。そこでは割引券やセールも利用しないというのも分かります。

大原さんは、お金をとても大切なものとして捉えていて、買いたいと思うものに対して、適切だなと思う金額をちゃんと支払いたいし、余剰は誰かに還元したいし、でもそういうことができるのは、自分自身も日々楽しいと思える生活レベルを維持しているからこそなんだなあと思います。

この「自分が楽しい」ということが、誰からどう見えるかということは一切関係なく、労働週二回で健康的な料理を自炊して、散歩をしたり図書館に行ったり、いろいろなことを工夫しながら生活することだから成り立っていると言えます。

でも、自分が楽しいと思うことが、人からどう見えると関係なく、すごくお金のかかる趣味だったとしても、取り入れたらより楽しくなるような生活のヒントが、この本にはいろいろあると思います。

そして、自分の生き方がもし「人からどう見られるか」ということに焦点をおいているのだとしたら、そのことに気づいて、今抱えているストレスを大いに軽減できる本だとも思いました。

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いろいろな方にインタビューをして、それをフリーマガジンにまとめて自費で発行しています。サポートをいただけたら、次回の取材とマガジン作成の費用に使わせていただきます。