ヴェルドラ
ビニール袋の中にはお菓子に混じり、スマホとMTの生写真があったが、俺は悔しさよりも今晩のオカズにする事にした。
?「よ!」
廊下を歩いてると二人組が絡む
?「今日から開放か(笑)お前は何だ?薬物か?それとも人殺しか?くく」
痩せた方の緑波動をまとった男が声をかけてきた。
俺「俺は感情のままに人を殴ってな〜」
向こうから声を掛けられたのは何年ぶりか、興奮気味に武勇伝を語ってたが、こいつらには俺と同じニオイがする。
?「それならお前は今日からヴェルドラだな〜」
俺「ベルドラ?」
?「ヴェルドラ、暴風竜ヴェルドラ」
ポイズン「俺は浮気相手を本命にしたくて嫁を毒殺してしまって、まぁ、ポイズンと呼んでくれ!」
緑の波動は毒の象徴か
イフリート「私は焚き火で東京ドーム3個分の山を燃やしてしまったの〜イフリートと呼んで(ハート)」
赤の波動は炎の象徴か
俺は???
ふと鏡を見てみると水色、どす黒い水色だ。
俺「ヴェルドラ、か、くく、悪くない」
ポイズン「おぃ、おぃ、安定剤足りないんじゃないか?」
俺「そんな事はない、俺は正常だ。」
イフリート「キャハハ、みんな頭のおかしい奴はそう言うね。」
ポイズン「今日は皆で塗り絵の日だな、来いよ教えてやる。」
そう言いながらポイズンは何故か碁盤と碁石を持って来た。
ポイズン「私、私、毘沙門天よ。」
俺「!!!!入れ替わったのか?」
ポイズン「そうよ、そして、あなたは私に次ぐ最強の棋士よ。」
俺「でも、森に負けた。」
ポイズン「囲碁には訓練が必要なの、発想力や構想力、危機意識と予測意識、魂から引き出す記憶力、周りを常に意識する集中力、あなたにはそのベース、つまり、体、うーん、脳みそを鍛えないと勝てないわよ。」
毘「ん、使いづらいわ、この体も、じゃ握るね。」
俺は握ると聞いてアソコが何故かギュッとした。
俺は白で星は中央と地を兼ね備えた打ち方で、一方の小目は隅の地を確定させる打ち方だ。
白の星打ちは黒の三々に弱いが隅で少し生かせば良い、例えるなら最近の若者の給料ぐらいが適切だろう。
は!テメーは一生檻の中だ!
広く地を確定させておく。
黒を隅へ隅へ、扱いが難しい精神患者を追い詰めるように打ったが、逆に左隅の自分の白が死んだ。無理に眼形を作るのは厳しい、ふと毘沙門天を見たら、俺のビニール袋にあるポテトチップスを凝視している。
毘「私が勝ったらそのポテトチップス貰うわ。」
この局面は悩む下の黒が大きいか、自分の上の白とどっちが大きいかだ。
俺「俺が勝ったら良い女を紹介しろよ!」
気持ちで負けたら囲碁も負ける。
右隅も含めてここにした。
毘沙門天もすかさず切って来る。
毘「ポテチ、ポテチ(づ ̄ ³ ̄)づ」
終局、コミを含めたら足りてるかな?
毘沙門天は「ポテチ〜」と言いながら顔を机に伏せた。
俺「ふ〜」
長い休憩時間が終わり個室に戻り、コンソメポテトチップスを食べていると、重い鉄の扉をノックする音が聞こえる。
「どぅーん、どぅーん」
俺「誰だ?」
?「私は自殺をしようとしてダムに飛び込み精神病棟に来たわ。」
俺「!!!」
?「ポセイドンと呼んで♪」
俺「ポセイドン!生きたのか!」
ポセイドン「頭の中の声で聞こえたの♪あなたの部屋に行けばポテトチップスが食べれるってね。」
ち、毘沙門天の奴よりによって統合失調症の女を寄越したか、俺はしょうがなくドアを開け、頭のイカれたポセイドンを看護師の元に案内する事にした。
ポセイドン「へー、そっちの部屋のトイレ流れるんだ。私の部屋は流れないよ〜。」
案内中に話すポセイドンの純粋さに、俺の日本社会で受けた心の闇が少し晴れていった。
俺「しかし、ダムに飛び込んでよく生きてたな」
ポセイドン「泳ぐのに慣れると手のひとかきで浮上出来るから、飛び込んで陸に辿り着いた所で警備員に捕まったの(˃͈ દ ˂͈ ༶ )」
ポセイドン「あなたは何で来たの?分かったアルコールでしょ?」
ポセイドン「知ってた?精神病棟でアルコール?と言われたら飲めない病院では、まともな意味なのよ、だからアルコール依存は最高の褒め言葉なの~(つˆДˆ)つ」
俺「この拳を見ろよ!」
俺の拳は森を殴り拳の皮が破れまだ痛い。
ポセイドン「アルコールからの暴力ね。いけないわ。」
少し妄想が多いな
俺はコントミンかスルピリドを勧めてみた。
キョトンとした顔のままポセイドンは「睡眠薬は?」
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